労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  すかいらーく 
事件番号  中労委平成22年(不再)第28号 
再審査申立人  X(個人) 
再審査被申立人  株式会社すかいらーく(「会社」) 
命令年月日  平成23年3月2日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要   会社がXを平成20年4月9日付けで解雇したこと(本件解雇)は不当労働行為に当たるとして、救済申立てのあった事件である。
 神奈川県労委は、本件解雇は、会社がXの組合活動を嫌悪して行ったものとは認められず、Xが加入していた労働組合の運営ないし組合活動に介入したものであるとも認められないから、労働組合法第7条第1号又は同条第3号の不当労働行為に当たらないとして、Xの救済申立てを棄却したところ、Xは、再審査を申し立てた。
命令主文  本件再審査申立てを棄却する。 
判断の要旨    Xは、平成10年5月に会社に準社員として入社し、相模原南台店の従業員として勤務していた。平成17年5月6日、Xは申立外三多摩合同労働組合(以下「三合労)」という。)に加入し、三合労を通じて、昇格を内容とする契約書に変更すること等を要求し、三合労と会社の間で団体交渉が開催された。その後、会社は、平成20年4月9日付けでXに対して本件解雇を行った。
  Xは、会社は不当労働行為意思を持って本件解雇を行ったと主張し、一方、会社は、本件解雇は不当労働行為意思に基づくものではないと主張する。そこで、Xが会社に不当労働行為意思があると主張する各行為について、以下検討する。

1 解雇に関する説明の不備、その他本件解雇の手続等について
  会社が作成した3通の退職証明書には、文面上差異がみられる。しかし、各退職証明書に記載された内容は、Xの業務遂行能力、協調性等に問題があり、業務上の命令、指導にも従わないことを本件解雇の理由としている点で一貫しており、その内容は、会社が、本件解雇に際して示した複数の書面の記載内容と根幹部分で一致している。各退職証明書の文面から、会社が、Xの組合加入又は組合活動を嫌悪して本件解雇に及んだと推認することはできない。
  会社が、本件解雇に際し、雇用契約が締結されていないとの認識を繰り返し示していたことには疑問があるが、雇用契約の解釈いかんにかかわらず、本件解雇の経過等からみて、会社がXの組合加入又は組合活動を嫌悪して本件解雇に及んだと推認することができないことは、前述したとおりである。

2 Xの組合加入が明らかになった直後に勤務時間が減少していることについて
  会社がXの三合労への加入を通知された後におけるXの勤務日数及び労働時間の平均は、Xが三合労に加入する前の勤務日数及び労働時間の平均よりも増えている。勤務日数及び労働時間が多い月は、いずれもXが三合労に加入した後となっている。このことからすると、会社が不当労働行為意思をもってXの勤務日数及び労働時間を減らしていたとするXの主張は、前提を欠く。
  Xは、同人が三合労に加入した直後の平成17年6月及び7月に、前月よりもXの勤務日数及び労働時間が減少していることを指摘する。しかし、同年8月の勤務日数及び労働時間が、いずれも平成11年6月以降で最も多いこと、前記のとおり、Xの組合加入後の勤務時間及び労働時間の平均が、それ以前のものを上回っていることも併せると、平成17年6月及び同年7月の勤務日数及び労働時間の減少をもって、会社がXの組合加入又は組合活動を嫌悪していたと推認することはできない。

3 三合労との団体交渉への対応等について
  Xは、上記1、2の他に、会社が不当労働行為意思を持ったとして、(1) 三合労との団体交渉への対応、(2) 組合掲示板に対する対応、(3) 店長の不当な発言等の各行為について主張している。しかしながら、(1) 会社は平成17年6月3日に付けの団体交渉申入れに対して数日にわたり日程調整に応じており、同年5月11日付け、同年7月10日付け団体交渉申入れに関して、同年6月18日、同年8月1日に団体交渉が開催されていることから、会社が三合労との団体交渉を拒否していたとは認められない。また、(2) 組合掲示板については、会社が組合員数を理由に組合掲示板を設置しない旨回答をした後、三合労から組合掲示板設置に関する団体交渉申入れは行われていない。さらに、(3) Y店長は、三合労のビラ配布に対し、「業務妨害だ。警察に名誉毀損で訴える。」などと発言しているが、会社が三合労にある程度誠実に対応をしていることから、Y店長の発言が会社の意を受けて行われたとはいえない。
 したがって、Xが主張する各行為についても、これらの行為をもって会社に不当労働行為意思があったということはできない。

4 結論
よって、本件解雇は、Xの組合活動等を理由に行われたものではなく、労働組合法第7条第1号又は同条第3号の不当労働行為にいずれも該当しない。 
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
神奈川県労委平成21年(不)第6号 棄却 平成22年4月16日
 
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