労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  大阪府労委平成22年(不)第8号 
事件番号  大阪府労委平成22年(不)第8号 
申立人  X労働組合、X2 
被申立人  Y株式会社 
命令年月日  平成23年5月24日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要   申立人X2は、申立外会社Aに雇用され、同社と被申立人会社Yとの業務請負契約に基づきYの工場で就労していたが、平成17年5月、大阪労働局に対し、同工場における勤務実態は労働者派遣法等に違反している旨申告した。同労働局の是正指導により上記業務請負契約が解消された後、X2はYとの協議を経て同年8月から18年1月末までを雇用期間とする雇用契約で同社に雇用され、従前とは異なる業務に従事することとなったが、17年11月、Yを被告として、大阪地裁に対し、当該雇用契約は期間の定めのない契約である等と主張して、地位確認等請求訴訟を提起した。21年12月、最高裁判決によりX2の請求棄却が確定した。
 本件は、Yが(1) X2を有期限で雇用し、不当な業務を押し付け、期限満了で雇止めしたことなど、(2) 最高裁の判決が出た後に申立人組合から申入れのあった、上記雇止め等の問題に関する団交に応じなかったことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 大阪府労委は、上記(1) に係る申立て及びX2の上記(2) に係る申立てを却下し、組合の上記(2) に係る申立てを棄却した。  
命令主文  1 申立人らの申立人X2の雇用に関する一連の行為についての申立てをいずれも却下する。
2 申立人X2のその他の申立てを却下する。
3 申立人Xのその他の申立てを棄却する。 
判断の要旨  1 申立人X2の雇用に係る申立ては、申立期間の徒過により却下されるか。
 本件申立て時において、本件雇止めやX2が被申立人会社に雇用されていた時の雇用条件、業務内容に係る会社の行為についての問題は発生してから1年を超えており、また、同人が会社に雇用されていないことは本件雇止めの効果が存続している結果であって、本件申立て前1年以内に行われた会社の新たな行為の結果とは解せないのであるから、その余を判断するまでもなく、X2の雇用に関連する一連の行為に係る申立ては却下する。
2 会社には、本件団交申入れに応じる義務があるか。
 本件団交申入れの内容は、(1) リペア作業の強要などX2に対して行った人権侵害についての謝罪、(2) 本件雇止めに対する謝罪、(3) 本件雇止めを撤回し、会社の正社員として雇用し、封着工程に復帰させることなどであるが、本件雇止め及びX2が会社に雇用されていた時の業務内容に係る問題については、既に本件地位確認訴訟の最高裁の判決が発せられ、会社に慰謝料の支払いを命じる一方、X2が雇用契約上の権利を有する地位にあるとは認めなかったのであるから、これとは異なる解決を求めた団交申入れに会社が応じないとしたことには理由があるというべきである。
 なお、申立人らは、判決が確定したとしても、不当労働行為をめぐる紛争については交渉によって問題が解決される可能性がないわけではない以上、不利益取扱いの救済の必要性がある場合は会社には団交応諾義務がある旨主張するが、本件のように最高裁の判決後に組合から別の解決方法を求めて団交が申し入れられた場合に会社がこれに応じるべき義務があるとまではいえない。
 以上のとおりであるから、組合の本件団交に係る申入れを棄却する。労組法7条2号に違反する不当労働行為について、X2個人には申立人適格があるとはいえないのであるから、同人の本件団交に係る申立ては却下する。  
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委平成23年(不再)第42号 棄却 平成24年10月17日
 
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