労働委員会命令データベース

(この事件の全文情報は、このページの最後でご覧いただけます。)

[命令一覧に戻る] [顛末情報]
概要情報
事件名  テルウェル西日本 
事件番号  中労委平成21年(不再)第34号 
再審査申立人  大阪電気通信産業合同労働組合(「組合」) 
再審査申立人  X(組合員) 
再審査被申立人  テルウェル西日本株式会社(「会社」) 
命令年月日  平成23年5月18日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要   会社が、職場の管理・監督業務を行っている準社員(契約社員)であるマネージャー等が、1 (1)20年3月分の賃金明細書及び勤務割表を社内で唯一の組合員であったXに遅れて交付したこと、(2)同年4月23日の職場ミーティング(以下「ミーティング」)にXを出席させず、ミーティングで配付された周知文書(以下「周知文書」)をXに配付しなかったこと((1)、(2)の行為を「賃金明細書等の遅延交付等」)、2 組合休暇に関する労使協定の締結を議題とする団交に誠実に応じず、また、同労使協定を別組合とは締結し、組合との締結を拒否したこと、3 組合に提案することなく、(1)Xの年次有給休暇(以下「年休」)の申請先を変更し、(2)Xに対して賃金明細書受領時に受領印を求め、このことを議題とする団交に誠実に応じなかったことが不当労働行為であるとして、救済申立てのあった事件である。
 大阪府労委は、いずれも不当労働行為には当たらないとして、組合らの救済申立てを棄却したところ、組合らは再審査を申し立てた。 
命令主文  本件再審査申立てを棄却する。 
判断の要旨  1 賃金明細書等の遅延交付等について

 ア (ア) 会社がXに対して3月分の賃金明細書を遅れて交付したことは、賃金明細書が各人の出勤日、出勤時間に応じて随時交付されていたこと、会社は組合の抗議後Xが最初に出勤した日に直ちに交付していたこと、3月分以外の賃金明細書は遅れず交付されていたことからすれば、マネージャーの失念により遅れて交付されたものと認められる。
  (イ) 会社がXに対して3月分の勤務割表をミーティング時に交付せず2日遅れて交付したことは、会社が別の月の勤務割表についてXに遅れて交付したことがうかがわれないこと、ミーティング後Xが最初に出勤した日に直ちに交付されていることなどからすれば、マネージャーの失念により遅れて交付されたと認められる。
  (ウ) 以上に加え、会社がXの組合活動を嫌悪したものとは認められないことから、Xに対する賃金明細書や勤務割表の交付が遅れたことをもって、同組合員に対する不利益取扱い及び組合に対する支配介入に該当するとはいえない。

 イ Xをミーティングに出席させず、周知文書を配付しなかったことについては、Xと同様の業務を行っていた他の担当者が同日のミーティングに出席していたとは認められず、周知文書の配付を受けていなかったのはXだけではなかったこと、会社がXら担当者をミーティングに出席させず、周知文書を配付しないと判断したことには業務上の合理性が首肯できること、加えて、会社がXの組合活動を嫌悪したものとは認められないことからすれば、Xに対する不利益取扱い及び組合に対する支配介入に該当するとはいえない。

2 組合休暇の労使協定の締結要求及び年休申請先の変更等を議題とする団交について

 ア 組合休暇の労使協定の締結要求を議題とする団交において、会社は、別組合との労使協定で正社員には組合休暇を認めているが準社員(契約社員及びパート社員)には認めておらず、パート社員のみを組織する他組合とは組合休暇の労使協定は締結していない現状を説明し、また、準社員(契約社員及びパート社員)の組合休暇の制度を設ける考えはない旨繰り返し回答していた。一方、組合は、組合休暇に関する労使協定の締結を要求し続けていたことからすれば、両者の主張は平行線となり膠着状態になっていたと認められるから、会社の対応は誠実交渉義務違反に該当するとはいえない。

 イ 年休申請先の変更等を議題とする団交において、会社は、賃金明細書の受領印の押印については会社の責任として交付漏れをなくすために行った旨を、年休申請先の変更については会社の責任規定等の改正を行った旨などを組合に説明していることから、会社の対応は誠実交渉義務違反に該当するとはいえない。

3 組合休暇の労使協定の締結拒否及び年休申請先の変更等について

 ア 組合休暇の労使協定の締結要求については、会社が団交で、正社員と契約社員(準社員)を組織する別組合との労使協定で正社員には組合休暇を認めているが準社員(契約社員及びパート社員)には認めていないことや、準社員(契約社員及びパート社員)について組合休暇の制度を設ける考えはないことを繰り返し回答していたこと、また、パート社員のみを組織する他組合との間でも組合休暇の労使協定を締結していなかったことからすれば、パート社員のXだけを組織する組合と組合休暇に関する協約を締結しなかったとしても、組合間差別とはいえず、支配介入に該当するとはいえない。

 イ (ア) 会社が年休の申請先を変更したことは、職場に管理職が不在となるという業務上の必要性を考慮し、全てのパートタイマーに対して等しく行われたもので、取扱いの変更自体には合理的理由があり、また、そのことよりXの年休申請が不承認となって年休取得が困難になったとか、組合活動に支障が生じ組合活動が阻害されたとの事情も認められないから、Xに対する不利益取扱い及び組合に対する支配介入に該当するとはいえない。
  (イ) 賃金明細受領時に受領印を求めたことは、Xへの賃金明細書の交付が遅延したことの反省から、再発防止策としてすべてのパートタイマーを対象に受領印を求めたもので、会社の対応には合理的理由があったこと、会社は団交で受領印を求める理由や本人が押印を拒否するのであればそれ以上のことはできない旨説明し、実際に組合の反対により翌月以降Xには押印を求めておらず、Xの組合活動に支障が生じたとの事情も認められないことから、Xに対する不利益取扱い及び組合に対する支配介入に該当するとはいえない。 
掲載文献   

[先頭に戻る]

顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
大阪府労委平成20年(不)第12・25号 棄却 平成21年9月4日
 
[全文情報] この事件の全文情報は約283KByteあります。 また、PDF形式になっていますので、ご覧になるにはAdobe Reader(無料)のダウンロードが必要です。