労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  モービル石油(組合事務所等) 
事件番号  中労委平成13年(不再)第42号 
再審査申立人  スタンダード・ヴァキューム石油自主労働組合西日本合同分会連合会(以下「分会連」) 
再審査被申立人  エクソンモービル有限会社(以下「会社」) 
命令年月日  平成24年2月15日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要   会社が、①スタンダード・ヴァキューム石油自主労働組合(以下「本部」という。)西日本合同分会連合会モービル小倉分会(以下「分会」という。)が使用していた組合事務所(以下「分会事務所」という。)内の物品及び分会の設置した掲示板(掲示物を含む。以下「分会掲示板」という。)の撤去(以下「本件撤去」ともいう。)を行ったこと、②分会連が平成11年5月14日(以下、平成の元号は省略する。)に、また、分会が11年9月9日にそれぞれ申し入れた本件撤去問題に関する団体交渉に応じなかったことが、①につき支配介入の、②につき団体交渉拒否の不当労働行為に当たるとして、分会連及び分会が、12年2月14日に、救済を申し立てた事案である。
 初審福岡県労委は、13年8月24日付けで、分会の申立てについては、分会は団体とはいえず申立人適格を欠くとして却下し、また、分会連の申立てについては、不当労働行為に該当しないとして棄却したところ、分会連及び分会は、13年9月5日、再審査を申し立てた。
 なお、分会は、本件再審査係属中の23年5月24日、分会に係る再審査申立てを取り下げた。  
命令主文   本件再審査申立てを棄却する。  
判断の要旨  1 会社が本件撤去を行ったことは、支配介入に当たるか。

ア 組合の分会が会社に無断で分会事務所を15年以上、分会掲示板を4年以上使用していたことに対し、会社が異議を述べていないこと等にかんがみれば、会社は、分会による使用を黙認していたものと認められる。
イ 会社は、分会に従業員たる分会員が存在しなくなったこと及び安全管理上の問題を挙げて分会事務所の明渡し等を求めた。分会としては、分会事務所等の使用開始の経緯にかんがみれば、従業員たる分会員が現に就労している限り、会社が分会事務所等の使用を黙認するであろうことは容易に理解できたところである。しかるところ、油槽所が石油製品類の危険物を扱っていることにかんがみれば、従業員たる分会員が存在しなくなった以上、管理上及び安全上分会事務所等を放置することは許されないとの会社の考えは合理的であり、かつ、分会事務所の明渡し等を求める必要性も認められる。
 そして、8回にわたる本部団体交渉において、本件撤去問題に関する交渉が行われたものの、双方の主張が平行線のまま、決裂の事態に立ち至った。さらに会社は、分会が自主的に撤去しない場合には会社において撤去する旨を2回にわたって書面で通知し、最終となった本部団体交渉においては、更に自主的に撤去するよう要請を行った。会社が実際に本件撤去を行ったのは、撤去を通知した日から3か月以上経過してからであり、本件撤去に当たり会社は一定の手続を行っていたものといえる。
 そうすると、会社が分会事務所の明渡し等を求め、本件撤去を行ったことは、支配介入の不当労働行為に該当するということはできない。

2 分会連及び分会の申し入れた本件撤去問題に関する団体交渉に会社が応じなかったことは、団体交渉の拒否に当たるか。

 本件撤去問題については、本部は、当初分会連又は分会との団体交渉を求めていたが、本部団体交渉において本部解決案を提示するなど会社との団体交渉を実際に行っており、会社は、本件撤去の必要性を本部に説明し協力と理解を得ようと努力したが、決裂に至ったものである。他方、下部組織である分会連又は分会がそれぞれ申し入れた団体交渉について、会社は、本部団体交渉事項である旨を述べて実質的な協議を行わなかったものの、本部との間で団体交渉が行われ、それに分会連の役員である分会員が本部役員として出席し、その内容及び経過について了知していた。これを加味すれば、会社が分会連の申入れに係る本件撤去問題に関する団体交渉に実質的に応じなかったからといって、正当な理由のない団体交渉拒否の不当労働行為に当たるということはできない。また、いったん上部組織である本部との間の団体交渉で決裂に至った事項について、何ら事情の変動がうかがわれない状況下においては、分会が申し入れた同問題に関する団体交渉に会社が応じなかったからといって、正当な理由のない団体交渉拒否の不当労働行為に当たるということはできない。  
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
福岡県労委平成12年(不)第2号 棄却 平成13年8月24日
 
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