概要情報
事件名 |
NTT東日本-茨城 |
事件番号 |
茨労委平成21年(不)第4号 |
申立人 |
東日本NTT関連合同労働組合茨城支部、X1、X2、X3 |
被申立人 |
株式会社NTT東日本-茨城 |
命令年月日 |
平成23年4月21日 |
命令区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
被申立人会社は、社員等が自宅で所有するパソコンから顧客情報がインターネット上に流出するなどの事件が数回発生したことを踏まえ、平成20年11月、全社員に対し、自宅で所有等しているパソコンを会社指定の方法で点検した上、12月17日までに確認書等を提出するよう求める業務命令を発した。
本件は、会社が①同年12月5日付けで申し入れられた上記の業務命令をテーマとする対面窓口交渉(便宜供与の問題等を扱う団体交渉)に同月25日まで応じず、当日の交渉態度も不誠実であったこと、②交渉開催前の12月24日に、組合員である申立人X1ら3名に対し、個別に事情聴取を行い、確認書等の提出を求めたこと、③指定した期限までに確認書等を提出しなかったなどとして、X2を厳重注意とし、X1及びX3を訓告処分としたこと等は不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
茨城県労委は、申立てを棄却した。 |
命令主文 |
本件申立てをいずれも棄却する。 |
判断の要旨 |
1 組合員X1らに対する訓告処分及び口頭注意は、不利益取扱い及び組合への支配介入に当たるか。
本件業務命令は、組合や組合員のみに対してなされたものではなく、また、電気通信事業者として当然の施策であると首肯し得るものである。会社が、確認書等を提出しない場合には懲戒処分の対象となり得る旨をX1及びX3に予告していたこと、同人らは当初の提出期限を2か月過ぎた時点になっても確認書等を提出していなかったことにより、就業規則に基づき同人らを戒告処分としたことは使用者として相当な対応と認められる。
X2は、同人が主張するように仮に12月25日の対面窓口交渉後まで確認書等の提出期限が猶予されていたとしても、当該交渉後速やかに提出したものとは認めがたく、会社が同人に対し注意の喚起を促したとしても使用者として相当な対応であったと言える。また、当該口頭注意は査定上の不利益が生じるなどの事情は認められないから、相当性を欠く不利益な扱いであったとまでは認められない。
以上のとおり、本件訓告処分及び口頭注意は、不当労働行為意思に基づき恣意的になされたものであるとまでは言えない。
2 X1ら3名に対し、個別に確認書等の提出を求めたことは、組合への支配介入に当たるか。
確認書等の未提出者に対する懲戒処分等が予想される状況においては、対象者に速やかに事情聴取を実施することは、使用者として当然の対応であったと言える。また、本件事情聴取は、業務命令を履行しなかった社員個人に対して個別に実施されたものであって、会社が対面窓口交渉の実施を待たずにX1ら3名にこれを実施したことをもって、組合と交渉して解決すべき問題を組合の頭越しに組合員と直接交渉したものと見ることはできない。
3 12月5日付けの対面窓口交渉の申入れに対し、確認書等の提出期限である同月17日までに交渉が行われなかったこと、同月25日の対面窓口交渉等における会社の交渉態度は、団交拒否及び組合への支配介入に当たるか。
対面窓口交渉の開催日については組合の当初の希望どおりにはならなかったものの、最終的には組合と会社との折衝の結果、決定されたものである。日程調整を行うに際して、組合としても確認書等の提出期限を認識していたことは明らかな状況であったと言うべきであり、会社の窓口担当者が当該期限に特に言及しなかったとしても、会社側の対応に問題があったとまでは言えない。
対面窓口交渉等において会社は、自己点検が義務化された理由等を説明し、組合からの質問に対してもその場で回答し、別途確認等が必要な事項については後日窓口対応で回答するなど、全体としてそれ相応に対応していたと認められる。会社側交渉委員の1人があらかじめ決められていた交渉終了時刻に「時間です。」と述べて退席したなどの言動があったからといって、会社側の交渉態度が全体として不誠実なものであったとまでは言えない。 |
掲載文献 |
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