概要情報
事件名 |
佐与福祉会 |
事件番号 |
中労委平成22年(不再)第16号 |
再審査申立人 |
虹ヶ丘学園労働組合(「組合」) |
再審査被申立人 |
社会福祉法人佐与福祉会(「法人」) |
命令年月日 |
平成23年1月19日 |
命令区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
知的障害者通所授産施設虹ヶ丘学園を運営する社会福祉法人三郡福祉会は、同施設を廃園して勤務する職員を全員解雇した後、同法人を解散し、基本財産である土地および建物(「本件土地建物」)を社会福祉法人佐与福祉会に譲渡(「本件譲渡」)した。元職員らの組織する組合は、上記両法人に対し、雇用保障問題などについての団体交渉を申し入れたが、両法人は団体交渉を拒否した。組合は、上記団交拒否が不当労働行為であるとして、救済の申し立てがあった事件である。
福岡県労委員は、三郡福祉会が団体交渉に応じなかったことは、正当な理由のない団交拒否に当たるとしたが、佐与福祉会に対する申立てについては、同法人が組合員らの使用者には当たらないとして申立てを棄却した。
組合は、棄却部分を不服として再審査を申し立てた。 |
命令主文 |
本件再審査申立てを棄却する。 |
判断の要旨 |
佐与福祉会は、本件団交申し入れについて、使用者として応諾する義務があるか
本件譲渡契約は、三郡福祉会が自己の営む虹ヶ丘学園の事業の廃止後に、佐与福祉会に対して、三郡福祉会の基本財産である本件土地建物を広く障害福祉サービス事業の利用に供してもらうために譲渡したものとみるべきであって、佐与福祉会が三郡福祉会の上記事業の譲渡を受け、三郡福祉会の元職員の雇用関係を承継して同事業を再開しようとしたものとみることは困難である。
したがって、組合の主張は認め難く、佐与福祉会が、三郡福祉会によって解雇された元職員との関係において、近い将来において雇用関係の成立する可能性が現実的かつ具体的に生じていたとみることはできない。 なお、佐与福祉会と三郡福祉会との関係が生じたのは三郡福祉会が本件土地建物の譲渡先を探索し始めた後のことであり、本件譲渡の前後を通じて、三郡福祉会と佐与福祉会とが、資金面、理事・役員等の人事面、業務面などにおいて関係があったことを認めるに足る証拠は一切ない。したがって、佐与福祉会が本件組合員の労働条件や組合との労使関係に関して、現実的かつ具体的な支配力を行使していたとの事情も認められない。
また、佐与福祉会が三郡福祉会と意を通じ、本件譲渡を利用して組合ないし本件組合員を排除したという事実を認めるに足る証拠はない。 以上からすると、佐与福祉会は、本件団交申し入れに応諾すべき使用者とは認められず、組合の本件再審査申立てには理由がない。 |
掲載文献 |
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