労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  日本電気硝子外1社 
事件番号  中労委平成23年(不再)第87号 
再審査申立人  日本電気硝子株式会社(以下「A社」) 
再審査申立人  ニューマンパワーサービス株式会社(以下「B社」、A社と併せて「会社ら」) 
再審査被申立人  滋賀県労連・滋賀一般労働組合(以下「組合」) 
命令年月日  平成26年2月19日 
命令区分  一部変更 
重要度   
事件概要  1 A社は、同社工場のガラス製造業務の一部をB社に請け負わせ、B社は、その一部(測定業務及び記録業務)をC社等に請け負わせていた。組合員らは、C社に雇用され、上記工場で就労していたが、A社を退職後、組合に加入した。その後、組合員らは、滋賀労働局に、派遣法40条の4に基づく雇用契約申込みに係る指導等を求めたところ、同労働局は、会社らに対し、派遣先の講ずべき措置(労働者派遣法第40条の3ないし5を除く。)について是正指導を行った。
 本件は、組合が、①労働局の指導に従うこと、②これまでの中間搾取と違法な労働者供給事業に対する補償をすることを議題とする団交申入れに会社らが労組法上の団交義務がないとして応じなかったことが不当労働行為に当たるとして、滋賀県労委に救済を申し立てた事件である。
2 初審滋賀県労委は、上記団交事項のうち、②これまでの中間搾取と違法な労働者供給事業に対する補償をすること(以下「本件団交事項」)に係る団交に応じなかったことが労組法第7条第2号の不当労働行為に当たると判断して、会社らに対し、本件団交事項に係る団交応諾を命じ(主文第1項)、その余の救済申立てを棄却した(主文第2項)ところ、会社らは、これを不服として再審査を申し立てた。 
命令主文   初審命令主文第1項を取り消し、これに係る救済申立てをいずれも棄却する。 
判断の要旨  1 会社らは、本件団交事項に関し、労組法第7条の使用者に当たるか。
ア 本件団交事項は、会社らが組合員らを直接雇用すべきであったことを前提に、組合員らが会社らに直接雇用されていたならば得られたであろう会社らの従業員との賃金の差額相当額等の補償を求めるものと解するのが相当である。
(ア) 上記アを前提とすると、本件団交事項は、会社らが組合員らの雇用主であること又は雇用主と同視し得る地位にあることを前提としたものであるといえ、会社らが労組法第7条の「使用者」に当たるといえるためには、会社らが、組合員らの就労の諸条件にとどまらず、採用、配置、雇用の終了等の一連の雇用の管理に関する決定について、雇用主と同視できる程度に現実的かつ具体的な支配力を有している必要がある。
 しかしながら、本件においては、会社らが、組合員らに係る一連の雇用の管理に関する決定について、組合員らの雇用主であるC社と同視できる程度に現実的かつ具体的な関与等をしたとは認められない。
(イ) また、上記アを前提とすると、組合の主張は、19年3月1日以降、会社らは、組合員らについて労働者派遣法第40条の4が定める直接雇用申込義務を負っており、組合が団交を申し入れてこれを拒否した時点までの間において、近い将来、組合員らとの間に雇用関係が成立する現実的かつ具体的な可能性が存していたといえることを根拠として、本件団交事項に関し、会社らが労組法第7条の「使用者」に当たると主張するものと解し得る。
 しかしながら、直接雇用申込義務は、労働者派遣法第40条の4の派遣先が、派遣元事業主から、同法第35条の2第2項が定める抵触日等の通知を受けた場合において、抵触日以後継続して当該通知を受けた派遣労働者を使用しようとする場合に生じ得るものであるが、本件においては、C社から会社らに対して上記通知がされた事実は認められない。
 また、組合員らがC社に在籍していた間に、会社らが労働行政機関から組合員らの雇入れ(直接雇用)を求める行政勧告ないし行政指導が行われたことはうかがわれないし、滋賀労働局長が会社らに対して行った行政指導は、組合員らがA社工場での就労を既に終了し、C社との雇用関係も終了した後に行われたもので、組合員らの雇入れ(直接雇用)を要請するものではないから、いずれにしても、労働者派遣法第40条の4が定める直接雇用申込義務を根拠として、本件団交事項に関し、会社らが労組法第7条の「使用者」に当たると解することはできない。
イ なお、組合は、会社らが組合員らを含むC社の従業員に対して業務遂行の態様や方法に関する指揮命令を行っていたことを前提として、本件団交事項は、組合員らの直接雇用を必ずしも前提とせず、就労の諸条件に関する決定に関わるものであると主張しているとも解し得ないではない。
 しかしながら、組合が主張する諸事情を踏まえて検討しても、会社らが、組合員らの就労の諸条件について、組合員らの雇用主であるC社と部分的とはいえ同視できる程度に現実的かつ具体的な支配力を有していたとは認められない。
2 結論
 以上によれば、会社らは、本件団交事項に関し、労組法第7条の使用者には当たらない。 
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
滋賀県労委平成22年(不)第3号・第4号 一部救済 平成23年12月8日
 
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