労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  大阪府労委平成24年(不)第21号 
事件番号  大阪府労委平成24年(不)第21号 
申立人  Y市労働組合連合会、Y市従業員労働組合、Y市学校職員労働組合、Y市立学校職員組合、Y市学校給食調理員労働組合 
被申立人  Y市 
命令年月日  平成25年9月26日 
命令区分  全部救済 
重要度   
事件概要   被申立人市が、組合事務所の退去に関する団交の申入れに、本件は管理運営事項に当たり交渉の対象ではないとして応じなかったことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 大阪府労委は市に対し、誠実団交応諾及び文書手交を命じた。 
命令主文  1 被申立人は、申立人Y市労働組合連合会が平成24年2月13日付けで、同Y市従業員労働組合が同月23日付けで、同Y市学校職員労働組合及び同Y市立学校職員組合が同日付で、同Y市学校給食調理員労働組合が同日付けで、それぞれ申し入れた団体交渉に誠実に応じなければならない。
2 被申立人は、申立人Y市労働組合連合会に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。
年 月 日
  Y市労働組合連合会
   執行委員長 A 様
Y市
Y市長 D
   当市が、貴組合から平成24年2月13日付けで申入れのあった団体交渉に応じなかったことは、大阪府労働委員会において、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であると認められました。今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。

3 被申立人は、申立人Y市従業員労働組合に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。
(記 省略)
4 被申立人は、申立人Y市学校職員労働組合及び同Y市立学校職員組合に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。
(記 省略)
5 被申立人は、申立人Y市学校給食調理員労働組合に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。
(記 省略)
 
判断の要旨  1 Y市労働組合連合会の申立人適格について
 申立人Y市労働組合連合会(市労連)は、労組法が適用される職員又は地公労法4条により労組法が適用される職員を構成員とする労働組合と、地公法が適用される職員等を構成員とする労働組合とを構成団体とする連合団体であるところ、被申立人市は、地公法上、非現業職員で構成される職員団体は明確に労組法の適用が除外され、法的根拠も機能も区別されているため、本来二重の性格を併せ持つことは想定されておらず、よって、職員団体と労働組合が混在し、法体系を異にする労働団体の連合団体である市労連は労組法上の労働組合に該当しない旨主張する。
 しかし、非現業職員、単純労務職員、公営企業職員、民間に雇用された労働者等がともに加入するいわゆる混合組合の、労組法適用者の問題に関する活動は、原則として労組法上の労働組合としての活動であると認めるのが相当であることに照らすと、上記のような連合団体は、労組法が適用される職員が加入している労働団体を構成団体として組織している限り、構成団体中の労組法適用労働者の問題に関して、労働組合として活動することができると解すべきである。
 市はまた、本件は労組法の適用を受ける構成員自身の労働条件に関する問題ではなく、団体としての活動自体に関する問題であって、過去に混合組合の申立人適格を肯定した中労委命令の判断とは射程を異にする旨主張する。
 しかし、市労連は労組法適用者の問題に関して労働組合として活動することができるのであるから、団体的労使関係に係る活動についても、それが非現業職員に限った活動であるなど特段の事情がない限り、直接的又は間接的に労組法適用者の問題を含めた労働組合の活動とみるのが相当である。市労連の団交申入れについてみると、これに係る活動が非現業職員に限ったものであるとの特段の事情も認められないから、当該団交申入れに対する市の対応について不当労働行為の救済を申し立てることができるというべきである。
 以上のとおりであるから、市労連は不当労働行為救済申立ての申立人適格を有する。
2 本件団交申入れに対する市の対応について
 市は、本件申入れ事項の主要議題が組合事務所の設置に係る本庁舎の目的外使用許可であり、許可を与えるか否かは管理運営事項に当たり団交の対象とはならない旨主張する。
 しかし、行政財産である本庁舎について目的外使用許可を与えるか否かは管理運営事項に該当して団交事項とすることができないものの、申立人組合らとの団体的労使関係に影響を及ぼす範囲では義務的団交事項に当たるとみるべきであり、市はその影響の及ぶ範囲において本件団交申入れに応じなければならない。
 市はまた、平成24年8月1日から市の労使関係条例が施行されたことにより、本件申入れ事項は市が処分不可能な事項となったことから、現時点では義務的団交事項ではなくなっており、組合らに救済されるべき利益は存在しない旨主張する。
 しかし、同条例において、市の財産の取得、管理若しくは処分又は公の施設の設置、管理若しくは廃止に関する事項を管理運営事項とする旨及び労働組合等の組合活動に関する便宜の供与は行わないものとする旨が定められているものの、本件申入れ事項は前述のとおり組合らとの団体的労使関係に影響を及ぼす範囲で義務的団交事項に当たるのであって、このことは同条例の施行によっても影響を受けるものではない。
 したがって、同条例の施行によって本件申入れ事項が直ちに市において処分不可能な事項になったとか、組合らに救済されるべき利益がなくなったとはいえず、この点に係る市の主張は採用することができない。
 以上のとおりであるから、市が本件団交申入れに応じなかったことは労組法7条2号に該当する不当労働行為である。 
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委平成25年(不再)第74号 全部変更 平成27年2月18日
 
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