概要情報
事件名 |
エクソンモービル(平成10年度夏季一時金) |
事件番号 |
中労委平成14年(不再)第40号 |
再審査申立人 |
スタンダード・ヴァキューム石油自主労働組合(以下「組合」) |
再審査申立人 |
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再審査被申立人 |
エクソンモービル有限会社(以下「会社」) |
再審査被申立人 |
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命令年月日 |
平成22年11月10日 |
命令区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、平成10年度一時金交渉が妥結していない時点で、夏季一時金のうち、会社裁量で配分する部分を除く一律部分の仮払を組合が求めたのを拒否し、および同年度賃上げ交渉の未妥結を理由に同年度一時金の妥結を拒否したことが、労働組合法第7条の不当労働行為に該当するとして、救済申立てがあった事件である。
大阪府労働委員会は、平成10年度夏季一時金の仮払拒否および同年度一時金交渉の妥結拒否は不当労働行為に当たらないとして、組合の救済申立てを棄却したところ、組合はこれを不服として再審査を申し立てた。 |
命令主文 |
本件再審査申立てを棄却する。 |
判断の要旨 |
1 会社が、平成10年度一時金について妥結していない時点で、夏季一時金のうち会社配分を除く一律部分の仮払を拒否したことが、不当労働行為に当たるか。
組合は、一時金は賃金の後払であるから、労働した時間、即ち算定期間分の一時金については労働者に請求権があり、会社は、未妥結の場合は仮払を行う義務があると主張するが、一時金の支払いについて定めた会社と組合間の労働協約はなく、また、会社の就業規則などにもこのような定めはない以上、未妥結にもかかわらず、会社が一時金の支給を行う義務があるとはいえない。また、組合は、昭和58年度一時金について仮払を行った例があることをもって、仮払を行う慣行があったと主張するようであるが、当該一例をもって慣行が成立していたとはいうことはできない。さらに、組合は、会社が組合との一時金交渉が妥結していない状況で非組合員に一時金を支給したことが仮払に当たるので、組合にも仮払を行うべき義務があると主張するようであるが、会社は、非組合員に対しては、別組合と一時金について妥結するのを待って、新賃金に基づき計算した一時金を支給したのであって、非組合員が一時金の受領を拒否したり異議を述べたことをうかがわせる事実は認められない。他方、組合は、未だ妥結の意思も表示しない時点で、旧賃金により計算された一時金の仮払を求めたのであって、非組合員と組合員では一時金の支給をめぐる事情が異なっているのであるから、会社が組合の組合員を殊更差別的に取り扱ったと評価することはできない。 従って、会社が、組合からの一時金の仮払要求に応じなかったことが、組合員を殊更差別的に取り扱うとともに、経済的に窮地に陥れ、もって組合の弱体化を図ろうとする意図で行われた組合に対する支配介入であったとはいえない。 2 会社が、平成10年度賃上げ交渉の未妥結を理由に同年度一時金交渉の妥結を拒否したことが、不当労働行為に当たるか。
会社が、平成10年度賃上げ交渉未妥結を理由に同年度一時金交渉の妥結を拒否したのは、一時金の算定基礎となる賃上げ分を併せて確定したいとする意思に基づくものとみるのが相当であり、会社の同対応は、組合を殊更差別的に取り扱い、また、組合に対しとりたてて不合理な条件を押しつけ、組合の弱体化を図ろうとする支配介入であると判断することはできない。 |
掲載文献 |
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