労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  エクソンモービル(組合事務所貸与等) 
事件番号  中労委平成15年(不再)第23号 
再審査申立人  スタンダード・ヴァキューム石油自主労働組合京浜支部連合会(「京浜支部連」) 
再審査被申立人  EMGマーケティング合同会社(「会社」) 
命令年月日  平成24年7月18日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要  1 本件は、会社が、京浜支部連が行った本社内における組合事務所貸与要求及び組合掲示板の増設要求をいずれも拒否したことが不当労働行為に当たるとして、京浜支部連が東京都労働委員会に救済を申し立てた事件である。
2 初審東京都労働委員会は、いずれも不当労働行為に該当しないとして棄却した。組合は、これを不服として再審査を申し立てた。  
命令主文  本件再審査申立てを棄却する。  
判断の要旨  1 組合事務所等の貸与義務違反の主張について
 労働組合による企業の物的施設の利用(便宜供与)については、使用者との団体交渉等によって形成された合意に基づいて行われるべきものであるとするのが労組法の趣旨と解すべきであるから、使用者は労働組合に対し当然に便宜供与を行うべき義務があるなどとする京浜支部連の主張は独自の見解を述べるものにすぎず、採用できない。
2 組合事務所の貸与拒否及び組合掲示板の増設要求拒否に係る不当労働行為該当性について
ア 組合事務所の貸与拒否について
(ア) 会社内に全国規模で支部又は分会をおく三つの労働組合が併存していたなどの事情からすると、会社が、組合事務所の貸与に関し、当該事業所内に貸与するスペースがあること及び一定数の組合員が存在することを要件とし、また、事業所単位の組織である支部又は分会はともかく、中間組織には貸与しないとの方針を定めたことについては、不合理なものということはできず、また、そのことに反組合的意図は見出し難い。
(イ) 会社は、京浜支部連のみならず、併存する他組合についても、上記(ア)の方針に従った運用をしていることから、各組合を公平に取り扱っていたものと認められるのであり、京浜支部連ないしス労自主が使用することのできる組合事務所が本社内に貸与されていないことは、会社が、上記方針を公平に適用した結果にすぎないものであるとみるべきである。
(ウ) 会社は、会議室の使用について、京浜支部連の申請に対して、業務等の使用と重なった場合は調整を行って使用を許可し、また、本社内でキャビネットや物置を貸与するなど京浜支部連に対する一定の便宜供与を行っている。これに会社内では一律の取扱いがなされていたことを加え考慮すると、仮に京浜支部連が主張するように執行委員会等の開催や各種資料の保管等に不利益が生じているとしても、会社が京浜支部連に対して差別的取扱いを行ったということはできない。
(エ) 以上のとおり、会社は、組合事務所の貸与に当たっては、会社の方針を公平に適用してきたとみることができる。また、京浜支部連は組合活動の不都合をいうが、組合活動を行うことができないような実質的な制約とまではなっていなかったから、それをもって会社が差別的取扱いをしていることの根拠ということはできない。
イ 組合掲示板増設要求拒否について
(ア) 会社は、各労働組合に対して、新たな組合掲示板の貸与に当たり、原則として、スペースがあることを前提とし、少なくとも1人しか組合員がいない支部又は分会には新たな貸与は行わないという方針を定め、それに沿った運用を行っていることが認められる。
(イ) A油槽所に他組合員が新たに1名所属することとなった際に組合掲示板を貸与した例があるが、これは同油槽所の間違いによって生じたものであり、この例をもって、会社が意図的に行ったとまでいうことはできず、また、会社が撤去を強行せずに当該組合員が同油槽所から転出するまで貸与を続けたことには、一応の理由があるということができ、この例との比較から差別的取扱いを認めることはできない。
(ウ) (イ)の例のほかに、組合員が1名しか所属していない支店等において組合掲示板を貸与している例は数例存在するが、これらはいずれも、貸与後に組合員が減少したことなどによるものであり、これらの中には、ス労自主が組合員1名となっても使用し続けている例も含まれているのであるから、そのことをもって、ス労自主ないし京浜支部連に対する差別的取扱いが行われているとは認められない。
(エ) また、12年7月のエクソンモービルグループの組織変更に際しては、当初の京浜支部連の要求どおりの枚数の掲示板が貸与されており、その他、組合掲示板を増設しないことが京浜支部連に対する差別的取扱いであることを認めるべき事情は認められない。
(オ) 以上のとおりであるから、組合掲示板の増設要求に会社が応じなかったことが差別的扱いに該当するということはできず、京浜支部連の主張は理由がない。  
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
東京都労委平成5年(不)第66号 棄却 平成15年3月4日
 
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