概要情報
事件名 |
ユアサ商事 |
事件番号 |
都労委平成24年不第52号 |
申立人 |
東京管理職ユニオン |
被申立人 |
ユアサ商事株式会社 |
命令年月日 |
平成26年3月18日 |
命令区分 |
棄却 |
重要度 |
|
事件概要 |
組合員X2は、平成23年3月末に被申立人会社を定年退職後、期間1年の嘱託雇用契約により再雇用され、勤務していたが、会社から次年度以降の契約更新を拒否された。申立人組合と会社との間でX2の再雇用契約について団交が行われたが、合意に至らず、24年3月末をもって同人の再雇用は終了した。その後、組合は、東京都労委にあっせんを申請したが、会社が拒否したため、打切りとなった。本件は、組合が同年7月3日、改めてX2の再雇用拒否等を議題とする団交を申し入れたところ、会社がこれ以上の交渉を重ねても成果がないことは自明であるなどとして拒否したことが、不当労働行為に当たるか否かが争われた事案である。
東京都労委は申立てを棄却した。 |
命令主文 |
本件申立てを棄却する。 |
判断の要旨 |
認定した事実によれば、被申立人会社は平成23年9月、組合員X2に具体的理由を説明し、能力不足であるとして再雇用契約を更新しない旨を伝えている。また、同年10月11日の第1回団交後には、2回にわたりX2と面談し、具体的事例を挙げて雇止めに至った評価内容について説明しており、その後の団交において申立人組合が会社の説明した具体的事由について取り上げることはなかった。
会社は、第2回団交後、雇止め方針を撤回し、X2の再雇用の継続を前提としてビル管理人業務を提案し、その雇用条件についても、第3回団交後において新嘱託雇用契約を示して説明し、また、X2との面談において、できる範囲で雇用条件について相談したいと述べていた。
そうすると、会社によるビル管理人業務の提案は組合の再雇用継続の要求に対する回答として相応の合理性があるものと認められ、他に組合が受諾しないであろうことを予測しながらあえて提案したと認められるようなX2に対する不当な目的や動機があったことを認めるに足りる疎明はない。
他方、組合は、当初はビル管理人業務の提案に否定的ではなかったが、X2がこれを拒否するに至った後は、当該業務の提案は再雇用の継続とはいえず、継続雇用しないことは高年齢者等の雇用の安定等に関する法律違反であると主張し、あくまでも同人の従前の部署での再雇用継続に固執した。さらに、組合は、その主張が受け入れられないのであれば、裁判等第三者による判断を求めることも辞さないと繰り返し言及し、団交による自主解決の途を探るというよりはあたかもこれを放棄するような態度を示していた。
こうしたことから、X2の雇止めの理由やビル管理人業務の提案をめぐるやり取りが平行線をたどったと認めるのが相当であり、会社の不誠実な対応の故に団交が行き詰まったものということはできない。
24年7月3日の団交申入れについては、上記のとおり既に交渉が行き詰まりになっているものと認められる上、その後、新たな提案や要求を示したり、その他何らかの状況変化が生じるなど団交を再開すべき事情の変化が生じた形跡は窺えないのであるから、会社がこれを拒否したことには正当な理由があるといえる。 |
掲載文献 |
|
|