概要情報
事件名 |
芳賀通運
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事件番号 |
都労委平成22年不第118号
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申立人 |
一般合同労働組合なんぶユニオン
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被申立人 |
芳賀通運株式会社
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命令年月日 |
平成24年8月7日
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命令区分 |
棄却
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重要度 |
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事件概要 |
被申立人会社で海上コンテナ運転手として勤務していたX2は、平成21年8月3日、東京事業所から八千代事業所への転勤を命じられ、これを契機として申立人組合に加入した。組合は、X2の労働条件に関する問題について会社に団交を申し入れ、同年9月11日以降、5回にわたり団交が開催された。
本件は、①上記の団交における会社の対応が不誠実なものであったか否か、②会社が22年1月29日付け「通知書」でこれ以降の団交を拒否したこと及び組合の同年4月19日付け団交申入れに応じていないことが正当な理由のない団交拒否に当たるか否かが争われた事案である。
東京都労委は、申立てを棄却した。
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命令主文 |
本件申立てを棄却する。
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判断の要旨 |
1 第1回から第5回までの団交における被申立人会社の対応について
申立人組合は、①第1回団交での論議が第2回団交へと正しく引き継がれず組合員X2の転勤が強制されたこと、②会社は第3回団交で約束した事実関係の調査を第4回団交で覆したこと、③第3回団交において、給与の大幅低下を伴う操配業務への職種変更を強制したこと、④第4回団交において持ち帰って確認すると約束した「確認書」について、第5回団交で確認事項の存在そのものを否定したことが不誠実な対応に当たると主張する。しかし、第5回までの団交の経緯をみると、部分的に前回団交の経緯が十分に引き継がれていなかったとみられる点があるとしても、会社は、組合の要求にできるだけ応えようとしており、交渉過程全体の流れをみれば、そのことのみを捉えて、会社の対応が不誠実であるとまではいうことができない。
2 会社が平成22年1月29日付け「通知書」で以後の団交を拒否したことについて
第3回から第5回までの団交における組合の交渉態度をみると、回を追うごとに罵声・暴言の頻度が増しており、第5回団交における組合の対応はもはや正常な団交の運営を困難にするに至っていたといわざるを得ない。
その結果、会社がこれ以上組合と団交を続けるのは不可能であるとして、以後の団交を拒否したとしてもやむを得ない状況にあったといえる。
3 会社が22年4月19日付け団交申入れに応じていないことについて
会社が第5回団交及びその後に行われた会合の状況から、今後も暴力を行使される蓋然性が高いと判断し、組合の4月19日付け団交申入れを拒否したとしてもやむを得ないものといえる。その後、組合が暴力行使についての陳謝や将来において暴力を行使しない旨の保証などを行った事実は存在しないのであるから、会社の団交拒否には正当な理由があったといえる。
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掲載文献 |
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