労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  樟蔭学園 
事件番号  中労委平成24年(不再)第40号 
再審査申立人  学校法人樟蔭学園 (以下「学園」) 
再審査被申立人  大阪教育合同労働組合(以下「組合」) 
命令年月日  平成25年9月4日 
命令区分  一部変更 
重要度   
事件概要  1 学園と組合らとは、平成17 年11 月に組合員の労働条件の変更に関する協定(以下「17 年協定」)を、また、学園と組合とは、平成21 年9月に和解協定(以下「21 年協定」、17 年協定と合わせて以下「両協定」)を締結していた。
 本件は、①学園が、大学の非常勤講師であるX組合員担当の平成23 年度授業コマ数(以下「平成23 年度コマ数」)を減少させたことが労組法第7条第1号に、②学園が、団交又は両協定に基づく協議を経ずにX組合員担当の平成23 年度コマ数を減少させ、その後に開催された平成23 年4月の団交(以下「本件団交」)において、平成23 年度コマ数の減少の撤回に応じられないとしたことが労組法第7条第2号及び第3号に、それぞれ当たる不当労働行為であるとして、組合が大阪府労働委員会(以下「大阪府労委」)に対して、救済を申し立てた事件である。
2 大阪府労委は、上記1の②に係る事実が労組法第7条第2号及び第3号にそれぞれ該当する不当労働行為と判断し、学園に対し文書手交を命じ、上記1の①に係る申立てを棄却したところ、学園は、これを不服として、上記1の②に係る棄却を求めて、再審査を申し立てた。 
命令主文  1 初審命令主文第1項を変更する。
2 その余の本件再審査申立てを棄却する。 
判断の要旨  1 学園が、団交を経ずにX組合員担当の平成23 年度コマ数を減少させ、その後に開催された本件団交において、平成23 年度コマ数の減少の撤回に応じられないとしたことは、労組法第7条第2号の不当労働行為に当たるか(争点①)
ア 本件団交に至るまでの視点からみると、学園は、両協定はさておき、平成22年12月の団交申入れに対し、早期に団交を開催し、団交の場において、組合の要求や主張を聞き、適切な説明、資料の提供などの対応をしなければならない状況にあったというべきであるが、学園の平成23年1月の通知書にも、団交の開催についての記載はなく、この時期に、学園が組合に対し、団交の開催について何らかの連絡を取ろうとしたことを認めるに足る証拠はない。さらに、平成23年2月に組合による再度の団交申入れが認められることからすると、平成22年12月の団交申入れに対する学園の対応は、当該団交申入れに対し、早期に団交を開催し、組合と話し合おうとする姿勢を欠いたものであると言わざるを得ない。
イ 本件団交をめぐる視点からみると、本件団交が結果的に平成23年度当初になって開催され、組合と学園の間における交渉の実効性が希薄になっていることからすれば、学園は、本件団交において、キャンパスの状況やカリキュラムに関する運用の方針、カリキュラム改正後におけるX組合員担当の平成23年度コマ数が決まるまでの過程、新規採用した経緯などについて、適切な資料に基づいて具体的に十分説明すべきであったものであり、現に学園が行った一応の説明のみをもってしては、学園の対応は、誠意をもって組合に説明しようとする姿勢を欠いたものであると言わざるを得ない。
ウ 上記ア及びイの視点からみた評価を併せて考えると、平成22年9月の教授会において平成23年度の本件科目の必要単位数が承認され、非常勤講師の総数が変わらなければ、各非常勤講師のうちのいずれかの担当コマ数の減少が予測できる状況になっていたという当該年度の事情の下においては、学園が、組合からの平成22年12月の団交申入れに応じず、その後に開催された本件団交において、X組合員担当の平成23年度コマ数の減少について適切な資料に基づいて具体的に十分説明しなかったことは、早期に団交を開催し、団交において誠意をもって組合に説明しようとする姿勢を欠いたものであると言わざるを得ないことから、労組法第7条第2号に該当する不当労働行為に当たる(初審命令の判断は相当)。
2 学園が、X組合員担当の平成23年度コマ数について、両協定に基づく組合との協議を経ずに減少させたことは、労組法第7条第3号の不当労働行為に当たるか(争点②)
ア 学園が、X組合員担当の平成23年度コマ数について、両協定に基づく組合との協議を経ずに減少させたこと、すなわち、学園が平成23年1月に通知し、その後、本件団交が結果的に平成23年4月に開催されたことは、①学園の対応が、21年協定後、組合との協議が前年度内にできるよう時間的な余裕についてある程度配慮されていること、②両協定に基づく通知の時期についての学園の解釈は一概に不合理とまでは認められないこと、③通知から組合との協議までに2か月強を要したことは学園のみの責に帰すべきものとは認められないことから、両協定に明らかに反したものとまでは言えず、このことをもって、必ずしも組合を無視し弱体化を企図していたとは認められない。
イ 学園が、X組合員担当の平成23年度コマ数について、両協定に基づく組合との協議を経ずに減少させたことは、労組法第7条第3号の支配介入には当たらない(初審命令の判断は誤り)。 
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
大阪府労委平成23 年(不)第41号 一部救済 平成24年7月20日
 
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