労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  福岡市(アミカス) 
事件番号  中労委平成24年(不再)第3号 
再審査申立人  アミカス嘱託職員ユニオン(「組合」) 
再審査被申立人  福岡市(「市」) 
命令年月日  平成25年6月19日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要  1 本件は、市が、①市男女共同参画推進センター(「アミカス」)に勤務する特別職の有期限の非常勤嘱託員(「嘱託員」)で23年3月31日に任期が満了する者(「任期満了者」)のみを対象とした内部選考(「特別選考」)を実施した結果、組合の組合員3名(「Xら」)を不合格とし同日付けで任用期間満了による退職(「本件退職」)と取り扱ったこと、②特別選考の合否決定後の市の対応が不誠実であること、が不当労働行為に当たるとして、救済申立てがあった事件である。
2 初審福岡県労委は、組合の救済申立てを棄却したところ、組合はこれを不服として、再審査を申し立てた。 
命令主文  本件再審査申立てを棄却する。 
判断の要旨  1 特別選考においてXらを不合格とし、同人らを本件退職としたことは、労組法第7条第1号及び第3号の不当労働行為に当たらない(争点1)。
ア 特別選考について、市が定めた小論文及び面接試験の実施方法等に、特段、不合理、不自然な点はみられず、同選考実施に、市が恣意的に介入したとは認められない。その他、市がXらのみを恣意的に不合格としたと認めるに足る証拠はない。
 また、市が、仮に柔軟な嘱託員の選考を行ったことがあったとしても、そのことをもって、嘱託員の任用更新回数制限を撤廃しないことが直ちに不合理であるとはいえない。市は、同制限の撤廃が困難であることについて、繰り返し組合との協議に応じ説明を行っていること、市民局長自らが団体交渉に出席し特別選考の先行実施に応じたこと等から同制限撤廃に係る組合の活動を嫌悪してきたともいえず、その他、Xら又は組合員を嫌悪していたこと及び同人らの組合活動を嫌悪していたことをうかがわせる事実は認められない。
イ 市は、市民局長が中心となり、22.6.10団交以降5回の団体交渉等を行い、22.9.28団交における組合との合意に基づき22.11.24確認書を取り交わしたが、この間、一貫して任期満了による嘱託員の任用は公募選考とする方針を堅持している。そして、この間の市民局長の発言は、任用継続を約束するものではないことから、22.11.24確認書の合意内容に雇用継続が含まれていたとする組合の主張は認め難い。
2 特別選考の合否決定後の以下の市の対応は、労組法第7条第2号の不当労働行為に当たらない(争点2)。
ア 22.11.24確認書においては、特別選考結果の連絡方法までは合意されておらず、同結果通知文書の発送日は同選考実施前から22年12月10日と定められていたのであるから、合否決定(同月7日)の3日後である同月10日に、受験生及び組合に対し同結果を連絡した市に、不自然な点はない。また、同日の時点で組合からの団交申入れ自体は可能であり、22.12.15団交申入れの要求事項やその後行われた団体交渉の内容からすれば、市が同月10日に同結果を連絡したことは、実質的な団交拒否には当たらない。
イ 22.11.24確認書によれば、特別選考による欠員について、①組合と市は公募による一般選考を実施することで合意していること、②市は早急に公募を実施して人材を確保する必要があったこと、③公募方法としては市政だよりへの掲載が重要な手段であると考えられていたことが認められ、公募後ではあるが、市は組合の要求に応え団交申入れに応じ、相応な対応をしていることから、組合との団交開催前に、市が公募を開始したことをもって、不合理な対応をしたとはいえず、実質的な団交拒否には当たらない。
ウ 22.12.25団交、23.1.19団交及び23.1.26団交において、以下のとおり、市が不誠実な対応をしたとはいえず、実質的な団交拒否には当たらない。
 ①市においては、局長自らが労働組合との団体交渉に出席し合意成立まで関わることはなかったこと、②22.12.25団交において、市は組合の要求に従い特別選考試験の一部を明らかにするなど相応の対応をしていること、③同団交以降の団体交渉には市民局長が出席していること、④組合とのこれまでの団体交渉には市側の責任者が対応していること等から、22.12.25団交に市民局長を出席させなかったこと並びに23.1.19団交及び23.1.26団交にアミカス所管外の課長を出席させなかったことは、不誠実な対応であったとはいえず、実質的な団交拒否には当たらない。また、上記団交における市民局長の発言は、それまでの嘱託員の任用継続を約束するものではない旨の発言趣旨と異なるものではないから、市が団体交渉において不誠実な対応をしたとはいえず、実質的な団交拒否には当たらない。
 市は、組合の要求に従い、上記各団交において特別選考の選考過程や選考基準について、交渉に必要な範囲で段階を追って明らかにしたといえ、同選考の受験者個人の評定点数等を明らかにした場合、以後に行われる同種試験の円滑な実施に支障が生じるおそれがあることからすれば、市が同選考の選考過程及び基準を一度に又は全て明らかにしなかったからといって、不誠実な対応をしたとはいえず、実質的な団交拒否には当たらない。
エ 市は、23.1.26団交において、Xらの再就職のあっせんについて、募集情報の収集に努め案内すると回答し、組合の要求に対しでき得る範囲での対応をしているといえ、その後も同人らに情報提供を行っている。また、市民局長の発言により市が同団交を打ち切ったとも認められないから、市の対応が不誠実であったとはいえず、実質的な団交拒否には当たらない。 
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
福岡県労委平成23年(不)第2号 棄却 平成23年12月22日
 
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