労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  フジ企画 
事件番号  中労委平成21年(不再)第20号 
再審査申立人  株式会社フジ企画(「会社」) 
再審査被申立人  破産者株式会社フジ企画破産管財人 
再審査被申立人  大阪電気通信産業合同労働組合(「組合」) 
命令年月日  平成24年1月11日 
命令区分  一部変更 
重要度   
事件概要    会社が、①組合員らの労働条件及び賃金等を議題として、組合が平成19年8月3日付け及び同月31日付けで申し入れた団体交渉に応じなかったこと、②本件団体交渉申入れと同時に組合員らの組合加入通知を受けた後、組合員らに対し、バス会社の業務を割り振らなくなったことは不当労働行為に当たるとして、組合が救済を申し立てた事案である。
  初審大阪府労委員は、会社の行為はいずれも不当労働行為に該当するとして、会社に対し、①組合員らに対し組合加入通知を受ける前と同等にバス会社の業務を割り振ること、②組合員らが組合加入通知を受ける前と同等にバス会社の業務を割り振られていれば得られたであろう賃金相当額の支払、③団交応諾、及び④文書手交を命じた。会社は、再審査を申し立てた。  
命令主文  1 初審命令主文を変更し、破産管財人に対し、①組合員らが組合加入通知を受ける前と同等にバス会社の業務を割り振られていれば得られたであろう賃金相当額(但し、21年8月まで間に限る)の支払及び②団交応諾を命じ、会社に対し、③文書手交を会社に命じる。
2 その余の再審査申立てを棄却する。  
判断の要旨  1 争点(1) (会社は労組法上の使用者に当たるか。)
 会社と組合員らを含むバスガイドらとの間には、①バスガイドらは、会社が決定した労働条件の下で就労することが前提とされており、バス会社との間で個別的に賃金、労働時間等の基本的な労働条件について交渉及び合意をすることは事実上予定されていなかったこと、②会社は、バスガイドらとの間に継続的関係が存在することを前提として、業務の割振りを決定していたこと、③賃金支払に際して、会社が給与明細表及び控除票を自ら作成し、また、事務費等の名目で一方的かつ合理性の認められない控除を行っており、バスガイドらの賃金は会社が決定していたとみるのが相当であること、等の実態が認められる。組合員らの賃金等の労働条件の決定、賃金支払方法等について、上記のような実態が認められる本件の事実関係の下においては、会社は、組合員らとバス会社との間における雇用関係の成立をあっせんするという職業紹介の範囲を超えて、本件の組合員らに対するバスガイド業務等の割り振りや賃金等の重要かつ基本的な労働条件等を決定する立場にあるのであって、会社と組合員らとの間には、労組法の適用を受けるべき雇用関係が成立していたものといえ、会社は、組合員らとの関係において、労組法上の使用者に該当する。
2 争点(2)(本件団体交渉拒否は、労組法第7条第2号の不当労働行為に当たるか。)
 会社が労組法上の使用者に当たることは上記1で判断したとおりであり、本件団体交渉拒否の正当な理由は認められないから、本件団体交渉拒否は労組法第7条第2号の不当労働行為に当たるとする初審判断は相当である。
3 争点(3)(組合員らに対して業務を割り振らない会社の対応は、労組法第7条第1号又は同条第3号の不当労働行為に当たるか。)
ア 上記1で判断したとおり、会社は、バスガイドらの業務の割り振りを決定しているといえる。そして、組合員らの業務実績は、組合加入後の時期において著しく減少していたと認められ、本件において組合員らに顕著な不利益が存在したといえる。

イ このことに、①組合が、組合加入通知と同時に、団体交渉を申し入れていたこと、②組合員らが就労の意思を伝えたところ、対応した会社顧問が、労働組合を作った者はバス会社が使いたがらないという趣旨の発言をしたこと、③組合員らは19年9月以降、1回もバスガイド・ジュニアの業務に就いていないのに対して、乗務回数の増えた非組合員がいることも併せると、19年9月以降、組合員らがバスガイド・ジュニアの業務に就かなかったことは、会社が、組合員らが組合に加入したこと又はその組合活動を嫌悪し、組合員らにバスガイド・ジュニアの業務を割り振らなかった故とみるのが相当である。

ウ しかしながら、21年9月において、組合が会社に対し、「組合員らは、組合と会社との間の団体交渉で雇用契約の内容、労働条件等を協議し、同意決定した後に就労する意思がある」と通知していることが認められることからすると、同月以降においては、仮に会社が組合員らに対し、仕事の割り振りを打診したとしても、組合員らは、組合の方針に基づいて就労を拒否したであろうと考えられるから、会社が組合員らに就労の意思を確認していることを考慮すれば、同月以降において、組合員らに対して業務を割り振らなかった会社の対応は、組合員らの組合加入等を理由とする不利益取扱いとはいえず、組合の弱体化を意図した支配介入ということもできない。
4 救済方法
 本件再審査結審後の23年11月2日、大阪地方裁判所は、会社について破産手続開始の決定を行い、破産管財人が選任されている事情を考慮し、主文第1項及び第2項については破産管財人に命ずることとし、第3項は会社に命ずることとする。また、諸般の事情を考慮し、初審命令主文第1項の措置(今後の業務の割り振り)は命じないこととする。  
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
大阪府労委平成19年(不)第65号 全部救済 平成21年5月22日
 
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