労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  大阪府労委平成22年(不)第78号・23年(不)第2号 
事件番号  大阪府労委平成22年(不)第78号・23年(不)第2号 
申立人  X労働組合 
被申立人  Y1株式会社、Y2株式会社 
命令年月日  平成24年5月14日 
命令区分  棄却、却下 
重要度   
事件概要   X2 は、申立外A社に雇用され、同社と被申立人会社Y1との業務請負契約に基づきY1の工場で就労していたが、平成17年8月、Y1に有期雇用契約により雇用されることとなった。Y1は、X2にリペア作業(不良のディスプレイパネルの端子上の異物を竹串等で除去する作業)を行わせ、翌18年1月、期間満了で雇止めにした。X2は、この間の17年11月、雇用契約書上に記載された時期以降も雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認、リペア作業を命じたこと等の人権侵害行為に係る慰謝料の支払い等を求めて、大阪地裁に訴訟を提起した。同地裁の判決ではリペア作業を命じたことは違法とされたが、期間の定めのない雇用契約の成立は認められず、当事者双方が控訴したところ、大阪高裁は20年4月、同人が雇用契約上の権利を有する地位にあること等を確認する判決を発した(ただし、21年12月、最高裁により破棄された。)。X2は20年3月、申立人組合に加入し、組合は大阪高裁判決の履行等を求めてY1及びその親会社に当たる被申立人会社Y2に団交を申し入れた。組合とY1との間で20年6月と7月に団交が行われた後、組合は翌21年9月に団交申入れをしたが、応じられなかったため、同年12月に再び団交開催を要求し、また、翌22年1月、Y2に対しても改めて団交を申し入れた。
本件は、①Y1が上記21年12月の団交申入れに応じなかったこと、②Y2が上記22年1月の団交申入れに応じなかったことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 大阪府労委は、Y2に対する申立てを却下し、Y1に対する申立てを棄却した。
 なお、本件に関連する先行事件として、大阪府労委平成22年(不)第8号事件(22年5月24日決定)がある。  
命令主文  1 被申立人Y2株式会社に対する申立ては、却下する。
2 被申立人Y1株式会社に対する申立ては、棄却する。  
判断の要旨  1 被申立人会社Y1が団交申入れに応じないことについて
 申立人組合が平成21年12月に団交申入れをした際の文書には団交議題が明記されていないが、それまでの経緯をみると、同年9月25日の団交申入れの際に組合がY1と被申立人会社Y2に提出した文書に、議題として、①前回団交で継続議題になっていた組合員X2に対する人権侵害行為、②同人が他の労働者と連名で提出した「Y2にすべての争議の早期解決を求める要請書」と題する書面についてのY1の見解、③要請書提出時の会社の対応を考えている旨の記載がある。
 上記①については、前回団交(20年7月開催)においてY1が本件地位確認訴訟について、現状では司法判断以外の解決方法は考えられない旨述べたことなどからみて、この段階で労使間の協議は平行線になっていたとみるのが相当である。
 また、前回団交後、組合は約1年2か月の間、団交を申し入れておらず、また、21年12月の団交申入れまでの間に人権侵害行為に関して協議を再開すべき新たな事情が生じたと認めるにたる疎明等もない。
 したがって、上記団交申入れ時において、Y1にX2の人権侵害行為を議題とする団交に応じなければならない義務があったとまではいえない。
 次に、上記②の要請書に係る問題についても同様に、前回団交の段階で本件地位確認訴訟の終結に関する見解は双方の間で平行線になっているとみるのが相当である。また、かかる状況下で、要請書に関する会社の見解や提出時の会社の対応を議題とする団交に会社が応じなければならないとする特段の事情は見当たらない。
 以上のとおりであるから、Y1が団交申入れに応じないことを不当労働行為ということはできない。
2 Y2の使用者性及びY2が団交申入れに応じないことについて
 Y1とY2との関係については、①Y1はY2の子会社として設立され、その後合弁会社となったが、出資比率はY2が75%であったこと、②Y1はY2の製品を製造していることなどが認められ、Y2はグループ会社としてY1と密接な関係にあるといえる。また、Y2が本件工場の人員配置に関して、一定の影響力を有していたとみることはできる。
 しかし、本件工場におけるX2の業務内容の決定や雇用契約の締結について、Y2が具体的かつ直接的な影響力ないし支配力を及ぼしたと認めるに足る疎明はない。
 したがって、本件団交申入れに関して、Y2が労組法上の使用者に当たるとはいえず、組合のY2に対する申立てはその余のことを判断するまでもなく却下する。  
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委平成24年(不再)第26号 棄却 平成25年12月18日
 
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