概要情報
事件名 |
大阪府労委平成23年(不)第14号 |
事件番号 |
大阪府労委平成23年(不)第14号 |
申立人 |
X労働組合 |
被申立人 |
Y株式会社、Z株式会社 |
命令年月日 |
平成24年3月6日 |
命令区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
①被申立人会社Yが組合員の雇止めの撤回等に係る団交に2回は応じたものの、その後、申立人組合が団交を打ち切ったとして団交の開催を拒否したこと、②Y社の製品の販売先である被申立人会社Zが組合員との雇用関係はなく、交渉当事者ではないとして、組合との団交に一切応じなかったことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
大阪府労委は、Z社に対する申立てを却下し、Y社に対する申立てを棄却した。
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命令主文 |
1 被申立人Z株式会社に対する申立てを却下する。
2 被申立人Y株式会社に対する申立てを棄却する。
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判断の要旨 |
1 平成23年1月26日付け団交申入れに対する被申立人会社Yの対応について
Y社は、標記の団交申入れの団交事項については、それ以前の2回にわたる団交を経て労使双方の主張が対立し、進展の見込みがなくなっていた旨主張し、申立人組合は、①2回の団交で行き詰まりを主張することは許されない旨、②Y社が勤務評価の具体的な内容を説明していない旨、③交渉を1時間で打ち切ろうとしたのは不誠実団交である旨主張する。
認定した事実によれば、上記2回の団交において、Y社が組合員3名の勤務評価について説明を行わなかったことをもって、交渉の余地が残されていたとまでみることはできない。また、Y社が1時間経過したことを理由に議論の継続中に交渉を打ち切ったとは認められない。
結局、Y社と組合との議論は、たとえ組合が2回の団交におけるY社の説明に納得しなかったとしても、既に平行線となっており、これ以上団交を行っても、新たな進展を期待できない段階に至っていたとみるべきである。したがって、標記の団交申入れに対してY社が応じなかったことには正当な理由があるというべきである。
2 被申立人会社Zは組合員3名の労組法上の使用者に当たるかについて
Y社とZ社との間には、資本関係及び役員の派遣等の人的交流関係はなかったことが認められる。
組合は、Z社は発注契約の解約等を通じてY社の生殺与奪の権を掌握しているので、使用者性が肯定される旨主張するが、Z社がY社の販売先であることは認められるものの、その販売全体に占める割合にかかわらず、このような取引関係のみをもって、Z社がY社を支配しているということはできず、組合の主張は失当である。
また、組合は、Y社はZ社を模倣して組合員らを雇止めにしたのであるから、Z社に団交応諾義務がある旨主張するが、そのようなことが実際にあったかどうか不明である上、たとえY社がZ社を参考にして雇止めを行ったと認められたとしても、それはY社の行った判断であり、このことをもってZ社が使用者であるとする組合の主張は採用できない。
以上の他にZ社の使用者性を認めるに足る事実の疎明はなく、同社がY社の従業員の労働条件について雇用主と部分的とはいえ同視できる程度に現実的かつ具体的に決定することができる地位にあったと認めることはできないから、Z社は組合員3名の労組法上の使用者であるとはいえない。
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掲載文献 |
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