労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  全国社会保険協会連合会 
事件番号  中労委平成24年(不再)第29号 
再審査申立人  全国社会保険協会連合会労働組合(「組合」) 
再審査被申立人  社団法人全国社会保険協会連合会(「社団法人」) 
命令年月日  平成25年12月18日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要  1 社団法人は、平成20年2月29日、独立行政法人年金・健康保健福祉施設整理機構から受託していたA健康管理センター及びB健康管理センター(両センターを併せて「本件健康管理センター」)の運営委託契約を解約する旨の通知を受け(「本件解約通知」)、組合と本件解約通知に伴う雇用・労働条件等に関する団体交渉を7回行い、21年3月31日、同法人が運営する社会保険病院等への転勤が受け入れられず、また、希望退職に応じなかった本件健康管理センターに勤務する組合の組合員11名を解雇した(「本件解雇」)。
 本件は、社団法人が、21年5月20日に組合員の解雇撤回に関する団体交渉(「21.5.20団体交渉」)を行った以降、組合が同年6月5日から22年6月8日までに行った組合員の解雇撤回要求に関する団体交渉の申入れ(「本件団体交渉申入れ」)に応じなかったことが労働組合法(「労組法」)第7条第2号の不当労働行為に当たるとして救済申立てがあった事件である。
2 初審大阪府労委は、本件救済申立てを棄却したところ、組合はこれを不服として、再審査を申し立てた。 
命令主文  本件再審査申立ての棄却 
判断の要旨   社団法人が、本件団体交渉申入れに応じなかったことが労組法第7条第2号の不当労働行為に当たるか。(本件の争点)
1 第1回から第7回団体交渉及び21.5.20団体交渉における社団法人の対応の当否について
ア 本件解雇前に行われた本件解約通知に伴う雇用・労働条件等に関する団体交渉の経緯についてみると、社団法人は、第1回団体交渉から解雇の可能性を明らかにして、その理由や講じてきた解雇回避の措置を含む方策及びその進捗状況について逐一説明し、また、組合の質問に具体的に回答しており、本件解約通知に伴う組合員の雇用問題に関して説明している。これに対し、組合は、施設がなくなっても雇用関係はなくならないのだから雇用責任を取るべきであると一貫して自らの主張を述べるのみで、退職に関する話合いは受け入れないとの態度に終始した。
 そうすると、本件解雇前に行われた第1回から第7回までの団体交渉においては、社団法人の職員としての雇用を要求し続ける組合と、転勤の受入れ状況は厳しく本部での勤務などもできないことから、社団法人の職員として雇用維持することは難しいとする社団法人の間で、組合員の雇用問題をめぐる交渉は平行線の状態となり、もはや進展が見込めない状態に至っていたといえる。
イ 次に、組合員の解雇撤回要求に関する21.5.20団体交渉の経緯についてみると、社団法人は、①本件健康管理センターの譲渡売却が解雇の理由である旨、②社会保険病院への転勤や買受先への依頼など雇用確保に努力したが、やむを得ず組合員11名は解雇に至った旨、③希望退職に応じない場合は解雇もあり得ることは団体交渉において説明してきた旨、④解雇撤回はできない旨繰り返し説明した。他方、組合は、施設がなくなっても社団法人は存在するのであって、雇用責任を取るべきとの本件解雇前からの主張を繰り返すのみで、解雇撤回を求める組合と解雇撤回はできないとする社団法人の主張が全面的に対立した。
ウ これらから、上記団体交渉において、社団法人は、組合員の解雇を含む雇用問題について、解雇の可能性を明らかにして、その理由や講じてきた方策と進捗状況を説明するなど誠実に対応してきたといえ、その結果、従前の組合の要求と実質的に同一の事項である組合員の解雇撤回要求については、本件解雇前の第7回団体交渉及び21.5.20団体交渉において、これ以上団体交渉を重ねても交渉が進展する見込みはなく、行き詰まりの状況になっていたものといえる。
2 本件団体交渉申入れに対する社団法人の対応の当否について
ア 本件団体交渉申入れにおける申入事項は、組合員に対する夏期一時金の支払と賃金決定が適正か確認して同一時金を計算すること及び解雇撤回要求であるところ、夏期一時金について、社団法人は、21年6月15日付け及び同年7月3日付けで、組合に対し、組合員との雇用関係はなく、賞与の支給要件である基準日に在籍していないため支払はできない旨、組合員の賃金の格付は適正に決定されている旨文書で回答している。そもそも夏期一時金の要求は本件解雇がなかったことを前提とするもので組合員の解雇撤回要求と不可分であるから、新たな提案や要求とはいえない。
イ そして、解雇撤回要求については、上記1ウのとおり21.5.20団体交渉の段階で本件解雇に関する労使の主張は対立し、行き詰まりの状況となっていたといえる。
 さらに、社団法人は、21年6月2日付け及び同月15日付けで、その他要求があれば具体的に提出するよう求めたが、組合は、本件団体交渉申入れのいずれにおいても上記申入事項の他に具体的な要求を提示していない。
 そうすると、本件団体交渉申入れは、従前と同じ申入事項の繰り返しといえ、組合員の解雇撤回要求に関し、新たな提案や要求を示したり、その他何らかの状況の変化が生じるなど団体交渉を再開すべき事情の変化が生じた形跡はうかがわれない。
ウ これらのことからすると、組合員の解雇撤回要求に関しては、誠実な交渉の結果行き詰まりの状態に至ったもので、もはや団体交渉の余地はなくなっていたのであり、また、その後、新たに交渉すべき提案がなされるなど団体交渉を再開すべき事情の変化もなかったのであるから、社団法人が、21年6月5日以降の組合員の解雇撤回に関する団体交渉申入れ(本件団体交渉申入れ)に対し、本件解雇を撤回する考えはなく、それ以外に団体交渉すべき点はないとして応じなかったことについては、正当な理由があるといえる。
3 結論
 以上のとおり、社団法人が、組合の本件団体交渉申入れに応じなかったことに正当な理由がないとはいえない。したがって、社団法人の対応は労組法第7条第2号の不当労働行為に当たらない。 
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
大阪府労委平成22年(不)第41号 棄却 平成24年6月1日
 
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