労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  大阪府労委平成22年(不)第9号 
事件番号  大阪府労委平成22年(不)第9号 
申立人  X労働組合 
被申立人  学校法人Y 
命令年月日  平成23年5月24日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要   被申立人法人が(1) 期限付契約職員Dが申立人組合に加入した後、同人の継続雇用に関する検討をやめ、非組合員であるアルバイト職員を期限付契約職員として採用する一方、Dを解雇する旨通告し、これを撤回しないこと、(2) 組合員の労働条件変更については団体交渉で協議していくとの労使合意などがあるにもかかわらず、Dの雇止めに関する団体交渉において組合を説得することなく、組合の譲歩案を真剣に検討することもなかったことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 大阪府労委は、申立てを棄却した。  
命令主文  本件申立てをいずれも棄却する。 
判断の要旨  1 被申立人法人が行った組合員Dに対する雇止めは、同人が組合員であるが故の不利益取扱いに当たるとともに、組合に対する支配介入に当たるか。
 法人が、Dを平成22年3月31日限りで雇止めとすること及び同人を嘱託職員に変えて継続して雇用することは行わないことを同人が組合に加入する前に決定していたことは明らかである。そうすると、法人の規程・労働契約及び人事政策等の合理性の有無はともかくとして、雇止めをしたこと等が組合員であるが故の不利益取扱いに当たるということはできない。
 また、法人がDの雇止めについての方針を同年2月16日の団交において変更しなければならない特段の事情も認められないから、当該方針を変更しなかったことが組合嫌悪の現れであるということはできず、こうした法人の対応が組合員であるが故の不利益取扱いに当たるということはできない。
 以上のとおりであるから、本件雇止めが非組合員を優遇してDを差別して法人から排除するために仕組まれたものであるとか、組合の弱体化を意図したものであるとは認めることはできず、その他、法人の対応が組合に対する支配介入に当たると認めるに足る疎明もない。よって、本件雇止めが労組法7条3号に該当する不当労働行為であると認めることはできない。
2 平成22年2月16日に行われた団交における法人の対応は、不誠実団交に当たるとともに、組合に対する支配介入に当たるか。
 平成13年4月19日付けの法人の回答書には「今後とも組合員の労働条件の変更については、貴組合との団交に則ってやっていく所存です」との記載があり、また、組合と法人の間では、団交を継続することを相互に確認する旨、円満な労使関係を築いていくよう努めるものとする旨の21年12月24日付け和解協定書が成立していた。
 22年2月16日の団交において、法人はDの雇止めについての方針を変更しなかったことの理由について、嘱託職員への雇用替えは人件費が高くなるため無理であることを含め一定の説明をしていることは明らかであり、また、双方の主張が対立して意見の一致をみなかったことの原因が法人にのみあったともいえないところである。さらに、上記1のとおり、法人がDを雇止めとしたこと等は組合員であるが故の不利益取扱いに当たるということはできない。
 以上のとおりであるから、上記の回答書の記載及び和解協定書の成立を前提としても、当該団交における法人の対応は不誠実団交に当たるとまではいうことができない。また、組合を軽視するものであるとか、労使協定に違反するものであるとはいえず、その他、組合に対する支配介入に当たると認めるに足る疎明もないから、労組法7条3号に該当する不当労働行為であると認めることはできない。  
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委平成23年(不再)第43号 棄却 平成24年10月3日
 
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