概要情報
事件名 |
黒川乳業 |
事件番号 |
中労委平成9年(不再)第5号 |
再審査申立人 |
関西単一労働組合(「組合」) |
再審査申立人 |
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再審査被申立人 |
黒川乳業(「会社」) |
再審査被申立人 |
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命令年月日 |
平成23年3月16日 |
命令区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、①組合の下部組織である黒川乳業分会(分会)の組合員であったXに対し、60歳定年制を適用したこと、②Xへの60歳定年制の適用をめぐって組合が申し入れた団体交渉に応じなかったこと(本件団体交渉拒否)が不当労働行為に当たるとして、救済申立てのあった事件である。
大阪府労委は、上記①、②はいずれも不当労働行為に当たらないとして組合の救済申立てを棄却したところ、組合は、これを不服として再審査を申し立てた。 |
命令主文 |
本件再審査申立てを棄却する。 |
判断の要旨 |
1. Xに対する60歳定年制の適用は、労働組合法第7条第1号および第3号の不当労働行為に当たるかどうか。
組合は、①会社では就業規則で定めていた55歳定年制が死文化しており、また、少なくとも組合の組合員については、定年制自体が存在していなかったこと、②別組合との間の60歳定年制協定を労働組合法第17条に反してXに適用したこと、③55歳定年制を60歳定年制に改訂した就業規則の変更は、組合の意見を聴かずに行われたもので労働基準法第90条に違反することを理由に、Xに対して60歳定年制を適用したことがXに対する不利益取扱いであり、組合に対する支配介入に当たると主張する。
しかし、55歳定年制が死文化してしていたとか、55歳定年制自体が廃止されたと認めることはできない。また、Xを定年退職扱いとしたのは、別組合との間の60歳定年制協定を適用したのではなく、変更後の就業規則の60歳定年制を適用したものであり、会社は、就業規則変更届の提出に際し、労働者の過半数で組織する別組合の意見を聴いているから、当該就業規則の変更が労働基準法第90条に違反しているともいえない。
したがって、Xに対する60歳定年制適用を不当労働行為という組合の主張には理由がない。 (2) 本件団体交渉拒否は、正当な理由のない団体交渉拒否として労働組合法第7条第2号の不当労働行為に当たるかどうか。
定年制をめぐっては、会社と組合および分会(組合等)とは、20年以上にわたって、60歳定年制を主張する会社と定年制の廃止あるいは65歳定年制を主張する組合等とが一貫して対立し、対立点は固定化したままであり、相互に譲歩の意思が認められず、本件団体交渉申入れ当時においては、もはや、団体交渉によって定年制に関して何らかの合意が成立し得る状況になかったというべきである。そして、60歳定年制につき特段の不合理な点を見出し難い以上、会社が、組合等が平成5年5月7日以降に求めたXへの60歳定年制の適用問題に関する団体交渉に応じなかったことについて、正当な理由がないと認めることはできない。 |
掲載文献 |
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