概要情報
事件名 |
ブリーズベイホテル |
事件番号 |
中労委平成23年(不再)第13号 |
再審査申立人 |
ブリーズベイホテル株式会社(「会社」) |
再審査被申立人 |
連合熊本ユニオン(「組合」) |
命令年月日 |
平成24年5月9日 |
命令区分 |
一部変更 |
重要度 |
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事件概要 |
1 本件は、申立外株式会社Kホテル(以下「申立外会社」)の従業員が結成したKホテル労組と同労組が加入する組合が、申立外会社所有の土地及び建物(以下「本件土地建物」)を不動産競売手続により取得してホテル事業を営もうとした会社に対し、組合員の労働条件等を議題とする団交を申し入れたところ、会社がこれに応じなかったことは不当労働行為に当たるとして、組合が救済を申し立てた事案である。
2 初審熊本県労働委員会は、会社が団交に応じなかったことは労組法第7条第2号の不当労働行為であるとして、会社に対し、労働条件につき速やかに団交に応じることを命じ、その余の申立ては棄却する旨の初審命令書を交付したところ、会社は、これを不服として、再審査を申し立てた。
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命令主文 |
初審命令主文第1項及び第2項を取り消し、これに係る救済申立てを棄却する。
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判断の要旨 |
1 Kホテル労組の組合員は本件団交申入れの時点において申立外会社の従業員であったのであり、同時点において、同人らと会社との間に雇用関係は成立していなかったことが認められる。
もっとも、労組法第7条にいう「使用者」は、労働契約上の雇用主が基本的にこれに該当するものの、必ずしも同雇用主に限定されるものではない。雇用主以外の者であっても、当該労働者との間に、近い将来において雇用関係の成立する可能性が現実的かつ具体的に存する者もまた雇用主と同視できる者であり、労組法第7条の「使用者」と解すべきである。
2 会社は本件土地建物の落札時点において、申立外会社の従業員を一旦は期間契約社員として雇用した上で選別をしたい意向を明らかにし、本件団交申入れの前後ころにおいても、申立外会社の従業員らを優先して雇用する意向自体は依然として有し続けていたが、会社はKホテルの営業再開につき人件費を含むコストのスリム化による経営の改善を企図していたことから、落札時より、従業員ら全員を継続的に雇用する意図はなく、会社に雇用されることを希望する者のうち意欲と能力のある者のみを雇用する意向を有していた。
以上に対し、申立外会社の社長及び同社の従業員らは、会社が申立外会社と大きく異なる経営方針を有していると考え、申立外会社の従業員らを選別するという会社の意向についても強く反発し、従業員ら全員につき継続的な雇用が確保されない限り、会社の雇用の呼びかけには応じないという意向を当初から強く有していた。こうして、会社によるホテル事業に必要な従業員の雇用に関しては、申立外会社の従業員らの中から選別して雇用するという会社の意向と、全員雇用を強く主張する従業員らの意向との間に、当初から大きな齟齬が生じていたものといえる。
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掲載文献 |
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