概要情報
事件名 |
大阪府労委平成20年(不)第84号 |
事件番号 |
大阪府労委平成20年(不)第84号
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申立人 |
X労働組合、組合員X2、同X3 |
被申立人 |
Y株式会社 |
命令年月日 |
平成22年 9月14日 |
命令区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
被申立人会社が、①申立人組合の組合員X2及びX3に対し、年末特別手当に係る評価を合理的理由もなく低く査定し、その支給額を減額したこと、②このことを理由として当該年末特別手当の受取りを拒否した組合の執行委員長及びX3の2名に対する当該手当の支給を支給日から約3か月後大阪法務局への供託によって行ったこと、③団体交渉において組合が要求する、当該評価が公平で合理的なものと判断できる資料の提示を拒否し、具体的な評価内容も明らかにしないなど誠実に対応しなかったことは不当労働行為であるとして救済申立てがあった事件である。
大阪府労委は、申立てをすべて棄却した。 |
命令主文 |
本件申立てをいずれも棄却する。 |
判断の要旨 |
1 年末特別手当に係る組合員2名に対する業績評価の結果は、組合員であるが故の不利益取扱いであるとともに、組合への支配介入に当たるといえるか。
年末特別手当に反映される業績評価は、量的側面、質的側面及び価値創造の側面の3項目を総合して決定することになっている。組合員2名について、いずれも3項目中2項目がD評価であったため、業績評価をD評価(5段階中、最下位)とした被申立人会社の評価は不合理であるとまではいえず、したがって、組合員であるが故の不利益取扱いとはいえず、また、組合に対する支配介入に該当するともいえない。
2 組合の執行委員長及び組合員X3に対する年末特別手当の支給が大阪法務局への供託によって行われたことは、組合員であるが故の不利益取扱いであるとともに、組合への支配介入に当たるといえるか。
会社は、年末特別手当の支給日から大阪法務局に供託した日までの間に行われた3回の団体交渉において、当該手当の受領を求めるとともに、D評価に関する説明は上司から行う旨を述べるなど、当該手当の任意の受領を促すために一定の努力をしていた。また、団体交渉が行われるまでの間、執行委員長の緊急入院やD評価の理由を説明すべきX3の上長の死亡などの事情があった。これらを考慮すると、供託するまでに3か月程度が経過していることにはやむを得ない事情があったといえ、組合員であるが故の不利益取扱いであるとはいえず、また、組合に対する支配介入に該当するともいえない。
3 年末特別手当の支給日以後に行われた3回の団体交渉における会社の対応は、不誠実団交に当たるとともに、組合への支配介入に当たるといえるか。
組合は、団体交渉において組合員2名のD評価について説明を求めたところ、具体的な説明がなされなかったことが不誠実であると主張するが、会社は各個人の業績評価の理由について具体的に説明してはいないものの、従業員には直接上長との面談により説明を受ける機会があり、組合員には各職場で評価の理由を聞いてもらいたい旨説明していることなどから、会社の対応が不誠実であるとまではいえない。また、組合は会社が団体交渉において説明をしないことは組合の存在をことさら無視し、組合は不要との念を組合員に与えようとするものであり、組合への支配介入であると主張するが、上記のとおり、会社が説明要求に直ちに応じなかったからといって、その対応が不誠実であるとまではいえないことから、組合への支配介入であるともいえない。 |
掲載文献 |
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