労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  エムズワーカース 
事件番号  中労委平成22年(不再)第44号 
再審査申立人  エムズワーカース株式会社(「会社」) 
再審査被申立人  全日本金属情報機器労働組合東京地方本部大田地域支部(「支部」) 
再審査被申立人  同支部エムズワーカース分会(「分会」) 
命令年月日  平成23年5月11日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要    会社に全日本金属情報機器労働組合(「組合」)の支部の下部組織として分会が結成され、会社と支部及び分会の間で2回の団交が行われた。その後、会社は、(1) 分会のX分会長の病気による退院後の就労を拒否するとともに、(2) 組合掲示板の設置や未払残業代の支払い、X分会長に対する就労拒否等に関する21年1月22日付け団交の申入れに応じなかった。またその後も、(3) 申立外エコスタッフ株式会社(「エコスタッフ」)からの業務委託契約(注)の終了に伴う全従業員の解雇問題等に関する同年2月27日付け団交の申入れに応じなかった。
  本件は、(1) から(3) が不当労働行為に当たるとして、救済申立てのあった事件である。
  東京都労委は、(2) 及び(3) につき会社が団交に応じなかったことは労組法第7条第2号及び第3号、(1) につきX分会長に対する就労拒否は同法第7条第1号及び第3号の不当労働行為に当たるとして、 (i) 誠実団交応諾、 (ii) X分会長の就労拒否による未払賃金相当額の支払い、 (iii) 文書交付、 (iv) 履行報告を命じたところ、会社は再審査を申し立てた。

 (注) 会社は、エコスタッフから受託する産業廃棄物の選別作業を、申立外財団法人東京都環境整備公社(「公社」)が運営する城南島エコプラントにおいて行っていた。同選別作業は、エコスタッフが公社から受託したもので、会社に再委託されていたものである。 
命令主文  本件再審査申立てを棄却する。 
判断の要旨  1 会社が、本件団交申し入れに応じなかったことは、正当な理由のない団交拒否に当たるか。

 ア 支部は、20年12月24日付け「要請書」において、支部と分会の関係、両団体の目的・資産・構成等についての釈明に対し、回答している。また、同要請書の文面は、会社従業員が支部を通じて組合に加入し、支部の下部組織として分会を結成したことを容易に読み取れるものであることなどから、会社は支部が申し入れた団交に応じるべき立場にあることは明らかである。

 イ 支部及び分会の要請やビラ配布等の行為は、組合員らの認識及び生活の窮状を訴えて支持を呼びかけるもので、手段、内容も、組合活動として相当性を逸脱するものとはいえない。
 特に公社及び東京都環境局への要請も、要請先として不適切とまでいえず、また、その態様も面会の強要や強談威迫とまでいえるものではない。確かにホームページに掲載のビラには、根拠不明な指摘が含まれるが、同ビラは全体として支部及び分会の見方や主張を展開したもので、社会的に不相当な内容とまではいえない。

 ウ 支部は、会社従業員である分会員を構成員に含む労働組合として、会社との間で、分会員の労働条件等について、団交に基づき労働協約を有効に締結でき、20年10月20日付け「合意書」も、その経過から労働協約として有効に締結されたものである。
 また、従業員の全員解雇は、同合意書が事前協議の対象とする「身分の重要な問題」に当たるから、エコスタッフと公社との受託交渉に会社が関与できるかはともかく、同交渉の結果生じたとする同解雇について、会社は同合意書に基づき事前協議を行う義務がある。

 エ よって、本件団交申入れに応じなかった会社の対応は、正当な理由がなく、労組法第7条第2号及び第3号の不当労働行為に当たる。

2 X分会長に対する就労拒否は、不利益取扱い及び支配介入に当たるか。
 会社は、X分会長の組合活動の故をもって、同人の復職に当たり会社指定医の受診同意書の不提出を口実に就労を認めず、賃金の不払いという不利益を課し、また組合活動の減殺を図ったものである。
 会社は、X分会長の受診承諾が必要となることを産業保健センターに説明して、同事情を留保しつつ医師を紹介してもらうなどの配慮や努力を行っておらず、また、主治医の診断の客観的信用性についての疑問をX分会長に説明して、会社指定医の受診の協力を求めてもいない。
 会社は、X分会長の会社指定医の受診承諾が先行するのは当然で、会社指定医を特定して受診を求めなかったことは不自然ではないと主張するが、採用できない。
 よって、X分会長に対する就労拒否は、労組法第7条第1号及び第3号の不当労働行為に当たる。 
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
東京都労委平成21年(不)第9号 全部救済 平成22年7月6日
 
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