労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  サミット樹脂工業 
事件番号  中労委平成21年(不再)第45号 
再審査申立人  全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部(以下「組合」) 
再審査申立人   
再審査被申立人  サミット樹脂工業株式会社(以下「会社」) 
再審査被申立人   
命令年月日  平成23年3月16日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要   会社の次の行為が不当労働行為に当たるとして、組合が平成20年5月13日(以下、平成の元号は省略する。)、大阪府労委に救済申立てのあった事件である。
① 組合の組合員Xを、雇用契約期間の満了日である同年5月5日をもって雇止め(以下「本件雇止め」)とし、同年4月28日から同年5月2日までの間の自宅待機を同組合員に命令(以下「本件自宅待機命令」)したこと。
② 同年4月23日に行われた会社と組合の面談(以下「4.23面談」)においていったん回答した内容を、その直後に電話(以下「4.23電話」)で撤回したこと。
③ 4.23電話において同組合員が出勤したら困ると述べ(以下「本件就労拒否発言」)、同月24日及び25日に出勤した同組合員の就労を拒否(以下「本件就労拒否」)したこと。
④ 組合との間で団体交渉(以下「団交」)を行う前に、同組合員に対して同月28日付け雇止め通知書(以下「4.28雇止め通知書」)を送付したこと。
 大阪府労委は、21年11月10日付けで、前記①ないし④の行為は、いずれも不当労働行為に該当しないとして、組合の救済申立てを棄却することを決定し、同月12日に初審命令書を交付し、組合はこれを不服として再審査を申し立てた。 
命令主文  本件再審査申立てを棄却する。 
判断の要旨  1. 本件雇止め及び本件自宅待機命令は、Xが組合に加入しようとしたこと若しくは組合の組合員であることを理由として行われた不利益取扱い及び組合に対する支配介入に当たるか。

 会社が、組合員Xに対し、本件雇止めの意思を表明したのは20年4月17日であり、同月23日の組合加入通知以前であった。従って、会社は、組合加入が通知される前に本件雇止めを決定したと考えられるので、会社が組合加入を嫌悪して本件雇止めを決定し、4.28雇止め通知書を送付したものとは認められない。
 同組合員は、残った有給休暇を使いきって、会社を辞めるつもりであったと認められる。また、同組合員は、会社に対する強い不信感を表明し、職場環境や処遇に関する不満を訴えている。そうすると、会社が、同組合員には会社で働く意思がないと考え、また、信頼関係をもって労務の提供を受けることは困難であると考えたとしても無理からぬことであり、会社が会社への出入りを禁止する旨の発言(以下「4.17出入り禁止発言」)を行ったことには相応の理由が認められる。本件自宅待機命令は、4.17出入禁止発言の内容を確認的に書面で通知したものにすぎないところ、4.17出入禁止発言は、組合加入通知以前になされており、また、同発言には相応の理由が認められるのであるから、本件自宅待機命令が組合加入を嫌悪して行われたということはできない。
 従って、本件雇止め及び本件自宅待機命令は、同組合員に対する不利益取扱いには当たらず、組合に対する支配介入にも該当しない。
2.  4.23面談において、会社と組合の間で、同組合員が従来通りの就労に復帰するとの合意が成立したといえるか。合意の成立が肯定される場合に、会社が、4.23電話により4.23面談におけるやりとりを撤回するとしたことは、不誠実団交及び組合に対する支配介入に当たるか。

 4.23面談は、組合加入通知及び団交申入れ当日の面談にすぎず、事実上であっても団交が行われたと認められない。そして、会社が責任者が不在であることを述べて対応し、同面談の終了後直ちにそのやりとりにおける発言を撤回していること等からすると、会社と組合との間に同組合員の出勤について合意が成立したと認めることはできない。従って、団交が開催され、会社との間に同組合員の就労復帰について合意が成立したことを前提とする組合の主張は、その前提を欠き、失当である。

3. 会社が、4.23電話において本件就労拒否発言を行い、4月24日及び同月25日に本件就労拒否を行ったことは、同組合員が組合の組合員であることを理由とした不利益取扱い及び組合に対する支配介入に当たるか。

 4.17出入禁止発言は組合加入通知以前になされたものであり、同発言には相応の理由が認められるから、同発言を受けてなされた本件就労拒否発言及び本件就労拒否が、同組合員の組合加入を嫌悪し、組合を排除するために殊更なされたものとは認められない。従って、本件就労拒否発言及び本件就労拒否は、組合員に対する不利益取扱いであるとはいえず、組合に対する支配介入に当たるともいえない。
4. 会社が、組合から4月23日に団交申入れがあったのに、団交を行う前に、同組合員に対して、4.28雇止め通知書を送付したことは、組合に対する支配介入といえるか。
 本件雇止めの意思の表明は既に4月17日の時点でなされていたのであり、同月28日の本件雇止めの通知は、既に同月17日に表明した雇止めの意思を改めて書面で通知し直したものである。また、会社が組合に対して事前協議・事前合意の義務を負うともいえない。従って、会社が、団交を行う前に、同組合員に対して4.28雇止め通知書を送付したことが、組合に対する支配介入に該当するとはいえない。 
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
大阪府労委平成20年(不)第26号 棄却 平成21年11月10日
東京地裁平成23年(行ウ)第522号 棄却 平成24年9月3日
東京高裁平成24年(行コ)第349号 棄却 平成25年2月7日
 
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