労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  第3上田清掃・第4上田清掃 
事件番号  京労委平成21年(不)第1号・第3号 
申立人  管理職ユニオン・関西 
被申立人  上田清掃株式会社 
命令年月日  平成23年3月30日 
命令区分  一部救済 
重要度   
事件概要   被申立人会社は、平成21年3月、同社が組合員X2及びX3に対して平成19年の夏季賞与を支給せず、また、年末賞与を低額で支給したことは不当労働行為であるとして、京都府労委から賞与の平均支給額又は既支給額との差額の支払いを命じられた(第1・第2併合事件)。本件は、その後、会社が①組合員X2及びX3に対して平成20年及び21年の夏季・年末の各賞与を低額で支給したこと、②X2を配置転換したこと、③団体交渉を拒否したこと、④X2に対して厳重注意を行ったこと、⑤X2に対してけん責処分を行ったこと等は不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 京都府労委は、会社に対し、①X2及びX3に対して平成20年及び21年の夏季・年末の各賞与として受け取るべき適正額と実際の支給額との差額を支払うこと、②X2に対して行ったけん責処分を取り消すことを命じ、その余の申立てを棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、申立人の組合員X2に対して、平成20年の夏季賞与の差額分として金140,000円を、同年の年末賞与の差額分として金130,000円を、平成21年の夏季賞与の差額分として金130,000円を、同年の年末賞与の差額分として金160,000円をそれぞれ支払わなければならない。
2 被申立人は、申立人の組合員X3に対して、平成20年の夏季賞与の差額分として金150,000円を、同年の年末賞与の差額分として金180,000円を、平成21年の夏季賞与の差額分として金180,000円を、同年の年末賞与の差額分として金140,000円をそれぞれ支払わなければならない。
3 被申立人は、申立人の組合員X2に対して行った平成22年1月13日付けのけん責処分を取り消さなければならない。
4 申立人のその余の申立てを棄却する。 
判断の要旨  1 被申立人会社が組合員2名に対して平成20年及び21年の夏季・年末の各賞与を低額で支給したことは、労組法7条の不利益取扱い及び支配介入に該当するか。
 会社が上記の各賞与として組合員X2及びX3に支給した額は、同人らと同じごみ収集業務に従事する他のコースドライバーの最低支給額の3分の1以下の額であり、不利益な取扱いであるといえる。会社における賞与査定の実態は第1・第2併合事件の時から何ら変わっていないばかりか、客観的かつ具体的な査定による支給額決定が行われていること自体疑いを免れず、結局のところ社長の一存で決定されているといわざるを得ない。そうすると、本件各賞与の低額支給は、第1・第2併合事件と同じく、X2らが組合員であることを嫌悪した労組法7条1号の不利益取扱いであるとともに、これを通じて組合を弱体化しようとする同条3号の支配介入に該当すると判断するのが相当である。また、上記各賞与において査定対象となったX2らの行為は、大半は査定理由としての合理的な説明ができないものであり、著しい低額査定の理由とはなり得ない。
2 X2の配置転換は、労組法7条の不利益取扱い及び支配介入に該当するか。
 X2の賀茂コースからリサイクルコースへの配転により、同人の労働時間は延長されたことになるものの、リサイクルコースは同人の6割程度の月例給与の従業員が担当していたコースであるにもかかわらず同人の日給は変更されていないことなどからすれば、同人の労働条件がその意に反して著しく不利益に変更されたとはいいがたい。また、配転理由を見ると、会社が主張する、ごみ収集先とのトラブルの回避・再発防止やごみ収集コースの合理化・再編という理由にはそれに沿う事実が認められるとともに合理性があると判断できる。
3 平成21年7月23日に団交開催が予定されていたにもかかわらず、会社が本件配転を通告したことは実質的に団交拒否に該当するか。
 会社は本件配転の実施日を当初7月21日としていたが、その後同月23日に団交を行うことが合意され、これを前提に当該実施日を同月27日に変更したという経過がある。また、23日の団交が実施されなかったのは組合が団交を欠席したためであると判断せざるを得ず、会社は団交を拒否していない。
4 X2に対するけん責処分は、労組法7条の不利益取扱い及び報復的不利益取扱いに該当するか。
 会社は平成21年12月28日、X2に対して正月も通常どおり業務を行うよう指示したが、同人は22年1月1日から3日まで収集作業等を終了後休憩を取らずに所定の終業時刻より早く退社し、そのことを理由に会社が本件けん責処分を行ったことが認められる。しかし、会社は一般的にはコースドライバーの退勤時間管理を行っていないにもかかわらず、上記のようにX2に対してわざわざ指示し、それに反したとして処分したものであり、その処分に合理性は認められない。そうすると、本件けん責は、組合員であるX2を特別扱いしたもので労組法7条の不利益取扱いであると判断するのが相当である。また、その処分日は会社が行ったX2への厳重注意について組合が当委員会に申立てをした日の約1か月後と近接した日であることから、当該申立てをしたことに対する報復的不利益取扱いでもあると判断するのが相当である。 
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委平成23年(不再)第27号 一部変更 平成25年2月6日
 
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