労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  日本電気硝子/ニューマンパワーサービス 
事件番号  滋労委平成22年(不)第3号・第4号 
申立人  滋賀県労連・滋賀一般労組 
被申立人  日本電気硝子株式会社(Y)、ニューマンパワーサービス株式会社(Z) 
命令年月日  平成23年12月8日 
命令区分  一部救済 
重要度   
事件概要   組合員X2及びX3は、申立外A社に雇用され、被申立人会社Yの事業場で勤務していた。被申立人会社ZはYからガラス製品の加工等の業務を請け負い、当該業務の一部をAに請け負わせていた。申立人組合は、平成21年12月に滋賀労働局がX2及びX3の就労実態が偽装請負であると認定し、Y及びZに対し直接雇用の推奨をしたとして、両社が労働局の指導に従うこと等を求めて両社に団交を申し入れた。本件は、これに対し両社が労組法上の団交義務がないとして団交に応じない旨回答したことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 滋賀県労委は、Y及びZに対し、団交申入れ事項のうち、過去に労働者派遣法違反の状態で使用してきたことに対する補償に関する事項についての団交応諾を命じ、その余の申立てを棄却した。  
命令主文  1 被申立人らは、申立人に対し、それぞれ、平成22年2月16日付けの団体交渉申入れ事項のうち、過去に労働者派遣法違反の状態で使用してきたことに対する補償に関する事項を交渉事項とする団体交渉に応じなければならない。
2 申立人のその余の申立は棄却する。  
判断の要旨  1 組合員X2らの就労実態は、労働者派遣法上の労働者派遣に当たるか。
 認定した事実によれば、被申立人会社ZとA社との間の請負契約は偽装請負に該当し、Z、A及びX2らの3者間の関係は労働者派遣法上の労働者派遣に該当する。また、被申立人会社Y、A及びX2らの3者間の関係も、労働者派遣に該当する。
2 Y及びZは、X2らに対し雇用契約の申込義務を負うか。
 X2については遅くとも平成19年8月25日を経過した時点で、また、X3については遅くとも同年4月18日を経過した時点で、それぞれY及びZの同人らに対する雇用契約の申込義務が発生し、少なくとも同人らが退職した日まで存続していたと認められる。
3 Y及びZは、X2らの直接雇用を求める旨の団交事項について団交応諾義務を負う「使用者」に当たるか。
 派遣先の雇用契約の申込義務が具体的に発生し、申込みに当たりその労働条件について派遣労働者と誠実に交渉しなければならない段階においては、派遣先は「雇用主に準ずる者」として労組法7条2号の「使用者」に当たるというべきである。
 また、本件団交申入れにおける、X2らの直接雇用を求める旨の団交事項は、義務的団交事項に該当すると認められる。
 しかし、本件のように、当該派遣労働者が退職し、もはや派遣先が派遣労働者の使用を継続する意思を失っている場合には、将来に向けて当該派遣労働者を使用し続けていることを前提として直接雇用することの申込みを義務づけることはできない。したがって、いったん発生していたY及びZのX2らに対する直接雇用の申込義務は本件団交申入れの時点において既に消滅しているから、Y及びZは直接雇用を求める旨の団交事項について団交義務を負う「使用者」に当たらないというべきである。
4 Y及びZは、X2らについて「中間搾取と違法な労働者供給事業に対する補償を求める」旨の団交事項について団交応諾義務を負う「使用者」に当たるか。
 団交申入れの時点で直接雇用の申込義務が消滅している場合でも、Y及びZがX2らに対し直接雇用の義務を負い、雇用主に準ずる立場にあった期間において、労働者派遣法違反の状態で同人らを使用してきたことに起因する法的責任まで消滅するものではないし、それは処分可能な事項である。したがって、Y及びZは、本件団交申入れ事項のうち、労働者派遣法違反の状態でX2らを使用してきたことに対する補償に関する事項について団交応諾義務を負う「使用者」に当たるものと解すべきである。  
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委平成23年(不再)第87号 一部変更 平成26年2月19日
 
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