労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  香月工業所  
事件番号  福岡労委平成24年(不)第2号  
申立人  全国一般労働組合福岡地方本部  
被申立人  株式会社香月工業所、Y1(個人)  
命令年月日  平成24年12月26日  
命令区分  却下  
重要度   
事件概要   既に解散し、清算結了を登記した被申立人会社及びその代表清算人であったY1が申立人組合及びその組合員らによる退職金の割増分の支払請求に応じなかったことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 福岡県労委は、申立てを却下した。  
命令主文   本件申立てを却下する。  
判断の要旨  1 被申立人会社の使用者性について
 本件の場合、会社は既に清算結了を登記していることから、現在もなお、労組法上の使用者として存続していると認められるかが、問題となる。
 本件申立てまでの経過を見ると、平成20年6月9日に会社の解散決議及び解散登記がなされ、会社が同年7月4日付けで全従業員を解雇し、8月に会社の事業活動は終了している。また、同年9月4日、代表清算人Y1が清算結了を登記し、後日、税務署長に解散の清算確定申告書等を提出したことにより、手続上、会社の残余財産分配が終了している。
 その後、本件当事者間における会社解散及び組合員らの解雇無効を争う訴訟が提起され、23年6月、解雇は有効であるとの高裁判決が確定したこと並びに会社の解散決議から約4年の期間を経過した後、本件申立てに至っていることが認められる。
 これらの事実からすれば、会社の労組法上の使用者性を論じるまでもなく、遅くとも組合員らが割増退職金を請求した23年12月の時点においては、会社の当事者能力そのものが既に消滅していたものというべきである。
 たとえ申立人組合が主張するように、①労災で休業していた従業員を20年10月30日まで継続して雇用し、②訴訟継続中に裁判経費などを負担し、③支払の申出のなかった割増退職金を組合員らに支払っていないといった事実があったとしても、これらはいずれも会社に本件救済申立ての被申立人となり得る当事者能力が存在することの根拠とは認め難いのであり、組合の主張するところに理由はない。
2 Y1について
 Y1は会社の代表取締役であり、代表清算人の地位にあったが、前記1で判断したとおり、会社は当事者能力そのものを既に失っており、これに伴って同人の会社を代表すべき地位も消滅しているのであるから、同人が組合員らの労働条件等について雇用主と部分的とはいえ同視できる程度に現実的かつ具体的に支配、決定することができる地位にあるとはいえず、労組法上の使用者に当たるとは認め難い。
3 結論
 以上のことから、本件救済申立てはいずれも被申立人適格を欠くものとして却下せざるを得ない。  
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委平成25年(不再)第2号 棄却 平成25年10月16日
 
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