労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  上田清掃  
事件番号  中労委平成23年(不再)第27号  
再審査申立人  上田清掃株式会社(「会社」)  
再審査被申立人  管理職ユニオン・関西(「組合」)  
命令年月日  平成25年2月6日  
命令区分  一部変更  
重要度   
事件概要  1 本件は、会社が、①組合員X1及びX2の20年夏季・年末、21年夏季・年末の各賞与について、査定の結果であるとして低額で支給したこと、②X1に対し、22年1月1から3日までの勤務について、「自らの勝手な判断で休憩を短縮し、さらに会社の許可なく所定の終業時刻を無視し、早退した」として、22年1月13日付けでけん責処分を行ったこと等が不当労働行為であるとして救済申立てがあった事件である。
2 初審京都府労委は、上記①及び②の不当労働行為の成立を認め、X1らに対する各賞与差額の支払い及びX1に対するけん責処分の取消を命じ、その余の救済申立てを棄却したところ、会社はこれを不服として、再審査を申し立てた。  
命令主文  1 初審命令主文第1項及び第2項を次のとおり変更する。
(1) 20年夏季賞与に関する申立てを却下
(2) 組合員X1らの20年年末、21年夏季・年末の各賞与の再査定を行い、再査定に基づいて算出された各賞与額と既支払済額との差額相当額の支払
2 その余の本件再審査申立て棄却  
判断の要旨  1 20年夏季賞与に関する申立ては、申立期間内に行われたものといえるか(争点①)
 20年夏季賞与は20年6月25日に支給されており、同賞与に関する救済申立ては21年10月1日に行われたものであるから、同救済申立てが行為の日から1年以上を経過して行われたことは明らかである。
 そして、賞与に関する差別取扱いは当該賞与の支給によって完結する1回限りの行為と解すべきであるから、これを労組法第27条第2項の「継続する行為」に該当すると解することはできない。
 よって、20年夏季賞与に関する救済申立てについては申立期間経過後に行われたものというほかなく、同救済申立ては却下すべきである。
2 20年年末、21年夏季・年末の各賞与に関する会社の査定の結果、組合員X1らの各賞与が低額であったことが、労組法第7条第1号及び第3号に当たるか(争点②)
ア 会社の賞与査定制度は、制度自体が不合理なものとまでいうことはできないが、各人の評定及び賞与額の決定については恣意的な運用が可能な制度と言わざるを得ない。
 また、X1らの各賞与に関して会社が行った各査定理由は、その多くが合理的といえないものであり、合理性があるものについても、それらを併せても極端な低査定を導くものと評価することはできない。加えて、具体的な賞与額の決定に関しては、総合評点との関係において、他の従業員におけるような相関関係がみられないこと、また、査定そのものに一貫性がなく、同一の事象について査定項目が異なるものが存在することなどが認められること、査定項目自体が情意的なものが多く存在すること、さらに、査定の対象となる行為が複数の査定項目において評価されていることなどからすれば、恣意的に行われたものと推認できる。
イ 上記アの事情に加え、①X1らの組合加入公然化を契機として、X1らの賞与が不支給又は低額となっていること、②救済申立てや訴訟が相次いで発生し、組合がX1らに対する会社の対応に多数の異議申立てを行っていたことが認められる労使事情から、会社が組合を嫌悪していたと推認できること、を考慮すれば、X1らの各賞与について、X1らを除く他の従業員と比して、極端な低査定が行われ、極めて低い金額とされたことは、会社が組合及び組合員であるX1らを嫌悪し、恣意的な運用が可能な賞与査定制度を利用して、X1らが組合員であることを理由として合理性の認められない低査定を行った結果であるといわざるを得ず、労組法第7条第1号及び第3号に該当する。
3 組合員X1に対するけん責処分が、労組法第7条第1号及び第4号に当たるか(争点③)
 X1が独自の判断で、休憩時間を取得せず、所定の終業時刻を遵守しなかったことは、従業員として不適切な行動であったことは否めない。
 一方で、会社では正確な退勤管理が行われていない事情があり、X1以外の従業員も、所定の終業時刻を必ずしも遵守していなかったことが認められること、会社は正月期間の勤務の終了時刻について明確な指示を行っておらず、会社が指示した「通常どおりの勤務」が、このような状態を前提としたものと理解されたとしても無理からぬこと、X1は、会社所定の労働時間の勤務を行っていること等を考慮すれば、懲戒処分をもって臨むことが相当とは認められない。
 よって、会社がX1に対して行ったけん責処分は、同人が組合員であることを理由として行われたと認めるのが相当であり、また当該処分が、組合が初審第3号事件の救済申立てを行った直後に行われたことに鑑みれば、同救済申立てを理由として行われたものとみるのが相当であるから、労組法第7条第1号及び第4号に該当する。
4 救済方法について
 会社に、前記(2)で検討した各査定理由に関する合理性の有無の判断に従って再査定を行わせ、この結果に基づいて賞与額を決定し、支払済の各賞与額との差額相当額の支払を命ずることが相当である。なお、再査定に当たっては、X1らの総合評点については、現在の点数を上回るように措置しなければならず、また、X1らの具体的な各賞与額については、X1らを除く従業員と同様の相関関係によって算出される各賞与額を上回るよう措置することを命ずることが相当である。  
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
京都府労委平成21年(不)第1号・第3号 一部救済 平成23年3月30日
 
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