労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  関西学院  
事件番号  中労委平成23年(不再)第43号  
再審査被申立人  学校法人関西学院(「法人」)  
命令年月日  平成24年10月3日  
命令区分  棄却  
重要度   
事件概要  1 本件は、法人に期限付契約職員として雇用され、障害のある学生の支援を行うコーディネーターとして勤務していたXが組合に加入し、団体交渉を申し入れたところ、法人がXを雇止めしたことおよびXの雇止めに関する団体交渉において不誠実に対応したことが、不当労働行為であるとして、救済が申し立てられた事件である。
2 初審大阪府労委は、上記1の組合の救済申立てをいずれも棄却したところ、組合は、これを不服として、再審査を申し立てた。  
命令主文  本件再審査申立てを棄却する。  
判断の要旨  1 Xを雇止めとしたこと(嘱託職員等として継続雇用を行わなかったことを含む。)は労組法第7条第1号および第3号に該当するか。
ア Xの継続雇用の可能性に関する人事課への問い合わせの経過からすれば、21年1月20日に問い合わせた「継続雇用の可能性」は、既に回答済みの期限付契約職員としての継続雇用の可能性のことではなく、むしろ、明確な回答がなかった嘱託職員としての継続雇用の可能性の趣旨であったものと解するのが相当であり、同日の確認は、その点に関する法人の方針についての最終的な確認として行われたものであるとみることができる。また、上記の問い合わせに対する回答の内容はその都度Xに伝えられていたのであるし、同年2月13日にY教務部長から継続雇用できないと言われたことに対するXの対応からも、X自身、期限付契約職員としての継続雇用のみならず、嘱託職員への雇用形態の転換による継続雇用についても可能性がない旨を告げられたと理解していたものとみることができる。
イ そうすると、法人がXを期限付契約職員としては雇止めをしたことおよび同人を嘱託職員に変えて継続して雇用することも行わないことは、既にXが組合に加入する前から法人がとってきた方針なのであるから、これらをもって、組合員であるが故の不利益取扱いに当たるとはいうことはできない。
ウ 非組合員であるアルバイト職員が、Xの後にコーディネーターとして就くことになったことが、組合員であるXを差別して法人から排除するために仕組まれたものであるとか、組合の弱体化を意図したものであるとは認めることはできない。その他、法人の対応が組合に対する支配介入に当たると認めるに足る証拠もない。
エ 以上からすれば、Xを雇止めとしたこと(嘱託職員等として継続雇用を行わなかったことを含む。)は、労組法第7条第1号および第3号には該当しない。
2 Xの雇止めに関する団体交渉における法人の対応は、労組法第7条第2号および第3号に該当するか。
ア 団体交渉の経緯について検討するに、法人は、Xが組合に加入する前からコーディネーターについては雇用期間を4年間とする方針を採っていたのであり、Xに対する雇止めについても、この方針を変更せず、その理由について、当該方針が法人にとっては組織の活性化を図るための重要な人事政策であること、Xには、募集の際、その方針を明示し、本人もそのことを納得した上で応募し採用されたこと、コーディネーターには、最長4年の中で最新の知識、優れた能力などを持ったより優秀な人材を確保することが重要であること、他の職種、雇用形態(嘱託職員等)での継続雇用もしないこと、を組合に対し説明したことが認められる。
 このことから、法人としては、Xの継続雇用について、団体交渉において、組合に対して、法人の人事政策に照らしてなし得る説明を、組合の質問に答えつつ繰り返しているとみることができる。
イ このような法人の交渉態度については、コーディネーターの雇用限度を4年間とすることにより組織の活性化を図ることが法人の重要な人事政策とされ、そのような人事政策が必ずしも不合理であるとはいえないことからすれば、組合の主張や提案に対する不誠実な答え方とまではいうことができない。むしろ、法人としては、当該人事政策の変更の可否や例外措置の可否についての組合の質問に対し、上記人事政策の墨守を繰り返し述べる以外には対応の仕方がないという状態に立ち至ったとみるべきである。したがって、Xの雇止めに関する法人と組合間の団体交渉は、双方が主張やなし得る提案を出し尽くして行き詰まりに達したものとみるのが相当である。
ウ また、法人の対応が、組合を軽視するものであるとか、組合員の組合への信頼を減じさせるものであるとか、労使協定に違反するものであるということもできず、その他、法人の対応が組合に対する支配介入に当たると認めるに足る証拠もない。
エ 以上からすれば、Xの雇止めに関する団体交渉における法人の対応は、労組法第7条第2号および第3号には該当しない。  
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
大阪府労委平成22年(不)第9号 棄却 平成23年5月24日
 
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