労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  大阪府労委平成21年(不)第25号及び同第76号 
事件番号  大阪府労委平成21年(不)第25号及び同第76号 
申立人  X労働組合 
被申立人  株式会社Y1、株式会社Y2 
命令年月日  平成23年5月6日 
命令区分  一部救済 
重要度   
事件概要   (1) 被申立人会社Y1が、ア 組合員X2に対し、個別に組合に関する話をするなどしたこと、イ X2らに対し、時間外労働を命じなくなったこと、ウ 申立人組合が同社の門前でシュプレヒコールを行うなどしたところ、ビデオで撮影したり、警察を呼ぶなどしたこと、エ 組合員X3を解雇したこと、オ 組合員X5に対し、就労を認めなかったこと及びパワーハラスメントに当たる発言をしたこと、カ 朝礼において、組合を非難する発言をするなどしたこと、キ X2に対し、職種変更を拒否したことを理由に就労を認めなかったこと、ク 団体交渉において不誠実な対応をしたこと、(2) 被申立人会社Y2が団体交渉に応じなかったこと、(3) Y1及びY2が、ア 組合員X2及びX4に対し三交代制勤務を命じたこと、イ 労災認定を受け休職中であった組合員X6が復職を希望したところ、復職を認めなかったことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 大阪府労委は、Y1に対し(1) 時間外労働を命じるに当たって組合員と他の従業員を同等に取り扱うこと、(2) X2らに対し、時間外労働に従事していたならば支払われたであろう残業手当相当額と既支払額との差額を支払うこと、(3) X5に対し、就労していたならば得られたであろう賃金相当額と既支払額との差額を支払うこと、(4) X2に対し、就労していたならば得られたであろう賃金相当額と既支払額との差額を支払うこと、(5) X2及びX4に対し、二交代制勤務に従事していたならば得られたであろう賃金相当額と既支払額との差額を支払うこと、(6) 組合への文書の手交を命じ、Y2に対する申立てを却下し、Y1に対するその他の申立てを棄却した。 
命令主文  1 被申立人株式会社Y1は、外国人現業従業員に時間外労働を命じるにあたって、申立人の組合員に対し、他の外国人現業従業員と同等に取り扱わなければならない。
2 被申立人株式会社Y1は、申立人組合員X2、同X3、同X4及び同X5に対し、下記(1)から(2)までの期間について、時間外労働に従事していたならば支払われたであろう残業手当相当額と既支払額との差額を支払わなければならない。この場合において残業手当相当額は、当該期間における申立人の組合員以外の外国人現業従業員の平均時間外労働時間数を基礎に算出するものとする。
 (1) 開始日 組合員X2及びX3については平成21年2月14日から、同X4については同月18日から、同X5については同月21日から
 (2) 終了日 同X3については平成21年2月28日まで、他の3名については被申立人株式会社Y1が申立人の組合員に対し、時間外労働について他の外国人現業従業員\と同等に取り扱うようになるまで
3 被申立人株式会社Y1は、申立人組合員X5に対し、平成21年2月28日及び同年3月2日について、就労していたならば得られたであろう賃金相当額と既支払額との差額を支払わなければならない。
4 被申立人株式会社Y1は、申立人組合員X2に対し、平成21年3月10日から同月31日までの間で休業とされた日について、就労していたならば得られたであろう賃金相当額と既支払額との差額を支払わなければならない。
5 被申立人株式会社Y1は、申立人組合員X2及び同X4に対し、平成21年4月17日から同22年2月28日までの間について、二交代制勤務に従事していたならば得られたであろう賃金相当額と既支払額との差額を支払わなければならない。
6 被申立人株式会社Y1は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。

年 月 日

X労働組合
  委員長 X1様
株式会社Y1    
代表取締役 Y1

  当社が行った下記(1)から(7)の行為は、大阪府労働委員会において、労働組合法第7条に該当する不当労働行為であると認められました。今後、このような行為をいたしません。
 (1) 平成21年2月19日、当社の管理職等が貴組合員X2氏を呼び出し、組合加入に関する質問をしたこと(3号違反)。
 (2) 貴組合員に対して、時間外労働を命じなかったこと(1号違反)
 (3) 平成21年2月28日及び同年3月2日、貴組合員X5氏を就労させなかったこと(1号違反)。
 (4) 平成21年3月3日の朝礼にて、当社の管理職の発言及び貴組合員以外の現業従業員からの文書提出により組合を弱体化させる行為を行ったこと(3号違反)。
 (5) 貴組合員X2氏に対し、職種変更を提案し、これを拒否したことを理由に就労を認めなかったこと(1号・3号違反)。
 (6) 貴組合員X2氏、同X4氏及び同X5氏に対し、指導証明書への署名拒否を理由に就労を認めなかったこと(1号違反)。
 (7) 貴組合員X2氏及び同X4氏に対し、三交代制勤務を命じたこと(1号違反)。

7 被申立人株式会社Y2に対する申立ては、却下する。
8 被申立人株式会社Y1に対するその他の申立ては、棄却する。
 
判断の要旨  1 被申立人会社Y1の次長Y4らが組合員X2に個別に話をしたこと等は労組法7条3号違反に当たるか。
Y1は、X2をY4の部屋に呼び出し、外部の者1名を含む4名で、同人に対し組合に関する質問をしたことが認められる。このようなY1の対応は、X2の組合加入の事実確認の域を超えたものであるとみるのが相当であって、これにより同人が多大な心理的圧迫を感じたとする組合の主張は首肯でき、かかる対応は組合活動の弱体化を図る支配介入に当たるものと判断される。
2 Y1がX2ら4名に対し、時間外労働を命じなかったことは、労組法7条1号違反に当たるか。
Y1が、X2らが組合員であることを認識したと思われる時期と同人らに時間外労働を命じなくなった時期はほぼ一致している。また、Y1が同人らに対し他の外国人従業員とは異なった取扱いをしたことは明らかであり、受注減の影響で時間外労働を命じなくなったと解することはできない。以上から、Y1は、X2らに対し組合員であること等を理由に時間外労働を命じないこととし、これにより賃金を減少させるという不利益な取扱いを行ったというのが相当で、かかる行為は労組法7条1号に違反する不当労働行為である。
3 2月27日及び3月7日の組合活動に対するY1の対応は、労組法7条3号違反に当たるか。
2月24日、本件会社代理人が組合に対し団交の日程を3月1日に変更したい旨通知した後、組合の書記次長X7と同代理人が電話で話をしたが、その際、X7は日程変更には応じられない旨述べ、2月27日にY1に行き、同社が団交拒否をするなら門前で抗議活動をするなどと発言したことが認められる。そうすると、Y1が2月27日の組合活動の際に何らかの過激な抗議活動の危険性があるとして、本件工場で働いている組合員以外の組合員の立入りを拒否し、シュプレヒコールの様子をビデオで撮影し、警察に電話したことにも合理的な理由があるというべきであって、かかるY1の対応を支配介入に当たるとまでいうことはできない。3月7日の組合活動の際についても、同様である。
4 3月3日の朝礼におけるY1の発言内容等は、労組法7条3号違反に当たるか。
Y4は朝礼において「変えてほしいことがあれば、直接、社長に言いに行くべきで、だんじりやフェスティバルのようなことをやってもY1のルールは変わらない」などと述べたことが認められる。これは、使用者の立場から、組合加入及び組合活動の内容を非難し、組合員を攻撃するとともに、他の従業員から組合員を孤立させるものと判断され、組合を弱体化させる支配介入に該当する。
5 被申立人会社Y2はX2ら4名及び組合員X6の労組法上の使用者に当たるか。
Y1の受注元はY2のみであるが、Y2とY1との間には役員派遣や資本関係もない上、Y2が本件工場に勤務する労働者の雇用や賃金の額などの労働条件に対し、取引先としての影響力を超え、具体的かつ直接的な影響力ないし支配力を及ぼしたと認めるに足る疎明はない。したがって、Y2はX2らの労組法上の使用者に当たるということはできない。
6 Y1がX2に対し職種変更を提案し、これを拒否したことを理由に3月10日から31日まで就労を認めなかったことは労組法7条1号違反及び3号違反に当たるか。
当時、Y1が従業員に対し、賃下げを伴う職種変更を提案し、応じない場合には「休業」扱いにしなければならないような営業状況であったとは認めがたい。また、この時期、組合と同社が激しく対立していることを併せ考えると、同社はX2が組合員であること等を理由に非組合員と差別的に扱い、もって組合の弱体化を図る支配介入を行ったとみるのが相当である。
7 3月12日の団交申入れへのY1の対応は労組法7条2号違反に当たるか。
3月23日に開催された団交におけるY1の発言内容には事実と異なる部分があるといわざるを得ないが、同社がその後組合に提出した回答書には、Y1は組合員であることを理由に差別的取扱いを行うつもりはなかったが、不当労働行為性を疑わせる事情を作出したという意味で、反省すべき点があったと考えている旨などの記載がある。そうすると、少なくともこの時点においては、Y1は団交における組合の意見に耳を傾け、労使紛争の収束に向けて一定の努力をしようとしていたとみることができ、同社の対応を不誠実とまでいうことはできない。
8 Y1が組合員X6の復職を認めなかったことは、労組法7条1号違反に当たるか。
Y1は、右脛骨骨折により休業したX6が復職する際、従前担当していた機械生産ではなく、機械清掃・切粉取り等の仕事を命じ、これに対して同人は当該作業は膝の屈伸を伴うため従事できない旨返答し、就労しなかったことが認められる。しかし、機械清掃業務が機械生産に比べ同人の膝に負担をかける業務であると認めるに足る疎明はなく、Y1が機械清掃業務を命じたことをただちに不当であるということはできない。その後、Y1は同人に別の業務に従事することを提案したところ、同人は職場復帰してその業務に従事したが、翌日、脚の痛みを理由に早退し、その翌日は無断欠勤したこと、及び面談で昼から脚が痛くなると思われる旨返答したことが認められる。そうすると、このような健康状態でも問題なく従事できるような業務が他にあると認めるに足る疎明もないのであるから、Y1が、X6が痛みをかかえたまま就労すると、労働災害を招く可能性もあり、同人の復帰を認めることはできないとしたことを不当であるということはできない。 
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委平成23年(不再)第36号・37号 一部変更 平成25年3月21日
 
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