労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  廣川書店 
事件番号  都労委平成24年不第44号 
申立人  日本出版労働組合連合会、廣川書店労働組合 
被申立人  株式会社廣川書店 
命令年月日  平成26年2月18日 
命令区分  全部救済 
重要度   
事件概要   平成22年8月20日、申立人組合らは、被申立人会社が定年退職後の継続雇用制度に関する団交を拒否していること、組合員について非組合員との間で差別的取扱いをしていること等は不当労働行為であるとして、救済申立て(前件申立て)を行った。24年4月13日、東京都労委でのあっせん手続において、会社と組合が誠実に団交を行うことによって健全な労使関係を形成すること、会社が解決金を支払うこと等を内容とする和解が成立し、組合らは前件申立てを取り下げた。
 本件は、会社が、前件申立て後に組合らの申し入れた継続雇用制度改定を議題とする団交に誠実に応じたか否か、組合員X3を定年後に継続雇用しなかったことが組合員であることや組合活動を理由とした不利益取扱い及び組合運営に対する支配介入に当たるか否かが争われた事案である。
 東京都労委は会社に対し、1 誠実団交応諾、2 X3を定年退職後、継続雇用したものとして取り扱うこと、3 組合らからX3の継続雇用に係る労働条件について団交を申し入れられたときは、団交を通じて適切な労働条件を定めること、4 文書交付、5 履行報告を命じた。 
命令主文  1 被申立人株式会社廣川書店は、申立人日本出版労働組合連合会及び同廣川書店労働組合が申し入れた、継続雇用制度改定を議題とする団体交渉に誠実に応じなければならない。
2 被申立人会社は、申立人廣川書店労働組合の組合員X3を平成24年1月12日以降も同社従業員として継続雇用したものとして取り扱わなければならない。
3 被申立人会社は、申立人組合らから、前項の扱いに関し、組合員X3の継続雇用に係る賃金や就労場所等の労働条件について、団体交渉を申し入れられたときは、会社が定めた従前の継続雇用制度の内容にこだわることなく、団体交渉を通じて同人の適切な継続雇用の労働条件を定めなければならない。
4 被申立人会社は、本命令受領の日から1週間以内に、下記の内容の文書を申立人組合らに交付しなければならない。
記(省略)

5 被申立人会社は、第1項、第2項及び前項を履行したときは、速やかに当委員会に文書で報告しなければならない。 
判断の要旨  1 継続雇用制度改定を議題とする団交について
 前件申立ての和解における「会社と組合とが誠実に団体交渉を行うことによって健全な労使関係を形成する」との合意事項には、継続雇用制度の改定について会社と組合とが誠実に団交を行うことが含まれていたものと解すべきである。しかし、上記和解後に、継続雇用制度の改正を議題とする団交が行われたものの、会社は、同制度の適用対象者が現在いないので、その改正については交渉せず、会社の考えは変わらない旨回答し、組合らの要求を拒否した。継続雇用制度の適用対象者がいないことは、団交拒否の正当な理由とはなり得ないため、このような会社の対応は前件申立ての和解に係る合意事項にも反する不誠実な対応であるといえる。
 したがって、上記団交における会社の対応は、誠実に団交に応じたものとは到底いえない。
2 組合員X3を定年後に会社本社で継続雇用しなかったこと等について
 認定した事実によれば、平成17年4月から24年1月までに定年退職した非組合員の管理職4名のうち3名が会社の取締役に就任していることが認められるが、かかる取締役登用は、事実上、非組合員の管理職のための継続雇用制度として機能しているといえる。これに対して組合員は、X3の場合でも、派遣会社に採用された上で物流会社等に派遣されるというような不安定な立場で、遠方に所在する倉庫における、退職前の業務とは全く異なる物流作業に従事し、退職前より著しく低い賃金で継続雇用されることとなる。16年以降、管理職でない非組合員は1名しかいなかったことを考えれば、管理職は非組合員と同視できることから、組合員と非組合員との間で事実上、継続雇用制度の適用に大きな差異があり、組合員は著しく不利益な取扱いを受けているといわざるを得ない。
 そして、前記1のとおり、前件申立ての和解後に行われた団交では、会社はその合意に背き、継続雇用制度改定に関する交渉を実質的に拒否している。このような会社の対応と過去における組合と会社の間の紛争の経緯を併せて考えれば、会社は前件申立ての和解の前後を通じて一貫して組合を嫌悪していたものといえ、X3への継続雇用制度の適用はそのような組合嫌悪の発現であると考えられる。
 以上を総合的に勘案すれば、会社は組合を嫌悪し、組合員にのみ差別的に劣悪な労働条件を規定する継続雇用制度を押し付けることによって、事実上、組合員が継続雇用を選択できない状況を作り出していたものというべきである。したがって、X3に対し、非組合員と比較して著しく劣悪な労働条件での継続雇用の機会しか与えなかったことは、同人が組合員であるが故の不利益取扱いに当たり、また、組合員の継続雇用を妨げることによって組合活動を萎縮させ、組合の運営に対する支配介入にも当たる。 
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委平成26年(不再)第20号
廣川書店不当労働行為再審査事件
棄却 平成28年3月2日
 
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