労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  大阪府労委平成22年(不)第25号 
事件番号  大阪府労委平成22年(不)第25号 
申立人  X労働組合 
被申立人  Y市 
命令年月日  平成23年9月9日 
命令区分  却下 
重要度   
事件概要   被申立人市が①申立外会社から同市の小中学校に外国語指導助手(ALT)として派遣されて勤務していた組合員X2に係る社会保険加入及び直接雇用等を議題とする団体交渉に、同人との間には雇用関係がないとして応じなかったこと、②都道府県労働局から労働者派遣法違反に係る是正指導としてX2を直接雇用するよう推奨されたにもかかわらず、申立人組合からの同人の直接雇用の要求を拒否したことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 大阪府労委は、申立てを却下した。  
命令主文  本件申立てを却下する。  
判断の要旨  1 被申立人市におけるALT業務委託契約及びALTの勤務の実態について
 市におけるALTの授業においては、日本人の担当教員とALTとが日常的に協力して業務を遂行し、かつ担当教員が生徒を指導していた事情が認められ、また、ALT研修会は市が主体となって行っていたとみられる。しかし、市は、ALTの採用に関与しておらず、ALTの勤務及び業務内容の管理を主体的に行っておらず、また、授業の準備及び進行並びにALTの学校行事への参加について、業務委託の範囲を超えて指揮命令を行ってはいなかった。したがって、市がALT業務委託契約及びALTの勤務の実態において、ALTに対し、ALT業務委託契約の範囲を超え、その趣旨を逸脱して、労組法上の使用者であると認め得るほどの指揮命令を行っていたとまでいうことはできない。
2 近い将来における雇用関係成立の可能性について
 平成22年3月2日、都道府県労働局の担当者が市教育委員会の指導主事らに対し、X2組合員を直接雇用するよう口頭で推奨したことが認められるが、市が5月7日、労働局に提出した改善報告書には法違反の是正内容と併せて、直接雇用は困難である旨が記載されている。労働局がこの改善報告書を受理したことで是正指導は終了したものとみることができ、上記の口頭による直接雇用の推奨は、法違反の状態の解決策の1つとして提示したにすぎず、X2の直接雇用の実現そのものを求める趣旨のものではなかったとみることができる。
 そのほか、市とX2との間に近い将来において雇用関係が成立する可能性があったことを示すと認めるに足る事実の疎明はない。
 これらのことに、市が申立外会社(ALT業務受託会社)によるALTの採用に直接関与していたとはみられないことを併せ考えると、市とX2との間に雇用関係の成立する可能性が現実的かつ具体的に存在していたということはできないから、この点で、市を同人の労組法上の使用者と認めることはできない。
3 結論
 ①市におけるALT及びX2の勤務の実態、②X2と市との間の近い将来における雇用関係成立の可能性のいずれにおいても、市はX2の労組法上の使用者であるということはできないから、その余について判断するまでもなく、組合の申立ては却下する。  
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委平成23年(不再)第65号 棄却 平成25年1月25日
 
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