労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  東洋エージェント 
事件番号  中労委平成23年(不再)第76号  
再審査申立人  株式会社東洋エージェント(「会社」)  
再審査被申立人  管理職ユニオン・関西(「組合」)  
命令年月日  平成24年9月5日  
命令区分  棄却  
重要度   
事件概要  1 本件は、(1)会社が、組合の団交申入れに対し、駐車監視員はみなし公務員にあたり、労働三権は認められないとして団交を拒否し、その後も候補日時を連絡せず、団交開催を引き延ばしたこと、(2)会社が、団交において、①組合事務所の貸与及び組合掲示板の設置、②基本日給の引上げ、③職務手当の査定基準と評価制度の開示等について、組合が求める具体的な説明や根拠証拠の提示をしなかったこと、(3)Y1社長らが、待機所において労働組合を非難する文書を配付し、一部を読み上げるなどして、駐車監視員に組合加入しないよう威嚇する発言を行ったこと、(4)会社が、駐車監視員に対し、Y3統括責任者を発起人とする統括名要望書及び匿名要望書への記名押印を求めたこと、(5)会社のY2常務が、組合との交渉経過に係る文書を5件にわたり全ての待機所にファクシミリで送付したことがそれぞれ不当労働行為であるとして、組合が大阪府労働委員会(「大阪府労委」)に救済申立てを行った事件である。
2 大阪府労委は、上記(1)は労組法第7条第2号に、(2)のうち①及び②は同条第2号及び第3号に、(3)、(4)のうち統括名要望書について及び(5)のうち3件については同条第3号に各該当する不当労働行為であると判断し、会社に対し、誠実団交応諾及び文書手交を命じ、その他の申立てを棄却したところ、会社はこれを不服として再審査を申し立てた。  
命令主文  本件再審査申立てを棄却する。  
判断の要旨  1 団交申入れに対する会社の対応について
 会社は、組合に、「駐車監視員はみなし公務員であり、警察は地方公務員法等により労働三権が認められていない。」と回答し、団交に応じる前提条件として駐車監視員に労働三権が認められるとする具体的根拠を示すよう求めているが、上記回答自体、駐車監視員の労働三権が制限される根拠を何ら示しておらず、団交拒否の正当理由とはなり得ない。さらに、会社は、団交を開催する旨回答した後も、組合に対し、基本日給の引上げを求める具体的根拠を事前に提示するよう要求し、「団交当日に説明する」旨回答されたことを理由に、団交日時の連絡をせずに開催を引き延ばすなどしており、誠意をもって組合の団交申入れに対処したとはいえない。よって、組合の団交申入れに対する会社の対応は、労組法第7条第2号の不当労働行為に当たる。
2 団交における会社の対応について
 会社は、団交において、組合の要求事項のうち、組合事務所の貸与及び組合掲示板の設置について、これらにより生じる支障等、要求に応じられない理由を十分に説明したとはいえず、また、基本日給の引上げについても、要求に応じられない具体的な根拠を示したとはいえず、かかる会社の対応は不誠実団交であり、労組法第7条第2号の不当労働行為に当たる。さらに、会社は、組合のX副執行委員長を団交から排除しようとする発言を繰り返しており、こうした団交における一連の会社の対応は、会社の反組合的意図を体現したものといえることから、同条第3号の支配介入にも当たる。
3 代表取締役らの発言について
 組合の会社における分会が結成されて間もない平成22 年4月6日から16 日にかけて、Y1社長、Y2常務及びY3統括責任者らが、駐車監視員ら従業員に対し、労働組合を否定的にみる、あるいは非難する内容の文書を配付してその一部を読み上げたり、労働組合活動を非難する内容の発言をしたりしたことは、いずれも会社の行為であり、駐車監視員の組合加入に対して威嚇的効果を有するものであって、労組法第7条第3号の支配介入に当たる。
4 Y3統括責任者名義の要望書が配付され、駐車監視員が記名押印を求められたことについて
 会社は、Y3統括責任者が、外部組合である組合の要求には一切応じないことなどを記載した要望書を作成し、駐車監視員に対し記名押印を求めることを容認するだけではなく、組合に関する情報を提供するなど積極的に関与していたとみられるから、上記行為は、会社の行為であると認められる。駐車監視員に上記内容の統括名要望書への記名押印を求めたことは、組合活動を非難し、組合の弱体化を意図したもので、労組法第7条第3号の支配介入に当たる。
5 Y2常務が「労働組合との交渉経過について」と題した文書のうち3件の文書を全ての待機所にファクシミリで送付したことについて
 Y2常務は監視事業部長として統括責任者及び駐車監視員の人事管理及び評価を行う立場であり、その見解が駐車監視員に少なからぬ影響を与える効果が生じることは会社も認容していたとみることができる。Y2常務が送付した3件の文書には、組合が違法・不当な要求を行っている、あるいは、組合の情宣活動により駐車監視員の地位の低下にもつながりかねないとの印象を与える記載があり、Y2常務がこれらの3件の文書を全ての待機所にファクシミリで送付したことは、組合活動を阻害するもので、労組法第7条第3号の支配介入に当たる。  
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
大阪府労委平成22年(不)第21号
大阪府労委平成22年(不)第53号
全部救済(第21号事件)
一部救済(第53号事件)
平成23年10月28日
 
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