労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  大阪大学 
事件番号  中労委平成23年(不再)第18号 
再審査申立人  国立大学法人大阪大学 
再審査被申立人  大阪大学箕面教職員組合 
再審査被申立人?  大阪大学教職員組合 
命令年月日  平成24年6月6日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要  1 本件は、大学が、箕面教組及び大学教組の21年7月以降の団交申入れに対し、開催時間を午後0時から午後1時の昼休みの時間帯及び開催場所を吹田地区に限定したことが不誠実団交に当たる不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。(大学統合前は、団交は勤務時間中や勤務時間終了後に行われていた。)
2 初審大阪府労委は、大学に対し、団交申入れに開催時間、開催場所の条件を正当な理由なく限定しないこと及び文書交付を命じたところ、大学は、これを不服として再審査を申し立てた。  
命令主文  (1) 再審査申立てを棄却する。
(2) 初審命令主文第1項及び第2項を次のとおり変更する。
ア 箕面教組に対し、下記内容の文書を交付しなければならない。
「団交申入れに対し、開催時間につき昼休みの時間帯、開催場所につき吹田地区と限定したことが、労組法第7条第2号の不当労働行為と認定された。今後このような行為を繰り返さない。」
イ 大学教組に対し、下記内容の文書を交付しなければならない。
「団交申入れに対し、開催時間につき昼休みの時間帯と限定したことが、労組法第7条第2号の不当労働行為と認定された。今後このような行為を繰り返さない。」  
判断の要旨  大学は、21年7月以降本件申立てまでの間の団交申入れに対する大学の対応は、時間帯については午後0時から午後1時までの昼休み時間、場所については吹田地区を原則という方針を示したもので、限定しているものでなく、この方針は特段不合理なものではなく、同対応は労組法第7条第2号の不当労働行為に当たらないと主張するので、以下検討する。
(1) 団交の開催時間
ア 組合らは、大学に対し、昼休みの時間帯以外の団交を検討するよう繰り返し求めたが、大学は、昼休みの時間帯の団交開催のみを提案し続けた。結果、限られた昼休みの時間帯でしか団交が行われないという事態に至ったのであり、大学は、昼休みの時間帯に限定した対応をとっていたというべきである。
イ 勤務時間終了後の団交、勤務時間中の団交はいずれも問題があり、団交の開催時間を昼休みとすることには合理性があるとする大学の主張について
(ア) 勤務時間終了後の団交は問題があるとする点
大学は、勤務時間終了後の団交開催について、業務への支障、学生サービスの低下及び会場確保の困難などを応じられない理由に挙げるが、これらを裏付ける疎明はなく、それを排斥することを正当化し得るほどの過度の問題があるとは認められない。
(イ) 勤務時間中の団交は問題があるとする点
大学は、組合らはノーワーク・ノーペイの原則に拒否反応を示しているから、勤務時間中の団交はすべきでないとするが、賃金を保障し勤務時間中の団交を許容するという取扱いはあり得ること、企業内組合との間では、労使交渉は従業員との意思疎通の促進という事業経営上の利点を有することなど、勤務時間中に団交を行うことは必ずしも不合理とはいえず、それを排斥することを正当化し得るほどの過度の問題があるとは認められない。
(ウ) 昼休み時間帯での団交の設定
一般に1時間では実質的な交渉の確保には不十分で、昼休みの時間帯に限定した団交の設定は、時間の長さにおいて問題があり、さらに、休憩時間の付与を義務付ける労基法の趣旨等を考え合わせると、組合らの意に反して団交の時間帯を昼休みにこだわり続けることに合理性はない。
ウ以上のとおり、大学は組合らに対し、団交の開催時間につき、昼休みの時間帯以外では団交を開催しないとの限定を正当な理由なく行ったとみるのが相当である。
(2) 団交の開催場所
 大学の態度は、箕面教組に対し、吹田地区開催以外の選択を許容しない方針をとったといえ、団交の開催場所につき限定を付していたとみざるを得ない。このことは、活動の中心が箕面地区にある箕面教組に、移動の負担を一方的に負わせ、実質的な交渉を妨げるものである。
(3) 不当労働行為の成否
 21年7月以降本件申立までの間の団交申入れに対する大学の対応は、団交の開催時間及び場所につき、正当な理由なく限定したものであり、不誠実な対応として労組法第7条第2号の不当労働行為に当たる。
(4) 救済方法
 文書手交は、箕面教組と大学教組を区分して命じることが適当である。また、本件申立て以降の大学の態度に柔軟に団交に応じる姿勢が認められ、現時点においては、開催時間及び開催場所の条件を正当な理由なく限定しないよう不作為命令を命じることまでの必要性はない。  
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
大阪府労委平成22年(不)第38号・第40号 全部救済 平成23年3月15日
 
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