労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  エッソ石油(一時金配分内訳の不明示等) 
事件番号  平成13年(不再)第12号 
再審査申立人  スタンダード・ヴァキューム石油自主労働組合(以下「組合」) 
再審査申立人   
再審査被申立人  エクソンモービル有限会社(以下「会社」) 
再審査被申立人   
命令年月日  平成22年11月10日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要   会社が、昭和50年度以降、一時金に関する団体交渉(以下「団交」)において、会社裁量で配分する部分(以下「会社配分」)の内訳を専門職・非専門職別、評価別、基本給別に明示して、組合と協議しなかったこと、および一時金の会社配分を妥結内容通りに全額支給しなかったことが、労働組合法第7条の不当労働行為に該当するとして、申立てがあった事件である。
 大阪府労働委員会は、平成9年度以前の一時金に関する団交および同年度夏季一時金以前の一時金の支払については、妥結時期および支払日から1年以上経過した後の申立てであるから、組合の救済申立てを却下すること、および同年度冬季一時金および平成10年度一時金の支払ならびに同年度一時金に関する団交における会社の対応に不当労働行為は認められないとして、組合の救済申立てを棄却したところ、組合はこれを不服として再審査を申し立てた。 
命令主文  本件再審査申立てを棄却する。 
判断の要旨  1 平成9年度以前の一時金に関する団交および同年度夏季一時金以前の一時金の支払について、申立期間が徒過していないか。
 昭和50年度一時金から平成9年度一時金までの各一時金の団交および支払に関する救済申立てのうち、同年度冬季一時金の支払に関する申立て以外の申立ては、いずれも1年を経過した後の申立てであるから却下する。
2 一時金の会社配分に関する団交における会社の対応は不誠実であったか。
 会社は、一時金の会社配分について、組合員各人がそれぞれ自己の具体的な会社配分がどれだけになるかを確認し得る基本給区分別配分表を提示し、組合員自身による計算が可能なまでに説明していることなど、会社はすでに、相当具体的に組合に説明しているというべきである。従って、同10年度一時金交渉において、会社は組合からの会社配分についての明示要求に誠実に対応していると判断され、会社の団交態度に不当労働行為は認められない。
3 一時金の会社配分が妥結内容通りに支払われていないことが、組合に対する支配介入に当たるか。
 組合は、一時金の会社配分が、組合員有資格者平均基本給×7.35か月×7.5%×組合員有資格者数で算出される理論的な原資総額通りに支払われていないことが、妥結内容違反に当たり、不当労働行為を構成すると主張する。
 しかしながら、会社による妥結内容違反が不当労働行為になるためには、その違反が組合との妥結内容を軽視し、組合の立場を著しく不安定にすることによって、組合を弱体化するといえることが必要である。これを本件についてみると、下記の事情からして、会社が理論的な原資総額通りに一時金を支払っていないことは組合を弱体化するとはいえない。そうすると、これが妥結内容に違反するか否かを検討するまでもなく、平成9年度冬季一時金および同10年度一時金の支払について、不当労働行為の成立を認めることはできない。
ア 会社の一時金は、過去20年以上にわたり会社配分を含む形で妥結、支給されてきていることからすると、会社が、平成9年度冬季一時金および同10年度一時金の会社配分について、従来同様の回答を行い、従来通り支払おうとすることが格別不自然、不合理であるとはいえない。
イ 業績査定は、各従業員について個別に行われ、平均原資との調整になじまない以上、平均原資を月数で示したにとどまる理論的な原資総額と実際の支給総額とが完全に一致することは想定し難い。そうすると、会社が理論的な原資総額と実際の支給総額の差額は誤差にすぎないと考え、妥結内容に違反するものとは認識していなかったことはやむを得ず、会社が敢えて少なく支給しようとしたとは認められない。
ウ さらに、一時金の計算は、組合員有資格者である従業員全員に対して同じ方法により行われており、組合の組合員についてのみ原資総額との差異が生じているのではないから、組合の組合員を狙って妥結内容通りに支払わなかったとみることもできない。 
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
大阪府労委平成10年(不)第48号 棄却 平成13年2月20日
 
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