概要情報
事件名 |
ヤンマー |
事件番号 |
滋労委平成24年(不)第2号 |
申立人 |
びわ湖ユニオン |
被申立人 |
ヤンマー株式会社 |
命令年月日 |
平成25年7月22日 |
命令区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
被申立人会社で期間従業員として勤務していた組合員X2及びX3は業績悪化を理由に平成21年2月15日をもって雇止めとされたが、会社は業績が回復した後、期間従業員の雇用を再開した。申立人組合は、24年5月30日開催の団交においてX2らの再雇用を要求したが、会社はこれを拒否した。また、組合は、同年8月、会社に対し、X2の上記雇止めは同人が滋賀労働局に労働者派遣法違反の申告を行ったことを理由とするものであるから、これを撤回し又は同人を再雇用すること、並びに技能員登用(一定の能力に達していると認められる期間従業員経験者を契約更新回数に制限を設けずに6か月単位で雇用する制度)におけるX2及びX3に対する不利益取扱いを協議事項とする団交を申し入れたが、会社はこれを拒否した。
本件は、会社が①X2らの再雇用の要求を拒否したこと、②上記の団交申入れを拒否したことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
滋賀県労委は、申立てを棄却した。 |
命令主文 |
本件申立てを棄却する。 |
判断の要旨 |
1 組合員X2らの再雇用の要求を拒否したことについて
組合員X2らは、平成21年2月15日をもって雇止めとされ、その雇用契約関係は有効に終了していたものと認められる。したがって、その者を再雇用するかどうかについても、企業は労働者の雇入れについて原則として自由に決定することができるから、その雇入れの拒否が従前の雇用契約関係における不利益取扱いとして不当労働行為の成立を肯定できる場合に当たるなどの特段の事情がない限り、不利益取扱いを認める余地はないものというべきである。
被申立人会社は、期間従業員の雇用を再開した際、過去に雇止めした者を優先的に再雇用したのではなく、広く一般から人材を募集している。また、X2らを雇止めした際、将来募集を再開するときは雇止めした者を優先的に雇用するといった約束をしたとか、そのような措置を期待させるような言動をしていた事情は認められない。そうすると、会社における期間従業員の雇用の再開は、新規採用と異なるところがなく、X2らについて前述の特段の事情があったと認めることはできないから、労組法7条1号の不利益取扱いに当たるとはいえない。
2 団交拒否について
団交申入れの協議事項のうち、X2の雇止めの撤回を求める部分については、従前の雇用契約関係における当該雇止めの是非又は効力に関することではあるが、既に当委員会が平成22年(不)第1号事件で判断し、民事訴訟においても判断された決着済みの事項を蒸し返すもので、これとは異なる新たな協議事項とは認められず、会社が応じなかったことには理由があると認められる。
また、再雇用の要求に関する部分については、前記1のとおり、X2の雇止めが有効に成立していることが既に確定していることから、会社はこれに応じるべき使用者には当たらないものと認められる。
X2らの技能員登用に係る協議事項についても、以上と同様である。
以上のとおり、本件団交申入れの協議事項の中に会社が組合との団交に応じるべきものが存在していたと認めることはできず、団交申入れ時においてX2及びX3は会社が「雇用する労働者」に当たるともいえないから、会社が団交申入れに応じなかったことが労組法7条2号の不当労働行為に当たるとはいえない。 |
掲載文献 |
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