労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  灰孝小野田レミコン 
事件番号  滋労委平成21年(不)第5号 
申立人  全日本建設交運一般労働組合関西支部 
被申立人  灰孝小野田レミコン株式会社 
命令年月日  平成23年3月14日 
命令区分  一部救済 
重要度   
事件概要   被申立人会社が①平成21年度賃上げに関する申立人組合との団体交渉において、他の労働組合との団体交渉の妥結を待つとしたこと、②組合と締結した覚書で定められた事前協議を行うことなく、生コンミキサー車を減車したこと、③組合員X2の退職後に採用されるべき正社員として組合が自己の組合員を推薦したにもかかわらず、そのうちから速やかに内定者の選定作業に入らなかったこと等は不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 滋賀県労委は、上記②及び③が不当労働行為であることを確認するとともに、会社に対し文書の手交・掲示を命じ、その余の申立てを棄却した。
命令主文  1 被申立人が、平成20年(2008年)7月16日付け覚書に定められた申立人との事前協議を行わずに、平成21年8月31日に生コンミキサー車を2台減車したことは、労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為であることを確認する。
2 被申立人が、申立人組合員X2氏退職後に採用されるべき正社員として申立人が自己の組合員を推薦したにもかかわらず、そのうちからすみやかに内定者の選定作業に入らなかったことは労働組合法第7条第3号に、同作業に入らなかったことについて団体交渉で合理的な説明を行わなかったことは同条第2号にそれぞれ該当する不当労働行為であることを確認する。
3 被申立人は、本命令書受領後2週間以内に、下記内容の文書を申立人に手交し、同文書を縦80センチメートル、横55センチメートルの白紙に明瞭に記載して、本社事務所入口脇および大津工場正門脇のそれぞれ見やすい場所に2週間掲示しなければならない。
年 月 日
全日本建設交運一般労働組合関西支部
 執行委員長 X1 様
灰孝小野田レミコン株式会社
代表取締役 Y1
 当社が行った次の行為は、滋賀県労働委員会において、(1)については労働組合法第7条第3号に、(2)については同条第2号および第3号に該当する不当労働行為であると認定されました。つきましては本件について謝罪するとともに、今後このような行為を繰り返さないようにいたします。
(1)当社が、平成20年(2008年)7月16日付け覚書に定められた貴組合との事前協議を行わずに、平成21年8月31日に生コンミキサー車を2台減車したこと。
(2)当社が、貴組合員X2氏退職後に採用されるべき正社員として貴組合が自己の組合員を推薦したにもかかわらず、そのうちからすみやかに内定者の選定作業に入らなかったことや、同作業に入らなかったことについて団体交渉で合理的な説明を行わなかったこと。
(注:年月日は文書を交付した日を記載すること)
4 申立人のその余の申立は棄却する。 
判断の要旨  1 被申立人会社が団体交渉において平成21年度賃上げ額は他の2労組との間の集団交渉での妥結を待つという態度をとったことは、申立人組合を弱体化させる支配介入又は不誠実な交渉に当たるか。
 組合と会社との間においては、集団交渉における妥結を待って同一条件で賃上げ額を最終決定するという労使慣行があったと認められるから、集団交渉において妥結していない状況において、会社が上記のような態度をとったことは、何ら組合を弱体化させる支配介入に当たらず、不誠実な交渉ともいえない。
2 会社が組合との覚書に定められた事前協議を行わずに生コンミキサー車を減車したことは、組合を弱体化させる支配介入に当たるか。
 会社が事前協議なくして予備車2台の減車を行ったことについては、経営上の理由があったほか、同社へのセメント供給メーカーA社や他の労組に関係する特殊な実情が背景にあり、会社は組合を弱体化させることを認識しながらあえて実行したものと認められ、支配介入に当たると解される。
3 会社が組合の推薦による内定者選定作業に入らなかったことは、組合を弱体化させる支配介入に当たるか。また、当該内定者選定作業に入らなかったことについて団体交渉において合理的な説明を行わなかったことは、不誠実な交渉に当たるか。
 会社は、団体交渉における組合との合意に反して内定者選定作業に入らないことについて、そのことが組合との労働協約に基づく協議の成果を軽視し、組合の活動を著しく阻害すること及び組合員の減少を招き組合の弱体化につながるものであることを認識しながらあえてこれを実行したものと認められ、支配介入に当たると解される。また、組合との合意を反故にした上で、合意の履行を求める組合に対して何ら合理的な説明を行わなかったことは、不誠実な団交に当たると解される。
4 救済方法について
 生コンミキサー車の減車及び従業員の採用は、本来、会社の経営権に属する事項であり、かつ、同社の経営状況が悪化し、生コンミキサー車が過剰な状態であることなどからすれば、原状回復として減車の撤回や組合の推薦による内定者選定作業に入ることまでも命じることは救済方法として相当ではない。 
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
平成23年(不再)第20・第26号 棄却 平成24年5月16日
 
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