概要情報
事件名 |
中国銀行 |
事件番号 |
岡委平成23年(不)第2号 |
申立人 |
岡山地域労働組合 |
被申立人 |
株式会社中国銀行 |
命令年月日 |
平成24年3月8日 |
命令区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
被申立人会社が組合員X2に対する降格辞令等に関して行われた団交の議事録の確認及び議事録への押印に応じなかったことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
岡山県労委は、申立てを棄却した。
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命令主文 |
本件申立てを棄却する。
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判断の要旨 |
1 議事録の確認、押印についての合意の有無
申立人組合は、議事録の確認、押印に被申立人会社は合意しており、会社にはその履行の義務があると主張し、会社は、組合が作成した議事録に押印することを承諾していないと主張する。
団交におけるやり取りの内容をみると、共通の議事録をどのようにして双方で確認し、誰が最終的な確認の印を押すかは何も話し合われていない。また、議事録の確認、押印に関するやり取りは、冒頭のあいさつに続いて行われたものと最後のあいさつの直前に行われたもので、いずれも組合側から提起され、会社側が「はい。」と答えているが、これらは、会社内に労働組合が存在せず労使交渉に不慣れな会社側出席者が、相手方の発言内容について確認も行わず、深い考えなしに儀礼的に返答したものと評価するのが相当であり、これらをもって今後の労使交渉を規律するルールについての合意が形成されたとは認められない。
2 文書化すべき合意の有無
組合は、本件団交において、就業規則を組合員X2が閲覧することについて労使が合意しており、就業規則の組合への提示とX2に対する懲罰理由の開示については会社が検討して回答することが合意されており、双方が合意をしている部分はあり、本件団交は会社が主張するような「未だ合意に至っていない段階」ではないと主張する。
しかし、X2の就業規則閲覧及び就業規則の組合への提示と懲罰理由のX2への開示に関しては、いずれも組合の要求事項について会社が現時点でできる回答を行い、組合がその回答内容を了解したものではあるが、使用者が団交での自らの回答を文書化する義務を負うものと解することはできないし、労働協約として書面化すべき合意事項が含まれているとも解されないので、組合の主張は採用できない。
3 結論
以上のとおり、組合と会社の間で、本件団交の議事録を共同して作成して確認の印を押すという合意ないし双方の議事録を確認し合うという合意があったとは認められず、団交の内容にも労働協約として労使が調印すべき事項は含まれていないので、会社が、組合が作成した本件団交の議事録の確認、押印に応じなかったことは、労組法7条2号の不当労働行為に該当しない。
また、会社には組合のほかに労働組合は存在せず、会社が他の労働組合への対応と異なった対応をして組合に対して差別的な扱いをしたといったような特段の事情も存在しないので、会社の対応が組合運営への支配介入であるとは認められない。
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掲載文献 |
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