労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  ジャレコ 
事件番号  都労委平成19年不第93号 
申立人  連帯労働者組合、X2(個人) 
被申立人  株式会社ジャレコ(Y)、株式会社EMCOMホールディングス(Z) 
命令年月日  平成25年3月19日 
命令区分  全部救済 
重要度   
事件概要   被申立人会社Yは、平成19年11月1日開催の団交において、同社のモバイル事業部を廃止し、組合員X2を含む同部所属の社員11名を解雇すると述べた。本件は、①Y及びその親会社であった被申立人会社Zがこの解雇に係る団交に応じていないこと、②YがX2を解雇したことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 東京都労委は、Yに対し、X2の解雇がなかったものとしての取扱い、文書交付及び履行報告を、Zに対し、文書交付及び履行報告をそれぞれ命じた。 
命令主文  1 被申立人株式会社ジャレコは、申立人連帯労働者組合の組合員X2に対する平成19年12月31日付解雇がなかったものとして取り扱い、同人を原職相当職に復帰させるとともに、解雇の翌日から復帰の日までの間の賃金相当額を支払わなければならない。
2 被申立人株式会社ジャレコは、本命令書受領の日から1週間以内に、下記内容の文書を申立人組合に交付しなければならない。
年  月  日
  連帯労働者組合
  執行委員長 X1 殿
株式会社ジャレコ
代表取締役 Y1
   当社が、誓約書の提出等の条件を付して、平成19年11月9日に貴組合との団体交渉に応じなかったこと、及び貴組合の組合員X2氏の解雇について同年11月12日付けで貴組合が申し入れた団体交渉に応じなかったこと、並びに同氏を同年12月31日付けで解雇したことは、東京都労働委員会において不当労働行為であると認定されました。
   今後、このような行為を繰り返さないよう留意します。
   (注:年月日は文書を交付した日を記載すること。)

3 被申立人株式会社EMCOMホールディングスは、本命令書受領の日から1週間以内に、下記内容の文書を申立人組合に交付しなければならない。
年  月  日
  連帯労働者組合
  執行委員長 X1 殿
株式会社EMCOMホールディングス
代表取締役 Z1
   当社が、貴組合の組合員X2氏の解雇について平成19年11月12日付けで貴組合が申し入れた団体交渉に、同氏の使用者ではないとして応じなかったことは、東京都労働委員会において不当労働行為であると認定されました。
   今後、このような行為を繰り返さないよう留意します。
   (注:年月日は文書で交付した日を記載すること。)

4 被申立人株式会社ジャレコは、第1項及び第2項を、同株式会社EMCOMホールディングスは、第3項を、それぞれ履行したときは、速やかに当委員会に文書で報告しなければならない。 
判断の要旨  1 団交における被申立人会社Yの対応について
 認定した事実によれば、申立人組合が平成19年11月2日、前日の団交でYが提示した未発表の業績等をビラに記載して配布したこと、これに対してYが同月6日、組合に対し、被申立人会社Z宛ての秘密保持誓約書(以下「誓約書」)を提出することを求めたこと、同月9日に予定されていた団交の開始前、会社が会議室外で組合に対し、組合側出席者5名以内、交渉時間30分以内、録音不可及び誓約書の提出を団交開催条件として提示したこと、これに対して組合がかかる条件を付す理由等を説明するよう求めたが、Yは交渉に応じないまま立ち去ったこと等が認められる。
 Yは、組合がビラに記載した未発表の業績等はインサイダー情報に当たり、組合が誓約書の提出を拒否した結果、団交が開催されないことには正当な理由があるという。しかし、誓約書はZの事前の了解がなければ一切の情報の開示を禁止するもので、組合の表現の自由等との関係を考えれば、必要最小限のものとはとうてい言いがたい。Yは組合との間で情報開示の方法等について協議すべきであったのであり、このような内容の誓約書の提出を一方的に求め、その未提出を理由として団交に応じないことが正当な理由のある団交の拒否ということはできない。また、Yはそれまで問題としていなかった団交の出席人数等を制限することも述べており、誓約書の提出と合わせて組合が拒否することを見越してあえてこれらの条件を提示したものと疑わざるを得ない。
 したがって、Yが団交に応じなかったことは正当な理由のない団交拒否に当たる。
2 Zの団交拒否について
 本件においては、X2との関係においてZが労組法7条にいう使用者に当たるか否かが争われており、Zは、Yの労働条件の決定には介入しておらず、解雇についてもYが人選を含めて決定し、Zはこれを承認しているにすぎず、使用者には当たらない旨主張する。
 しかし、認定した事実によれば、Zは年俸制や人事評価の決定を行うなど株主としての権限を越えてYの従業員の基本的労働条件等について雇用主と同視できる程度に現実的かつ具体的に支配力を及ぼしていたものといえる。そして、グループ企業の経営改善は持株会社であるZが決定しているところ、労働条件の決定を行っていたZが解雇を承認したことはモバイル事業部を廃止し、X2を含む全員を解雇することについて実質的かつ具体的に関与していたものと評価して妨げない。
 したがって、ZがX2の使用者ではないとして団交に応じなかったことは正当な理由のない団交拒否に当たる。
3 X2の解雇について
 Yは、X2の解雇は整理解雇であり、その必要性等も正当であり、手続も妥当であったという。しかし、Yは、組合に繰り返しゲーム事業部の人員増を行うと述べ、実際に部門廃止したモバイル事業部についても継続的に採用を行い、また、解雇を避けるための方策を採ったとの事情は窺われず、組合との協議も十分に行っていないのであるから、Yの主張を採用することはできない。
 そして、過去において平成18年7月の会社分割前の旧Z社(Yは当該会社分割における新設分割設立会社)と組合との関係が対立的に推移していたことに加え、Yが19年12月、組合に対し、一方的に労働協約の破棄を通告したことなどを併せ考えれば、Yは組合と対立する状況にある中で、団交を拒否し、あえて自ら締結した協定に反して、事前に組合との協議を十分に行わないままX2を解雇したものであり、このことはビラ配布など活発な組合活動を行う組合を排除するために行った、組合の運営に対する支配介入に当たる。 
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委平成25年(不再)第31・34号 一部変更 平成27年2月18日
 
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