概要情報
事件名 |
東海旅客鉄道(一時金等) |
事件番号 |
愛労委平成20年(不)第9号 |
申立人 |
ジェイアール東海労働組合、同名古屋地方本部 |
被申立人 |
東海旅客鉄道株式会社 |
命令年月日 |
平成25年3月25日 |
命令区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
申立人組合は、平成19年11月4日から5日にかけて組合員1名の懲戒解雇の撤回を目的としてストライキを実施し、名古屋地方本部所属の組合員19名が参加した。本件は、その後、被申立人会社が①平成19年度年末手当の算定に当たり、組合員14名に対し、成績率に係る減率を適用したこと、②20年度夏季手当の算定に当たり、組合員14名に対し、同じく減率を適用したこと、③20年度定期昇給の算定に当たり、組合員6名に対し、欠格条項を適用して昇給額を減じたことは上記ストライキの報復として組合員を不利益に取り扱ったものであり、不当労働行為に該当するとして、救済申立てがあった事件である。
愛知県労委は、申立てを棄却した。 |
命令主文 |
本件申立てを棄却する。 |
判断の要旨 |
1 11.4ストの減率等への影響について
申立人組合は、名古屋地方本部における、平成19年度年末手当及び20年度夏季手当について減率適用を受けた組合員の数並びに20年度定期昇給に当たり欠格条項の適用を受けた組合員の数が以前に比べ一挙に増大しており、また、組合員数に占めるこれら減率等の適用を受けた者の数が他の地方本部に比べ異常に多く、これらは被申立人会社が11.4スト以降、同地方本部組合員に対して減率適用等を集中させていることを示すものである旨主張する。
しかし、認定した事実によれば、他の地方本部においても減率適用等を受けた組合員が多かったときが過去にあり、その人数が増減することは今回に限ったことではない。また、11.4ストに参加しても減率適用等を受けなかった組合員や逆に参加していなくても受けた組合員もおり、ストへの参加の有無が決定的要因であるとはいえない。
組合はまた、会社が11.4ストに異常な嫌悪を示したと主張するが、組合が挙げる事実によってはそれを認めるまでには至らない。
したがって、会社が11.4ストに対する報復として組合員に対し減率等の適用をしたものと直ちに推認することはできないが、仮に当該減率等の適用をしたことに合理性が認められない場合には、同ストに対する報復として推認される余地もあるといえる。
2 減率等の適用の基準の合理性について
会社は、期末手当の成績率に係る減率適用を行うかどうかについては、管理者が注意指導した社員の非違行為の内容や回数に基づき判断している。例えば、輸送サービスの提供に直接的かつ重大な問題を生ぜしめるとはいえないものの本来的な労務を提供する際に瑕疵のある行為が非違行為の中に含まれている場合には、原則として非違行為の総数が10回以上で減率適用をすることとしている。また、定期昇給に係る欠格条項の適用についても、通年における社員の非違行為に基づいて、日々の業務に対する取組姿勢等の事情を総合的に勘案して判断していることが認められる。これらの判断基準は、合理的なものであるといえる。
3 各組合員に対する減率等の適用の相当性について
減率等の適用を受けた組合員ごとに、会社が前述のような判断基準等に基づき減率等の適用をしたことに理由があるか否かについて検討すると、いずれの組合員についても、訓告又は10回以上の注意指導を受けたこと等が認められ、会社がこれらを理由として減率等を適用したことには理由があるといえる。
4 結論
以上のとおり、会社が本件組合員に対し減率等の適用をしたことについては合理性が認められ、11.4ストに対する報復とは推認できないことから、不当労働行為には当たらない。 |
掲載文献 |
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