労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  明静 
事件番号  中労委平成23年(不再)第22号 
再審査申立人  株式会社明静(「会社」) 
再審査被申立人  日本食品関連産業労働組合総連合会(「フード連合」) 
再審査被申立人  明静労働組合(「組合」) 
命令年月日  平成24年5月9日 
命令区分  一部変更 
重要度   
事件概要  1 本件は、会社が、組合の執行委員長X1を21年5月26日付けで、執行委員X2を5月14日付けで、副執行委員長X3を10月18日付けで、それぞれ解雇したことが、不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
2 初審埼玉県労委は、X1ら3名の解雇が労働組合法(「労組法」)の不利益取扱いおよび支配介入に該当するとして、会社に対し、(ⅰ)X1ら3名の原職相当職への復帰、(ⅱ)X1ら3名の解雇がなかった場合に本来支給されるべき賃金に年5分の割合による金員を付加しての支払(X1ら3名が解雇された後に他の職に就いて得た収入額の3割を限度とする控除を認めた。)、(ⅲ)X1ら3名の解雇に関する文書手交を命じたところ、会社は、これを不服として、再審査を申し立てた。  
命令主文  1 Bの解雇に関する救済部分を取り消し、同部分の救済申立てを棄却する。
2 初審命令主文を次のとおり変更する。
(ⅰ) 会社は、X1およびX3を原職相当職へ復帰させ、X1およびX3に対する解雇がなかった場合に本来支給されるべき賃金の支払を行うこと(上記Ⅱの2、(ⅱ)の年5分の割合による金員付加及び収入額の3割を限度とする控除は認めない。)。
(ⅱ) 会社は、X1およびX3の解雇に関する文書を交付すること。  
判断の要旨  1 X1の解雇は、労組法第7条第1号および第3号の不当労働行為に該当する。
 X1に対する16項目の解雇理由(会議への無断欠席など)には、相当性がなく疑問が多い上に、会社は、解雇以外の処分を検討することなく、組合結成3日後に突如としてX1を解雇している。また、会社は、21年4月10日以降、X1らが、賃金未払問題解決のために労働基準監督署及び外部の労働組合へ労働相談に行くなどしていることを察知し、X1らの活動を問題視していたと認められる。さらに、組合結成の2日前までに、X1らの活動が労働組合結成の動きに結実していると知り、フード連合の役員から組合結成の報告を受けた際の社長発言などから推認すると、会社は、X1らの組合結成の動きを問題視したと認められる。そうすると、X1の解雇は、X1が組合結成活動を中心的に行ったことを敵視して会社が意図的に行ったものと考えざるを得ず、不利益取扱いと、X1の排除によりフード連合および組合を弱体化させる支配介入に該当する。
2 X2の解雇は、労組法第7条第1号および第3号の不当労働行為に該当するか。
 X2の解雇理由(検便の検体未提出など)には疑問が多いが、会社が、X2の組合結成活動への関与を事前に察知していたと認めることはできないから、解雇は不利益取扱いおよび支配介入には当たらない。
3 X3の解雇は、労組法第7条第1号および第3号の不当労働行為に該当するか。
 X3の解雇理由(無断遅刻・欠勤の頻発など)には、合理性・相当性がなく、解雇手続の相当性にも疑問がある。一方で、会社は上記1のとおり組合結成を問題視してフード連合および組合を弱体化させようとしており、X1の解雇後も組合員が誰であるかについて関心を持っていた。そして、X3が副執行委員長に就任していたことを知ったわずか5日後に、それまで一度も指摘していなかった無断遅刻・欠勤、検便の検体未提出について始末書を提出させ、2か月後には解雇していることが認められる。これらから、会社はX3を排除しようとして解雇したものと推認することができ、解雇は不利益取扱いおよび支配介入に該当する。
4 本件救済方法
ア 会社の業務は、現在行われていないが、会社の清算の事実は認められず、X1およびX3を改めて解雇した事実も認められないから、主文要旨のとおり救済を命じる。
イ X1への賃金相当額の支払額から解雇後の収入額を控除する問題について、X1は解雇後、他の職について収入を得ているが、(ⅰ)X1の解雇により組合らの活動に重大な支障を与えたことが推認できること、(ⅱ)X1は再就職に困難が生じ就業場所を次々と変更している実態がうかがえること、(ⅲ)X1の解雇後の収入額は、解雇前の平均賃金月額の半額以下であり、経済的に多大の被害を被っていることから、X1の解雇後の収入額は控除しないことが相当である。また、X3の会社における就労は、生活の補助的な就労であることが認められ、解雇後にこれに替わる収入を得たことは認められないから、X3には収入額控除の問題は生じない。  
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
埼労委平成21年(不)第3号 全部救済 平成23年2月24日
 
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