労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  兵庫県労委平成22年(不)第2号 
事件番号  兵庫県労委平成22年(不)第2号 
申立人  X労働組合 
被申立人  Y株式会社 
命令年月日  平成23年4月7日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要   第三種鉄道事業者である被申立人会社は、第二種鉄道事業者から委託を受けて、従業員を雇用し、列車の運行管理業務等を行っていたが、平成22年10月から事業形態を変更し、資産を保有するだけの本来の第三種鉄道事業者に移行することを決定した。会社には別組合が存在していたが、一部従業員は事業形態変更に伴う従業員の転籍問題に関する別組合の対応についての不信感等から、21年2月、申立人組合の分会を結成した。本件は、会社が組合に対する組合事務所及び組合掲示板の設置場所の貸与を拒否したことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 兵庫県労委は、会社が組合掲示板の設置場所の貸与を拒否したことは不当労働行為に該当するが、現時点で組合と会社との間に労使関係がないこと等から救済命令を発する必要性は失われているとして、申立てを棄却した。 
命令主文  本件申立てを棄却する。 
判断の要旨  1 被申立人会社が組合事務所の貸与を拒否したことは、組合への支配介入に該当するか。
 会社は、別組合に対して、長年にわたる労使関係等により、組合事務所及び組合掲示板の設置場所を無償貸与していた。会社が別組合に組合事務所等を貸与するに至った経緯や貸与の状況、組合との団体交渉の経緯及び内容、会社の事業形態の変更後、会社と組合の労使関係がなくなることが予定されていた状況等を考え併せると、仮に同社において営業の用に供するものではない施設が利用されていないままの状況であったとしても、また、同社が事業形態を変更し従業員が転籍するまでの間においても、新たに組合事務所を貸与する場所を見いだし難いとして貸与しなかったことについて、合理的な理由がないとまではいうことができない。結局、会社が組合事務所を貸与しなかったことをもって、組合を弱体化する意図を有するものとまでは推認することができず、労組法7条3号に該当する不当労働行為であるとはいえない。
2 会社が組合掲示板の設置場所の貸与を拒否したことは、組合への支配介入に該当するか。
 駅の休憩室や本社のコピー室等の壁面に何も掲示されていない場所があったこと、会社が事業形態を変更し従業員が転籍するまでの比較的短い期間であったとしても、組合にとっては掲示板を使用する必要性が認められること、及び貸与したとしても会社にとってさほど問題が生じるとはいえないことから、会社が組合掲示板の設置場所を貸与しなかったことについては合理的な理由はなく、組合を弱体化する意図が認められるものであり、労組法7条3号に該当する不当労働行為であるというべきである。
3 救済の方法等
 会社の事業形態の変更に伴い、組合の組合員は全員が平成22年9月30日をもって会社を退職し、その翌日、転籍予定先とされていた別の会社に入社した。会社と組合との間には現時点において労使関係はなく、また、将来においても再び労使関係が構築される可能性はほとんどないことを考慮すると、本件において救済命令を発する必要性は、組合との労使関係がなくなった時点において失われたというべきであり、組合の申立ては棄却せざるを得ない。 
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委平成23年(不再)第33号 棄却 平成24年4月18日
 
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