労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  香月工業所外1者 
事件番号  中労委平成25年(不再)第2号 
再審査申立人  全国一般労働組合福岡地方本部(「 組合」) 
再審査被申立人  株式会社香月工業所(「会社」) 
再審査被申立人 
命令年月日  平成25年10月16日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要  1 会社は、平成20年9月4日に清算結了の登記を行っていた。本件は、組合及びX1組合員ら16名が23年12月22日に会社及び会社の代表清算人であったY(「会社ら」)に対し、X1組合員ら16名にかかる本件割増退職金の支払を請求したところ、会社らが応じなかったことが不当労働行為であるとして、会社らを被申立人とする救済申立てがあった事件である。
2 初審福岡県労委は、会社は既に当事者能力を喪失し、Yには労組法上の使用者性が認められないとして、いずれの救済申立ても却下したところ、組合はこれを不服として再審査を申し立てた。 
命令主文  本件再審査申立てを棄却する。 
判断の要旨  1 会社に対する救済申立てについて
 会社は、20年6月9日に解散後、清算を行い、同年9月4日に清算結了登記がされ、その後、組合員らとの間の訴訟対応は認められるが、その訴訟も23年6月11日に終結し、それ以外に何らかの活動を行っていたとは認められず、組合及びX1組合員ら16名が本件割増退職金を請求した時点では、既に会社の法人格は消滅しているというほかない。
 そうすると、会社が消滅し、もはや存在しない以上、会社が不当労働行為を行ったとする本件救済申立ては失当である。
2 Yに対する救済申立て
 組合は、Yは、代表取締役として会社の重要事項を決定し、また、代表清算人として会社の清算を行っており、清算結了登記後も、Y個人でX2組合員の本件割増退職金や第二工場の賃借料及び裁判費用を支払っていることから雇用主と同視できる立場であることは明白であり、被申立人適格を有する旨主張する。
 しかしながら、代表取締役が会社の重要事項を決定したり、代表清算人が清算事務の処理を行うことは、その職責に基づいて行うものであるから、Yがこれらを行っていたことは、同人が雇用主と同視できる立場にあるということを導くものではない。
 また、X2組合員に対する本件割増退職金の支払は、Yが会社の手続を代行したものというべきであり、このことをもって直ちに同人が雇用主と同視できる立場であると認めることはできない。そして、清算結了登記日以後にYが第二工場の賃借料を支払ったとする事実を認めるに足る証拠はなく、同人が会社の訴訟における裁判費用等の支払をしていた事実を認める証拠はないし、仮に事実上これを負担していたとしても、そのことが、Yが労組法上の使用者であることを基礎づけるものとはいえない。
 なお、上記1で述べたとおり、会社は既に消滅しているものと解されるところ、会社の代表清算人であったYが会社の事業を承継してこれを継続しているといった事情をうかがわせる証拠はない。
 そうすると、同人が本件救済申立てにおいて労組法上の使用者であるということはできないのであって、同人を被申立人とする本件救済申立ても失当である。
3 不当労働行為の成否
 以上のとおり、本件救済申立ては、既に消滅した会社及び労組法上の使用者とは認められないYに対する救済申立てであり、いずれも失当であると判断されるから、本件救済申立てを却下した初審判断は、結論において相当である。
 したがって、本件救済申立てにおいて組合が主張する不当労働行為の成否を検討するまでもなく、本件再審査申立ては理由がない。 
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
福岡県労委平成24年(不)第2号 却下 平成24年12月26日
 
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