概要情報
事件名 |
エッソ石油(賃金システム変更等) |
事件番号 |
中労委平成13年(不再)第58号 |
再審査申立人 |
スタンダード・ヴァキューム石油自主労働組合 |
再審査申立人 |
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再審査被申立人 |
エクソンモービル有限会社 |
再審査被申立人 |
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命令年月日 |
平成22年11月10日 |
命令区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、平成10年度春闘に関する団体交渉(以下「団交」)において、管理職の賃金データの開示を拒否したこと、および賃金システムの変更について組合と意見を交換する場として、組合側出席者を3名以内とし、説明内容を非公開とするという条件を付した会合の開催を提案したことが、労働組合法第7条第2号及び第3号の不当労働行為に該当するとして、申立てがあった事件である。
大阪府労働委員会は、会社が管理職の賃金データを開示しなかったこと、ならびに組合側出席者数の制限および説明内容の公表禁止を条件とする会合を提案したことには不当労働行為は認められないとして、組合の救済申立てを棄却したところ、組合はこれを不服として再審査を申し立てた。 |
命令主文 |
本件再審査申立てを棄却する。 |
判断の要旨 |
1 会社が、平成10年度春闘交渉において、管理職の賃金データの開示を拒否したことは、事実上の団交拒否および組合に対する支配介入に当たるか。
会社は、団交において組合の求める資料を開示することが望ましいが、会社が組合の開示要求のすべてに応じないからと言って、事実上の団交拒否には当たらない。会社は、確かに、平成10年度春闘交渉において管理職の賃金データを開示していないが、団交の場において、「管理職の賃金データは、組合員に直接関わらない労働条件である」などと開示しない理由を再三にわたり説明しているし、また、管理職の賃金データについても非公開が約束された場では開示できると述べるなど、開示に向けて全く否定的であったわけでもない。
また、そもそも、管理職の賃金データは、会社が、新賃金システムの説明において、組合員と管理職の賃金が逆転しているケースがあると述べたことを検証するために、組合が開示を求めたが、新賃金システムの導入が見送られた平成10年度においても同様の開示が必要不可欠であったとは言い難く、同年度の時点で、会社が、管理職の賃金データは、組合員に直接関わらない労働条件であるとして開示しなかったことに理由がなかったとは言えない。
以上の次第であるから、平成10年度春闘交渉において、会社が組合に対して管理職の賃金データを開示しなかったことが、事実上の団交拒否に当たるとは言えないし、また、組合に対する支配介入に当たるとも言えない。 2 会社が、組合側出席者を3名以内とし、説明内容を非公開とするという条件を付した会合の開催を提案したことは、事実上の団交拒否および組合に対する支配介入に当たるか。
会社が賃金システムの変更を説明する場として組合側出席者を3名以内とし、説明内容を非公開とするという条件を付した会合の開催を提案したことは、会合を団交ではなく、その前段の事務折衝の延長として提案されたのであり、その後会社は、組合の要求に応じ、賃金システムの変更について、上記条件を付することなく団交を開催して説明している。 また、組合は、会社からの同会合の提案を結局拒否しているのであって、会社の同会合の提案はあくまで提案にすぎず、同会合の開催を組合に強制していない。
したがって、会社が同会合の提案を行ったことが、団交そのものに制限を加えるものとはみることができず、これをもって会社が事実上の団交拒否や支配介入の不当労働行為を行ったとは言えない。 |
掲載文献 |
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