労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  大阪府労委平成22年(不)第64号 
事件番号  大阪府労委平成22年(不)第64号 
申立人  X労働組合 
被申立人  株式会社Y 
命令年月日  平成24年2月13日 
命令区分  却下 
重要度   
事件概要   申立外Z株式会社との間で「自主管理歩合制業務契約書」による契約を締結し、運送業務に従事していたCらが申立人組合に加入し、組合が同社に団交を申し入れたところ、同社は同人らに対し上記契約の破棄を通知し、その後まもなく解散した。本件は、このような状況の下で、Z社に強い影響力を及ぼしている被申立人会社がCらの労組法上の使用者に当たり、Z社の解散及び同人らが同社の運送業務に従事できなくなったことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 大阪府労委は、会社はCらの労組法上の使用者には当たらないとして、申立てを却下した。  
命令主文  本件申立てを却下する。  
判断の要旨  1 組合員Cらは、労組法上の労働者に当たるか。
 申立外Z社は、申立外P社の専属下請輸送会社である申立外Q社から注文を受けてP社所有のサービスステーションで運送業務を行っていた。Cらの業務遂行状況についてみると、①上記サービスステーションにおいて、P社の営業所長から翌日の業務内容を伝達されていたこと、②業務日以外の日でも指示があった場合は拒否せず業務を行っていたこと、③業務終了後にはZ社の運転日報を作成し提出していたこと、④使用するトラックは同人らの持込みによるものではないことなどが認められ、同人らが本件サービスステーションにおける運送業務の遂行に不可欠な労働力として事業組織に組み入れられ、一定の指揮命令を受け、時間的、場所的拘束を受けていたと認められる。
 また、Z社がCらに対する金銭の支払いを実質的には賃金として扱っていたと認められる。
 以上のことを総合的に勘案すると、CらはZ社との関係において労組法上の労働者であるというべきである。
2 Z社の解散及び同社によるCらの解雇について、被申立人会社は労組法上の使用者に当たるか。
 会社とZ社との関係についてみると、両者はいずれも、以前会社の代表取締役であったM及びその妻子が中心となって経営してきた会社であることが認められる。また、Z社の本店所在地の土地及びそこに建てられているビルの所有者は会社であり、そのビルには会社とZ社の看板が出されている。さらに、会社の事務員がZ社の事務を行うことがあったことなどが認められ、事務処理等において、会社とZ社が厳密に区別されずに運営されていたことをうかがわせる事実が存在する。しかし、両者の業務内容等についてみると、Cらが行っていたZ社の業務は会社の業務と区別され、それぞれ独立して運営されていたことは明らかである。また、会社が取引上の有利な立場から、Z社を支配していたとみることもできない。
 Cらの収入額の決定についてみると、同人らに対し運送業務収入額の30%を支払うこと等を定めた契約の一方の当事者はZ社であり、この契約の締結及び支払割合の決定について会社が関与したと認めるに足る疎明はない。
 Cらへの業務指示についても、前記のとおり、P社の営業所長から業務内容等が伝達されており、Mや会社の役員から指示を受けることはなかったことが認められ、会社が行っていたということはできない。
 申立人組合は、Z社の法人格は相当に形骸化、希薄化している旨主張するが、①前記のとおり、Cらとの契約はZ社として締結されていること、②Cらの源泉徴収票はZ社として作成されていること、③組合はZ社を当事者として確認書の締結を求めたことなどが認められるから、同社の法人格が否認されるような状況であったとみることはできない。
 以上のとおりであるから、会社がCらの雇用、労働条件等を現実的、具体的に支配、決定できる地位にあったということはできない。したがって、会社はCらの労組法上の使用者には当たらず、本件申立てはその余のことを判断するまでもなく、却下する。  
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委平成24年(不再)第11号 棄却 平成24年9月19日
 
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