概要情報
事件名 |
郵便事業(人事異動) |
事件番号 |
神労委平成23年(不)第26号 |
申立人 |
X(個人) |
被申立人 |
日本郵便株式会社 |
命令年月日 |
平成25年7月16日 |
命令区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
被申立人会社の戸塚支店に勤務していた申立人Xは、申立外労働組合の分会に所属する一方、平成23年3月、他の組合員とともに「動労千葉を支援する会・全逓横浜」(以下「支援する会」)を結成し、その代表として活動していた。
本件は、会社がXに対し、同年7月15日付けで戸塚支店から横浜泉支店への人事異動を命じたことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
神奈川県労委は申立てを棄却した。 |
命令主文 |
本件申立てを棄却する。 |
判断の要旨 |
1 本件人事異動に伴う不利益について
本件人事異動後、月1回程度開催されている「支援する会」の会議の出席者が減少し、物資販売の売上げも減少していることからすると、その限りでは、「支援する会」の活動に支障が生じていることが窺える。また、Xは戸塚支店に35年間も在籍しており、定年まであと約5年であり、異動を望んでいなかったことからすると、本件人事異動は同人にとって精神的不利益性を有することは否定できない。
2 「支援する会」の活動を理由とする不当労働行為の成否
「支援する会」の主な活動は国鉄分割民営化に反対して解雇された動労千葉の組合員に対する支援活動であり、申立外労働組合(以下「組合」)の組合員の労働条件の維持・改善など組合の目的に沿った活動であるとはいい難い。また、現在組合は「支援する会」の活動には関与しない態度であるということができ、その規約に「支援する会」に関する条項もないことを併せ考えると、「支援する会」の活動が組合の活動の一環として行われていたとはいえない。
したがって、「支援する会」の活動が労働組合の行為とは認められない以上、それが正当な行為か否かを問題とするまでもなく、本件人事異動は労組法7条1号の不利益取扱いには該当せず、ひいては「支援する会」に対する同条3号の支配介入にも該当しない。
3 Xの組合における活動を理由とする不当労働行為の成否
Xは、その所属する組合の分会の集会、署名活動などを行っていたが、分会内で際立った組合活動を行っていたとはいえない。
また、戸塚支店においては、管理職等を除く社員の約98%が組合に加入しており、人事異動の対象者のほとんどが組合員となることは明らかであり、現に本件人事異動に際してXのほか組合員3名も異動を命じられていることを併せ考えると、同人が組合員であることや同人の組合活動を殊更に注視し嫌悪した会社が同人を排除しようとの意図をもって本件人事異動を命じたとはいい難い。
さらに、本件人事異動は組合の同じ支部内での異動であったことに鑑みれば、同人の組合活動を牽制するとともに、抑圧しようとして人事異動を命じたとする会社の不当労働行為意思を推認することはできない。
4 組合に対する支配介入について
組合の支部が23年8月に会社横浜泉支店に提出した第3回定期大会関係の要求書には、本件人事異動に関する記載はなく、提出に際し組合が本件人事異動に言及することもなかったこと、本件人事異動後も支部・分会からの抗議が一切なかったこと等に鑑みれば、組合は本件人事異動による影響を問題視していたとはいえず、このような支部・分会の対応から、本件人事異動によって特段組合の団結が破壊ないし侵害されたと認めることはできない。
したがって、本件人事異動により会社が組合の運営に介入したとはいえない。 |
掲載文献 |
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