労働委員会命令データベース

(この事件の全文情報は、このページの最後でご覧いただけます。)

[命令一覧に戻る]  [顛末情報]
概要情報
事件名  ショーワ  
事件番号  中労委平成22年(不再)第41号  
再審査申立人  一般合同労組さいたまユニオン(「組合」)  
再審査被申立人  株式会社ショーワ(「会社」)  
命令年月日  平成24年9月19日  
命令区分  棄却  
重要度   
事件概要  1 本件は、①会社に派遣されている派遣労働者が加入する組合が申し入れた団交に会社が応じなかったこと、②会社に派遣されていたXが会社の交替要請により派遣元会社から自宅待機(出勤停止)を命じられたことが、それぞれ不当労働行為であるとして、組合が救済を申し立てた事案である。
2 初審埼玉県労働委員会は、会社には組合との関係では労組法第7条の使用者とは認められないとして却下決定書を交付したところ、組合は、これを不服として再審査を申し立てた。  
命令主文  本件再審査申立てを棄却する。  
判断の要旨  1 労働者派遣法(以下「派遣法」という。)上の派遣先事業主は、派遣労働者の所属する組合との関係では原則として労組法第7条の使用者には該当しないが、例えば、派遣法の枠組み又は労働者派遣契約で定められた基本的事項を逸脱して労働者派遣が行われている場合や、派遣法上派遣先事業主に一定の責任や義務が課されている部分を履行していない場合等については、労組法第7条の使用者に該当する場合があり得る。
2 派遣労働者の就業場所や業務内容が会社と派遣元会社らとの間の労働者派遣についての個別契約の範囲内のものであり、三六協定を超える時間外労働も認められないなど本件の派遣の就労実態によれば、組合員らの労働者派遣が派遣法の枠組み又は労働者派遣契約で定められた基本的事項を逸脱しているとは認められず、かかる観点からは、会社に労組法第7条の使用者性を認めることはできない。
3 派遣労働者の直接雇用に関する団交事項の派遣先事業主の労組法第7条の使用者性については、派遣法第40条の4の直接雇用の申込義務が発生しているだけでは認められないが、派遣先事業主に対して当該派遣労働者の雇入れを求める行政勧告ないしその前段階としての行政指導がなされた場合においては、当該派遣先事業主は、当該派遣労働者との間で近い将来において雇用関係の成立する可能性が現実的かつ具体的に存する者として労組法第7条の使用者となり得る。しかしながら、本件では上記直接雇用の申込義務が発生していたとはいえないし、労働行政機関が、直接雇用の申込義務の履行又は雇入れをするよう行政勧告又は行政指導をしたという事実も見当たらない。よって、かかる観点からは、本件団交申入れに関し、会社に労組法第7条の使用者性を認めることはできない。
4 派遣法に基づく11年指針に定められた「次の就業機会の確保」に関する団交事項については、同指針が派遣先事業主に求める措置を同事業主が履行していない場合に、同事業主が当該派遣労働者の基本的な労働条件等に対して雇用主と部分的とはいえ同視できる程度に現実的かつ具体的な支配力を有しているものとして労組法第7条の使用者となる余地がある。しかしながら、本件では、会社は、同指針が派遣先事業主に求める措置をすべて講じていたものと認められる。よって、かかる観点からも、本件団交申入れに関し、会社に労組法第7条の使用者性を認めることはできない。
5 Xが会社の交替要請により派遣元会社から自宅待機を命じられたことについては、上記(1)~(4)で検討したとおり、会社には本件団交申入れに関し、労組法第7条の使用者とは認められず、上記交替要請が労働者派遣契約の枠内において行われたものであることからすれば、本件においては、上記交替要請に関しても、会社に労組法第7条の使用者性を認めることはできない。  
掲載文献   

[先頭に戻る]

顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
埼玉県労委平成21年(不)第4号・第5号 却下 平成22年6月23日
 
[全文情報] この事件の全文情報は約690KByteあります。 また、PDF形式になっていますので、ご覧になるにはAdobe Reader(無料)のダウンロードが必要です。