概要情報
事件名 |
郵便事業(加古川支店) |
事件番号 |
中労委平成21年(不再)第54号 |
再審査申立人 |
X1(個人) |
再審査被申立人 |
郵便事業株式会社(「会社」) |
命令年月日 |
平成23年5月11日 |
命令区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、会社の次の行為が分会を弱体化するための一連の行為であり、不当労働行為に当たるとして、X1(本件発生当時の分会長)が救済申立てをした事件である。
1 平成19年1月ないし平成20年2月ころまでの間に、分会機関紙を分会掲示板から撤去するよう求め、分会がこれを受け入れなかったため自力撤去し、また、支店を攻撃するような内容の機関紙を掲示するのであれば、分会掲示板や組合事務所の利用承認を取り消す旨の通告を行ったこと(労組法7条3号)。
2 X1に対し、平成19年12月24日の言動を理由として注意処分に付したこと(労組法7条1号、3号)。
3 分会所属の組合員X2(「X2」)に対し、平成19年12月31日の超過勤務拒否を理由に訓戒処分を行ったこと(労組法7条3号)。
4 分会所属の組合員X3(「X3」)に対し、支店長に対する平成20年1月15日の行為を理由に戒告処分を行ったこと(労組法7条3号)。
兵庫県労委は、前記1について、労組法7条3号に当たるとして、掲示承認の条件に違反していない機関紙の撤去等を申し入れることの禁止及び自ら撤去することの禁止並びに機関紙の内容に関して分会の自主的決定に干渉することの禁止を命じ、前記2ないし4については、救済申立てを棄却したところ、X1は、これを不服として、再審査を申し立てた。 |
命令主文 |
本件再審査申立てを棄却する。 |
判断の要旨 |
1 X1に対する注意処分が労組法7条1号及び3号の不当労働行為に該当するか
X1は、特段の理由なく携帯端末機を正常装着せず、支店長に繰り返し指示されても従わないばかりか、大声で不穏当な発言を行った。
X1に対する注意処分は、同人の上記のような行為を理由として行われたものであり、同人が分会長であることや同人の組合活動を理由として行われたものということはできず、また、注意処分が支配介入に当たるとも認められない。
したがって、X1に対する注意処分は労組法7条1号及び3号に当たらない。
2 X2に対する訓戒処分が労組法7条3号の不当労働行為に該当するか
会社においては、超過勤務命令は原則として4時間前までに行う旨の労働協約が存したところ、平成19年12月31日、会社は、当初3時間の超過勤務を命じ、勤務時間終了直前に追加の超勤命令を発した。このような会社の対応は、業務上の不手際があったとされてもやむを得ないものであるものの、当日の状況からすれば、元日の午前中に年賀状の配達を終了することができるよう追加の超過勤務を行うことが必要であるとの会社の判断には相当な理由が認められる。
X2は、追加の超過勤務の必要性が存したにもかかわらず、労働協約で定める超過勤務拒否の事由なく追加の超過勤務命令を拒否したものであるから、同人に対する訓戒処分は相当の理由があり、さらに、会社がことさらX2を差別的に取り扱ったとの事情は認められず、同人に対する処分が、組合活動を牽制する目的で行われたと認めることのできる証拠も存しない。
したがって、X2に対する訓戒処分は労組法7条3号に当たらない。
3 X3に対する戒告処分が労組法7条3号の不当労働行為に該当するか
X3の支店長に対する行為は、会社が「支店長に右手拳を振り上げて威嚇した」と考えてもやむを得ないものであって、X3に対して何らかの懲戒処分が行われることはやむを得ないというべきである。また、同人に対する戒告処分がX3が組合員であること又は正当な組合活動をしたことを理由として、あるいは、分会の活動を牽制し萎縮させることを目的として行われたことをうかがわせる証拠は存しない。
したがって、X3に対する戒告処分は労組法7条3号に当たらない。 |
掲載文献 |
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