労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  エッソ石油(労働条件改善要求等) 
事件番号  中労委平成13年(不再)第50号 
再審査申立人  スタンダード・ヴァキューム石油自主労働組合(「組合」) 
再審査被申立人  エクソンモービル有限会社(「会社」) 
命令年月日  平成23年6月15日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要   会社が、(1) 組合が行った労働条件の改善に関する要求(「本件労働条件改善要求」)に対し、ゼネラル石油株式会社(「ゼネラル石油」)との共同組織化に伴う労働条件の整合化の検討が済むまで回答を待って欲しいと述べたこと、(2) 就業規則の条文を引用して停年退職などについての改訂を提案(「7.1提案」)したこと、(3) 組合が過去に合意したとする労働条件をまとめた労働協約の締結要求(「本件協定書締結要求」)を拒否したことが不当労働行為に当たるとして、救済申立てのあった事件である。
 大阪府労委は、いずれも不当労働行為に該当しないとして棄却したところ、組合は、再審査を申し立てた。
命令主文  本件再審査申立てを棄却する。 
判断の要旨  1 組合の本件労働条件改善要求に対する会社の対応が不当労働行為に当たるか
 ア 会社は、例年会社と組合の間で行われてきた交渉方法通り、本件労働条件改善要求についても、春闘交渉の団交において各要求項目ごとに理由を示して口頭回答を行っているから、会社が本件労働条件改善要求について回答を行っていないとは認められない。

 イ 会社はこの時期ゼネラル石油との共同組織化とそれに伴う労働条件の整合化が喫緊の課題として挙がっており、未だ従業員の労働条件については確定できていなかったといえるから、会社が組合の本件労働条件改善要求についてはゼネラル石油との労働条件の整合化との関連で協議したいなどと述べたことには合理的な理由があった。

 ウ 会社は、組合との間に労働条件を成文化した労働協約が存在していないので、便宜的に就業規則の改訂案を示す形式を使って、停年退職などに関する労働条件の改訂を提案したので、不当労働行為の意思をもって7.1提案をしたと認められない。

 エ 以上の通りであるので、本件労働条件改善要求に関する会社の一連の対応を不当労働行為と認めることはできない。

2 組合の本件協定書締結要求に対する会社の対応が不当労働行為に当たるか

 ア 会社の対応は団交拒否の不当労働行為に当たるか
 (ア) 組合は本件協定書締結要求では債務条項を除いた権利条項のみを選別して協約化を求めていたこと、更には従前の団交における組合提案における経緯や遣り取りと本件協定書締結要求時の「組合は昭和57年の組合結成以降労使合意した労働条件をベースに包括的労働協約の締結をしていこうと考えている」旨の発言などを併せ考えると、組合は、本件協定書締結要求でもって、組合の主張に沿った有利な、債務条項を排除した包括的な労働協約の締結を求める考えであることが優に推認できる。
 (イ) 仮に組合が過去の合意に達した自己に有利な一部の労働条件のみの協約化を求めているとしても、一方当事者である会社に一部の労働条件の合意についてのみ労働協約を締結するとの合理的な意思が認められない限り、会社と組合間に協約化の意思の合致があったと認めることはできない。しかるに、本件協定書締結要求に関しては、会社に毎年の賃上げや一時金のように個別協定を締結する必要性がうかがわれないので、上記意思の存在は到底認められない。
 (ウ) 会社は、債務条項を含めた包括労働協約の締結を終始一貫して求め、他方組合も労使で合意したとする労働条件の協約化を一貫して求めているが、その意図は、前記説示のとおり、組合の主張に沿った有利な債務条項を排除した包括的な労働協約の締結を求めているのであるから、会社と組合間に労働協約締結の意思の合致を認めることはできない。
 (エ) さらに、会社は、債務条項を含めた包括労働協約の締結を求める姿勢を堅持してたが、一定の譲歩の姿勢を示し、また、組合からの合意した労働条件について労働協約を締結しない理由についての質問にも十分回答し、会社主張の債務条項の内容についても組合の求めに応じて十分説明している。しかし、双方の主張が平行線をたどり、もはや団交を重ねても進展する見込みがなく、膠着状態になったというべきである。しかも、会社が事業場の統一的労働条件の形成のために他組合との合意と同様のルールでもって団交を行いたいと考えるのはある意味自然の成り行きでもあり、合理的な理由がある上、会社の団交態度に非難されるべきいわれは見出し難い。
 (オ) 以上のことから、組合の本件協定書締結要求に応じないという会社の対応をもって正当な理由のない団交拒否とは到底認められない。

 イ 会社の対応は支配介入の不当労働行為に当たるか
 労使の主張が対立し平行線となり膠着状態となっていた中でも、会社としては一定の譲歩の姿勢を示していることに照らせば、他に会社が組合の弱体化を図るために団交を操作して上記結果を招来したとする特段の事情がない限り、組合の弱体化を図った支配介入の不当労働行為を認めることはできないというべきである。 
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
大阪府労委平成10年(不)第53号 棄却 平成13年10月11日
 
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