概要情報
事件名 |
西日本電信電話 |
事件番号 |
中労委平成22年(不再)第55号 |
再審査申立人 |
大阪電気通信産業合同労働組合(以下「組合」) |
再審査被申立人 |
西日本電信電話株式会社(以下「会社」) |
命令年月日 |
平成24年2月15日 |
命令区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、(1) 19年度年末特別手当に係るX1及びX2に対する業績評価において、D評価としたこと(以下「本件D評価」)、(2) X2及び執行委員長X3に対し同年度年末特別手当の支給が20年3月3日供託により行われたこと、(3) 20年1月22日、同年2月18日、同月28日開催の団交において、① 本件D評価について説明がなかったこと、② X2及び執行委員長X3に対し、19年度年末特別手当の支給が遅れていることにつき説明がなかったことが労組法第7条第1号ないし第3号の不当労働行為に当たるとして、20年12月9日、組合が救済を申し立てた事件である。
初審大阪府労働委員会は、いずれも不当労働行為に当たらないとして申立てを棄却したところ、組合は、再審査を申し立てた。
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命令主文 |
本件再審査申立てを棄却する。
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判断の要旨 |
1 本件D評価が、労組法第7条第1号、第3号に該当するか
19年度年末特別手当に係る業績評価において、D評価となった者の割合は、組合員が11.8%(18名中2名)、その他の従業員が6.8%(395名中27名)であるが、組合員の人数が少ないことから、上記の割合の間に有意な差があるということはできない。また、X1及びX2の光ファイバー回線等の販売実績等にかんがみれば、本件D評価としたことは合理的である。この点、組合らは、本件D評価は、13年5月16日開催の団交における確認事項及び19年11月29日に大阪高等裁判所において成立した和解の内容(組合員についてD評価をつけない旨)に反している旨主張するが、上記団交や和解においてそのような約束があったとは認められない。また、会社が組合員について本件D評価としたことが、組合を嫌悪していたためであると認めるに足りる的確な証拠はない。
以上によれば、本件D評価は、労組法第7条第1号、第3号の不当労働行為に当たるとはいえない。
2 X2及び執行委員長X3に対し、19年度年末特別手当の支給が20年3月3日に供託により行われたことが、労組法第7条第1号、第3号に該当するか
組合らは、会社が19年度年末特別手当を直ちに法務局に供託せず約3か月後に行ったことが不利益取扱い等に該当すると主張するが、会社は、職場や団交の場においてX2及び執行委員長X3に対し同年度年末特別手当の受領を促していたこと、組合が団交において謝罪文や年6%の利息の支払を求めたため会社が組合の要求につき検討する必要が生じたことなどの経緯に照らせば、会社が、X2及び執行委員長X3に対し、同年度年末特別手当の支給を20年3月3日に供託により行ったことは、労組法第7条第1号、第3号の不当労働行為に当たるとはいえない。
3 20年1月22日、同年2月18日、同月28日開催の団交における会社の対応が、労組法第7条第2号、第3号に該当するか
ア 会社から本件D評価について説明がなかったことについて
①フィードバック面談は、決定した評価結果を踏まえて、改めて業績や行動の事実を確認するとともに、上司と従業員が一緒になってさらなる改善策を考えていくために行うものであり、人事制度としての必要性及び合理性があること、②従業員のうち大半の従業員がフィードバック面談を受けていたこと等の事情にかんがみれば、会社が、直属上長とのフィードバック面談を行いたい旨提案し続けた対応をもって、不合理とまではいえない。
他方、組合員がフィードバック面談を受けることを拒否したり、フィードバック面談を受けるとしても他の組合員の立会いや組合員による録音を求めるという組合の対応は、フィードバック面談の性質上会社が組合の要求を受け入れがたい事情があることからすれば、いささか頑なであったといわざるを得ない。
以上のような組合と会社間の対応からすれば、本件D評価を議題とする団交は、双方の主張がもはや平行線となり膠着状態にあったものといえるので、本件各団交における会社の対応が、労組法第7条第2号、第3号の不当労働行為に当たるとはいえない。
イ 会社からX2及び執行委員長X3に対し、19年度年末特別手当の支給が遅れていることにつき説明がなかったことについて
会社は、X2及び執行委員長X3の19年度年末特別手当の支給に係るこれまでの経緯について説明していること、事実経過に関する客観的な資料を提示していないものの、口頭で一定の説明を行っていること、会社が同年度年末特別手当の支給が遅延の理由を明らかにせず、一方的に供託する旨通知したとまでは認められないことからすれば、20年2月18日、同月28日開催の団交における会社の対応は、労組法第7条第2号、第3号の不当労働行為に当たるとはいえない。
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掲載文献 |
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